シカ
この脇道は其処まで長くない。
入口からでは奥までは見通せないが
少し入ればすぐに壁に行き着く。
目の前の壁を押してみたが何も変化はなかった。
ナニカが何処にいったのか・・・。
不穏な雰囲気ではあるのだけど
今考えても仕方ないので、ベルナデット様の元へと戻ることにした。
戻る途中で階段下を覗く。
レナルド様っぽい男子生徒が女子生徒を抱えて、外へ向かう所が見えた。
そのあとを追いかける数名の男子生徒。
あちらは何とかなりそうだ。
そして、他の人たちは少しづつ普段の生活へと帰っていく。
徐々に徐々に平穏に包まれていった。
けれども、ベルナデット様は、まだ怯えているよう。
ベルナデット様の傍に寄っても此方に気づく事無く
視線はナニカが居た場所を見ていた。
「大丈夫ですか?」
そう、声をかけるとようやくこちらに視線が回復する。
「え、ええ。ジャスタン様こそ。大丈夫でしたか?
追いかけて行かれたようでしたが。」
一度深呼吸をした後、しっかりとした返答が帰ってきた。
「ええ。でも逃げられてしまったようです。
脇道に入ったと思ったら忽然と・・・。」
「そう・・ですか・・・」
「まあ、一応姿は撮ったので何かあれば写せますが。」
「え?あ、あの見せて頂いても?」
「え?ああ。はいどうぞ。」
驚きの表情を見せた後、そう願った。
俺は快諾すると腕輪に指示を出す。
すると宙にぼぅと映像が現れる。
---ローブを着込んだ紫のナニカが脇道に移動する映像だった。---
改めて見直す。
ローブの種類はデコルテなのだろう。
母と妹がローブ種類についてそんな話していたと思う。
そしてナニカの肩に違和感を感じる。
ローブから露出する肩が思いの外大きいのだ。
ベルナデット様も、その映像を見入っていた。
そして暫し考えた後
「この映像頂いても?」
と訪ねてきた。
「んーっと・・・・うん。少々お待ちを。」
俺は、図書室で書き出しするかもしれないと思って持ち込んでいた
木片を取り出し映像を転写する。
うん。上手に出来た。
そして、
「数日しか持ちませんが、どうぞ」
そう言って手渡した。
ベルナデット様は、それを受け取り
「ありがとうございます。
それで、申し訳ありませんが、
これから行わなければならない事が出来てしまいました。
なので、失礼致します。」
そういって足早に去って行った。
去っていく先を見る。
階段の下では、あのときの騎士が待っていた。




