旅路
家を出発して早三日。
あの後、騎士様が旅に必要な物を一式をその日に持ってきてくれた。
馬に乗って颯爽と現れる騎士。
格好良かった。
それはさておき、荷物を受け取ったときを思い出す。
あのときは、頂いた荷物を早速確認したのだ。
関所に見せる手紙。
4日分の携帯食料
木製の水稲。水入り
伯爵様宛の手紙
ここまでは良いとして
4日分の衣類
有難いけどプールポワンにショースって何処の市民だろう・・?
せめてコダルディ、出来ればコッドとブレーが良かった。
どちらにしても、材質がアレだから、ヤバい気がするけど。
そして何故か青紫のアビ、ジレ、キュロット・・
さらに、肌触りの良いクロシュ
追い打ちとして、旅行用鞄
領主様・・・。
俺、どっかで攫われないといけないんですかね?
流石に旅行用鞄片手に徒で移動なんてしたら、恰好の餌食なので(何のとは言わないけど)
騎士様に頼んで背嚢と交換して貰った。
うん。今思い出しても乾いた笑いしか出てこない。
王都に行けば、頂いた衣類は一般的なものになるのかなぁ?
そうであると助かるけど。
さて、それからの3日の工程を思い出す。
まず公爵領への関所では、手間取ることなる通過出来た。
そのときに、王都へのルートと日数を伝えてある。
もし、予定どおりたどり着けない場合は、子爵・公爵両方から調査隊が派遣されるそうだ。
・・大事すぎない?
でまあ、その指定したルートを予定通り進んでいる。
基本的には、穀倉地帯を南下する平坦な道で
商人も冒険者も滅多に通らないけど、家々は多くあるという子供が歩くには向いている。
商人にとって、子供は体の良い商品になるし
冒険者にとっても、奪うには子供の方が被害が少ない。
山とか丘があると山賊とかも心配しないといけないので、このルートは助かるのだ。
欠点もある。宿がないことだ。
なので、夜は子供が居て、外で遊んでいそうなお宅の馬小屋や土間を借りて、幾ばくかのお金を払って就寝する。
水や食料も購入できるときに購入する。
でも、家の中には入らない。
襲われたり、囲まれたりしたら家の中だと逃げにくいからだ。
あと、物が無くなったとかで疑われないためもある。
本当になくなったかなんて分からないしね。
しかし、公爵領に入って2日半。
治安の良さと豊かさに驚く。
8日も歩かないと突破出来ない穀倉地帯。
そんな農村を巡回する衛兵と、自警団。
庶民の家だというのに、売れるくらいある食料と素材。
そのうえ、けっこう安く売ってくれたのだ。
パンが鉄2枚。野菜が鉄5枚で買えるのは破格。
うちの領ならパン5枚、野菜も10枚程度だ。
水はまあ、どこも似たような値段。
一度の滞在で井戸の使用料は銅貨1枚。
それでも一律なので有難い。
路銀が一定以上残ったら、王領への関所なら乗合馬車も停まるそうなので
関所から王都までは馬車の旅に切り替えられるかな。
なるといいな。