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月と太陽

夏の暑さは、学院の回りでも変わらない。

そのためか人々が活動するのも夕方辺りからが多い。


俺たちが働かせてもらっている飲食店(ブラスリ)も、

月が見え隠れし始めた時間帯から客がボツボツとやってくる。


さらに此処は、

『冷えたエール』なる、夏こそ飲むべきものがあるためか客は途絶える事はない。

流石にもう一つの売りである油を使った料理は出て行かないけど・・・。


「はい、冷えたエールと、オリーヴのピクルス。お待ちどうさま」

「お、ありがとよ。

 しかし、月と太陽を見ながら酒が飲めるとは。

 良い景色だなぁ」

「本当だな。そのうえ太陽が幾つも連なってるとはねぇ。」


月の下に色々な席から見えるように置かれている一本の小さな木。

その木には、赤く丸いの実がいくつも成っていた。

最近異国から観葉植物としてきた太陽の雫(トマト)というものらしい。

ひょんな事からオーナーが一本だけ手に入れたそうで、こうやって店に飾られている。


「夏は太陽の下じゃ暑くて活動できねぇからな。

 涼しくなってから出ると大体月とこんにちはだ。

 こうやって、太陽を拝めるってのは良いもんだなぁ。」


農業を携わっている人以外は、基本的にそんな生活なのだろう。

学院も、水と植物に関わる授業以外は日のまだ出てない早朝か夕方からになっている。


「中央は今雨期だから、ここより涼しいんだろうなぁ。」

「けど、雨ばっかというのも気が滅入るぜ。」

オリーヴを咥えながらエールを飲むおじさん達の会話を聞きながら

少し前に歩いた穀倉地帯を思い出す。

中央の雨季でたっぷり降る雨は、侯爵家と公爵家の穀倉地帯を北上し

ヴィヨレ領でブツかって終わる。

なので、夏は暑いのだが雨季というと、若干の寒さと陰湿さが残るのだ。


今頃穀倉地帯は恵の雨をたっぷりと受け止めているのだろう。

うちの町は雨で寒くなり過ぎないといいな。


学院傍と家との違いをひしひしと感じると

家へ帰れない事を少し寂しく思う。

けれども

何時か帰っても大丈夫なように路銀を稼ぎたいので

さみしさを頭を振ることで追い出して

俺は仕事に没頭することにした。



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