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強奪。輪舞・・・は踊れなかった

よし、戻るかと、踵を返すと

「貴方!何をしている!」

と護衛の人がこちらを睨んでいた。

まあ、お金を巻き上げたのだ。当然であろう。

一歩づつ、護衛の人に近づきつつ、対話を試みる。

正確には、ちょっと悪戯をしてみる。


「ベルナデット様を一人にして良いのですか?」

「べ・・別に一人にしてはない。ちゃんとこうして見守っている。」

「おや、そうでしたか。でも、離れていて大丈夫なんですか?」

「そちらから距離が見えるのか?

 まあいい。これくらいの距離であれば、お嬢様の元に向かうのは問題ない。そ・れ・よ・り!」

「ああ、このコインですか?」

「そう!そのコイ、っち」

護衛さんが、俺の持つコインに意識が傾いた瞬間に、身を低くして壁すれすれを移動しつつ

護衛さんとベルナデット様の間(と想定する箇所)に滑り込む。

護衛さんが横薙ぎに振るう剣が、俺の頭の上を掠めた。

だん!と二人の間に足を踏み鳴らし、逆側の壁に背を預けるように飛び退く。

すると目の前に護衛さんの剣先が突き付けられていた。

「間、割り込めましたよ?」

「っ」

憎々し気に睨む護衛さんに悪びれもなく報告してやる。

1~2秒のにらみ合い(?)が続くと、とんっと剣に扇子が置かれた。

「あまり、うちの子をいぢめないであげてくださいませ。ジャスタン様。」

そう言いつつ、扇子で剣を下げさせるベルナデット様。

笑みを浮かべているけど、多分笑ってない。

そして、回りの視線は・・・感じられない人は除き・・消えたようだ。

どうも、賭けの対象としても嫌われたみたいだった。


俺はこほんと咳払いをし、剣を仕舞った護衛さんに青銅貨を返しながら

「いやなに、こんな大金を渡すなら、人が見てない所で渡して欲しいと思っただけですよ。」

と答えた。

護衛さんは吃驚した顔をして

「大金?たかが青銅貨1枚だぞ?お菓子を買ったら消える程度なのに?」

「ここの人たちは、そのお菓子とやらと縁のない生活なんですよ。」

「む・・・」

「なので、女の子に渡したいなら、付いて行って、人が見てない所で渡すことを勧めます。」

むむむと護衛さんが悩んでいると、ベルナデット様が扇子を半開きにした状態で、口元を隠し聞いてきた。

「それで、もし渡すとしたら、青銅貨1枚で宜しいのでしょうか?」

「銅貨20枚くらいで簡単な要望を聞く程度が喜ばれるんじゃないですかね?」

「簡単な要望・・ですか?」

「ええ。仕事の斡旋とか、縁が繋がるものではなく、行ったら終わる程度の軽いやつです。」

「そうですねぇ」

「まあ、1人なら銅貨10枚と食料で事が済みそうですけど。」

「え?1人?あの子は孤児なのですか?どこかの孤児院に居るのでしょうか。」

・・・いや、孤児が孤児院なんか入れないんだけど・・・

なーんて突っ込みすると長くなりそうなので

「まあ、1人てことは無いでしょうから前者ですかね。」

と惚けておいた。

ベルナデット様は、扇子をピシャリと閉めて

「判りました。では、後でそのようにしましょう。よしなに」

と答える。

すると、なんというか・・・宿代を踏み倒そうとする悪徳冒険者がコソコソと逃げるときの感覚、

それをたっぷりと薄めた、不可思議な感じがスーッと抜けていった。

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