黒の悪夢
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黒ゴブリンは、特殊な環境下でのみ産まれてくる。
種の保全のためなのか
それとも過酷な環境への怒りなのか
どうして誕生するのかは分からないが条件だけは
度々の大発生によって理解されていた。
・・・・昔々の物語として語り継がれていたから・・・
黒ゴブリンは、過度の飢餓・弾圧・粛清により
過密な状況で大量の餓死が生まれ、それを食らう者たちが多くなると発生する。
体形は、通常より小さく、黒くなり
生殖を司る部位は欠落する。
そして、
死したモノは何でも食し
生きたモノは生殖の苗床とする。
彼らは、口から自分の核を苗床に植え付け
苗床となったモノは、内部から産まれたソレに食い破られる。
そして、怒りが収まり落ち着くまで彼らは大移動を行うのだ。
・・・物語であるなら・・・・
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「マリーさん下がって!」
俺は、サイスを手負いのゴブリンの腹に突き刺した。
そして、マリーさんが背にいるような位置に取り
柄と刃を紐で強く固定する。
その間も、突き刺されたゴブリンはこちらを襲おうと
ずぶりずぶりと刃を身体に沈めてくる。
「くっ」
サイスの刃を引き抜きながら、手負いのゴブリンを蹴り落とす。
蹴られたゴブリンは、1・2歩、ヨロヨロと後ろに下がり
ポテンと尻餅をついた。
その背後に、2匹の黒ゴブリン。
「ぐぎゃぎゃぎゃ」
二匹同時に飛び出し、手負いのゴブリンに噛みついてきた。
傷口からドクドクと緑の血を出しながら暴れていた手負いのゴブリンも
少しづつ静かになっていく。
「マリーさん。」
視線は逸らさず、マリーさんを呼びかける。
怯えと驚きで動きの止まっていたマリーさんも、声掛けで正気に戻ったのか
手で口を塞ぎつつも頷いてくれた。
俺たちは遠巻きに見つつ、横を通り・・・南側に進む。
「!!」
静かだったゴブリンが突然ビクンビクンと跳ねだし、
手から足から腹から、小さな黒ゴブリンが食い破って外へと出てきた。
そして、母体だったであろうソレをむしゃりむしゃりと食っている。
噛んでいた2匹のゴブリンは、振り返らずそのまま北へと歩いていく。
最後に頭からはい出た子ゴブリンは、食える母体が無いのを確認したのか、
先の2匹のゴブリン目掛けて襲い掛かっていた。
・・・そして、手を捕食されながらも、黒ゴブリンたちは北へ北へと・・・
「今のうちに・・」
青ざめた顔をしているマリーさんの手を引き、南へと俺は向かっていく。
4匹の小さなゴブリン共がこちらに気付かない事を願いながら・・・




