帰還
幾ばくか経ち、自分の中でも少し落ち着きが産まれた。
それまで撫でていてくれた手が離れ、少し寂しさが産まれる。
深呼吸を一回。
お父さんの方を見ると優しく見てくれている。
軽く頷く。
深呼吸をもう一回。
領主様に向き合う。
そして、頭を下げて
「お見苦しい所をお見せしました。」
とお詫びをする。
頭の上から「ぶふっ」と聞こえる。
「おい」
「いや、すまんすまん。くっくっく」
「おい」
「悪かったよ。ヤン。もう大丈夫。大丈夫だから。」
「ったく・・・」
「うん。ジャスタン、顔をあげて」
「あ、はい」
「・・・・うん。
早速で悪いのだけど、犯人達の人物像は得られるかな?」
「多分。この服が記憶しているかと。」
「写絵か。
そうだね。なら、このドラムに頼めるかな?」
「あ、はい。早速写します。」
俺は、領主様から、ドラム(※写絵の保存に向いている紙を円柱状に纏めたもの)
を受け取ると、一定間隔に移していく。
§
「終わりました。」
10分程かけて写し終わり、領主様にお渡しする。
領主様はそれを眺めていく。
お父さんはそんな領主様の後ろから覗いている。
「うん。流石、ジャスタン君。詳細に描かれてる。
僕達でもなかなか此処まで綺麗には描けない。」
「それで、賊は追い詰められそうか?」
「うーん。どうだろう?蛮国絡みだと、無理かもしれないな。」
「蛮国・・・ああ。こいつらホブか。
ってことは下手すると帝国も絡むのか。面倒だな。」
「学院に潜入してきた以上、そっち方面で考えるのが筋かな。
北は闇を嫌うし、そもそもこういうの出来る性質じゃない。」
「んん・・・・。まあ、後は帰ってから考えるか。」
「そうだね。そうなるとグリーゼ家だけの話でもないから。
それに、奪われた馬車の持ち主はエタンセル家のようだよ。」
「ん?ああ。シモンのとこか。
まぁた武闘派な所から奪ったな・・」
「うん。だから情報渡さないと恨まれる。
でも、今直ぐに何か出来る事はないだろう。
そういう訳で、帰ろうか。」
そんな、頭上での大人の会話がが打ち切られ、
改めて状況を確認する。
そういえば、此処は何処だろう?
そして、何処に帰るのだろう?
さらに、どれくらいで帰れるんだろう?
そんな疑問を頭の中でいっぱいにしていると
お父さんが少し困った顔をしてこう疑問に答えてくれた。
「俺たちが此処に来た方法で帰るんだよ。
学園にな。」




