森と王都とときどき・・・
次の日、俺はマリーさんと共に貸馬車に乗って王都へ向かうことになった。
オム・ア・バカジュと呼ばれる馬車
(荷台の上・・というか中にある御者台に御者さんが乗り込むスタイルの馬車だ)
を、マリーさんがチャーターしてくれたようだ。
これだと、(御者を抜いて)2名、詰めれば3名まで乗車できるらしい。
俺はマリーさんと一緒にこの馬車に乗り込んだ。
・・うん、2人乗っただけで肩が当たる。
牽引する馬は1頭なので、多少しょうがないのかもしれない。
「これ、早くて楽なんだけど、結構揺れるのよねぇ。」
そういって、マリーさんは俺に抱き着いてきた。
マリーさん目線だと、馬車の揺れで俺が怪我をしないか心配なんだろう。
これでも、既に身長が140cmを突破して、同年代の中では大きい方なんだけどな。
「マリーさん。多少の揺れは、俺なら大丈夫ですよ?」
「ほんとう?なら、危ないときは私のこと、支えてね。」
そういって、さらにぎゅっと抱きしめてきた。
あれ?なんだ、マリーさん自身の心配事だったのか・・・・
ピシッと鞭の音が鳴る。
それに合わせて馬が最初はゆっくりと歩き始め、段々と早く駆け足になっていった。
「それでは、王都へ向けて出発します。」
御者さんは、そういうと、馬は嘶き、最高速で駆け抜けるのだった。
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王都への道は、整備はされているものの、石畳ではないので、滑らかな道とは言い難い。
そのため、何かに乗り上げる度に上に持ち上げられる。
外を見れば、今まで経験した事のない速度で景色が後ろへ掛けていく。
・・・時々上下運動も加わってくるが。
隣では、「きゃっ」「ひゃあ」とか小さい悲鳴をあげて抱き着いてくるので大分心臓に悪い。
・・・だってさ、俺より乗り慣れているはずのマリーさんが悲鳴出すくらいの悪路だよ?
本当に大丈夫なのかな?
そんな、不安そうな顔に気付いたのか、マリーさんが
「わ・・わたしが揺れに慣れないだけで、これくらいは何時ものことだから心配しないで。」
と、教えてくれた。
往路の3分の1程進んだ頃だろう。左手に森が見えてきた。
森の入り口あたりに、騎士や冒険者らしき人達が大勢居るのが見えた。
それについて疑問を投げかけてみると、
「最近、あの森でゴブリンの集落が見つかったらしく、その討伐だと思いますよ。」
そう、御者さんが教えてくれた。
「集落にいるゴブリンはグリーンゴブリンらしいので、
坊ちゃんが帰る頃には討伐完了されているんじゃないですかね。
さて、後数刻で駅に着きますよ。
そこで馬替のために少々休憩を取らせて頂きます。」
そう言って、御者さんは汗をかいている馬に鞭を入れ
駅に向かって駆けていくのだった。




