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下層へ

次の日、前回お世話になった衛兵さんたちの所に行こうと昼前くらいに下層に出てきた。

最初マリーさんが馬車を呼ぼうとしてくれたのだけど

行先が下層だと聞いて執事さんが止めてくれた。

やっぱり辻馬車とは言え、上層を歩くような馬車から降りればそれなりにチェックされるそうだ。

なので、久しぶりに

シュミーズの上にコッド、下はブレー、そしてエプロンという着慣れた格好となった。

とはいえ、上層から中層まではサーコートを着ろと渡されたけど・・。


前回来て気付いたけど、

下層の場合は地方の領民(つまり、俺が普段着ている服)程度の恰好で

中層に近づくとプールポワンやコダルティが多くなる。

とはいえ、領主様から貰った服やマリーさんが着せようとするのより大分質が落ちるけど。

・・・もしこれからも王都で歩くなら、一度中層で服をそろえた方が良いかもしれない・・・。


屯所兼宿に入ると前に来たとおり、衛兵さんたちが大勢いた。

どうやら、食事時だったらしい。


そういえば、衛兵さんが『そういえば、地方じゃ1~2食だったな。』って言ってたか。

体力勝負だから3食以上食べるのだろう。

大変そうだ。


ぐるりと見渡していると、店のお姉さんが申し訳なさそうに声を掛けてきた。

「あら、ごめんなさいね。この時期は宿やってないのよ。」

「いえ。前にお世話になった衛兵さんにお礼とあいさつをしにきたのです。」

そう答えると

俺の顔をマジマジと見てお姉さんは、ああ。と呟いた。


「入学の大分前にきた、気の早い、あわてんぼうの子か」

「いえ、入学とは別件で来たんですが・・・」

「そうだっけ?うちは入学前シーズンがメインだからね。ついね。

 えっと、うーん。」

少し考えるような素振りをし、

エリーヌ、ドニ、シモン、マリー、ジャン・マリー、アン・マリーあたりかな。と

ぼそぼそと呟いたかと思うとこちらを見て

「いきなりご飯押し付けられた?」

と聞いてきた。


「え?あ、はい。」

「そうかい。ならドニだね。

 あいつ、宿に泊まっている子にご飯食わせるのが趣味だからねぇ。

 確か、あいつならここら辺に居た気がするねぇ。

 ちょっと待ってな」

「あ、あとエリーヌさんも。」

探しにいくお姉さんにもう一人の衛兵さん エリーヌさん のことも伝えると

分かったよと言いたげに手をひらひらさせた。


一人になり、手持ち無沙汰になると、複数の視線が俺を見てるのに気づいた。

とはいえ、刺すような視線というより、なんだろう?

生暖かい視線?

優しい視線ではあるんだけど、なんとなく座りの悪い感じがしつつ

お姉さんの帰りを待つのだった。


暫く待っていると、大きな手がどんっと頭に乗っかってきた。

振り返るとあの時の衛兵さんが、その後ろにはエリーヌさんもいた。


「やあ。坊主。会いに来てくれたんだって?」

「あ、衛兵さん。エリーヌさんも。あの時はありがとうございました。」


「まあ、仕事だ。気にするな。続きは飯でも食いながらにしないか?

 腹減っててな。悪いが付き合ってくれ。」

衛兵さんはそう言いながら、背中を軽く押して席に移動した。

エリーヌさんも、さあ、行こうと促しながら席へと。

俺も後に付いていくと、

何時の間にか戻って来ていたお姉さんが、3人分の料理を運んできてくれていた。

お姉さんに「ありがとうございます」とお礼を言うとにっこりと笑みを浮かべてくれた。

衛兵さんが、「奢りだから、遠慮せずに食えよ」と勧めてくれる。


有難く頂きます。


今回のラインナップは、蒸した馬鈴薯、香草で味付けした焼き鶏肉、野菜を煮込んだスープとなかなかのボリューム。

美味しくモグモグしていると衛兵さんが声を掛けてきた。


「あの後は、ちゃんと目的地に着けたかい?」

「はい。エリーヌさんに教えて貰ったとおりに行くとすんなりと着けました。

 ありがとうございます。」

「そぉ。良かった。」

安心したのかにっこりと優しく笑みを浮かべてくれるエリーヌさん。

こちらもつられて笑みを返す。

すると、衛兵さんが

「なんか、エリーヌと仲良くなってね?エリーヌだけ名前呼びだし?」

なんて、少しすねはじめた。

「衛兵さんが声かけてくれなかったら、上層で乗合馬車探してて路頭に迷ってましたよ。

 ・・・そういえば、衛兵さんの名前、聞いてない・・・」

「あ、マジか・・・。なら、改めて俺はドニな。」


僕は、ドニさんとエリーヌさんと食事をしながら

別れた後のことや、学園に入ったこと

そして、最近の下層の状況を話しをした。

食事が終わるとドニさんとエリーヌさんは仕事に戻っていったので

お店のお姉さんにお礼を言って、僕も屯所を出たのだった。

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