朝日を浴びて
朝日が昇り始め、その明るさに目を覚ました。
手早く身支度を整え、水を買いに下へ降りる。
食事処では、衛兵さんたちが食事をしていた。
「おう。坊主。お前も飯か?」
俺の姿を認めた衛兵さんの一人が声をかけてくる。
「いえ、水を買おうと。
それに食事って。まだ朝ですよ?」
「ああん?そんなんじゃア元気でねぇぞ」
そういうとほぼ強制的に横の席に座らされた。
「家だと朝は食べないですよ。
仕事の合間にそこらへんに生っている果物とかを摘まむくらいで」
「あー。地方じゃ1,2食が普通なんだっけか。
まあ、いいや。食ってけ。食ってけ。俺のおごりだ」
そういいつつ、衛兵さんが軽く手を挙げると店のお姉さんが食事を置いて行った。
献立は、野菜のスープとお菓子とソーセージ。
ソーセージ?
「あ、あの。肉が」
「衛兵が食う飯だからな。味はともかく、ボリュームはすげぇぞ」
「うちのは味も確かだよ!」
「はは。そうだった」
衛兵さんは店のお姉さんと会話しつつも、俺に食いねえ食いねえと促す。
いただきます。とお礼を言い、ソーセージにがぶりついた。
肉汁が溢れてくるくらいしっかりと肉が詰まっていて
香草が食欲を引き立てる。
「美味しい」
「だろぉ?」
酒もあればもっと最高なんだよ!と自分の事を褒められたかのように
嬉しそうに衛兵さんは笑った。
お菓子も美味しいし
野菜もクズじゃなく、ちゃんと実が入っている。
ただただ野菜を煮ただけなのに、なんでこんなに甘いんだろう。
そんな幸せな食事がほぼほぼ終わったあたりで衛兵さんが
「んで、坊主はこれから何処向かうんだ?」
と、少し真剣な顔で聞いてきた。
「王城に、手紙を届ける必要がありまして。」
「あー、王城か。付いて行ってやりたいのはやまやまだが。担当が違うからなぁ。
一応担当のやつらにも話はしとくが、
中層の駅までは連れてってやるよ。」
「あ、本当ですか。助かります。」
お礼をいうと、衛兵さんは頷き、おいエレーヌと別の衛兵さんを呼んだ。
「俺と、あのお姉さんとで連れて行くから。
あのお姉さん、服が少し違うだろ?
担当が少し違うんだ。」
ああ、衛兵がひとりだったり、同じ担当だけだったりすると
悪いことをする人たちもいるのだろう。
だから、別の監視をということでお姉さんをしてくれたのだ。
「気にしてくれてありがとうございます。」
衛兵さんはきょとんとしたあと、居心地が少し悪そうな顔で
「まあ、王城に一人でお使いを任されるような子だもんな。
そんな輩は居ないんだけど、規則だからな?
んじゃ、玄関で待っているから、支度しておいでな」
そう言って、隣にある屯所に向かっていった。