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週末は場末で

今日は、前半は地形学を受講した。

地形学の基礎は、地形について学ぶというより

地図から地形を読み込むこと、地形を地図に記載することを学ぶ場らしい。

そのため殆ど座学がなく、学園の一部を使っての地図作りに費やした感じだった。


後半は、パートタイムを入れていた。

騎士や冒険者志望の人たちは、ボランティアに参加したりするみたいだけど

そこまで腕に覚えがない俺は、ナタンとともに飲食店(ブラスリ)で働いている。

有名な所ならともかく、普通の飲食店(ブラスリ)だと治安もそこまで良くないので女性はあまり働いたりしない。

なので、キッチンもフロアも男性ばかり。

俺は、キッチンで料理と酒を造って過ごす。

ナタンはセルヴールだ。


まあそんな店なので当然、客層も女性は少ない。

騒然とおっさん達がエールをガッパガッパと空けていく。

そんなおっさん達の酒の話題は、

・・・・学園近くの飲食店(ブラスリ)のため、王家の話題とか学園の話題が中心となっていた。


王家の話題としては

 王太子陛下は凡庸で単独での能力は心もとないとか

 王太子陛下は、人たらしで、周囲はとても優秀だとか

 第二王息殿下は、とても優秀で単独でなんでも出来るとか

 第二王息殿下は、自前の能力に頼りすぎて一人善がりの部分があるとか

 第三王息殿下は、もう少し公務に出て欲しいとか


学園だと

 今年の入学生は美人が多いとか

 第二王息殿下の婚約者が主席入学したとか

 今年は出来の良し悪しが明確なんじゃないか?とか

 

そんな話題だった。


「第二王息殿下って結構人気なんだね。」

フライドシュリンプを作りながらナランと話す。

この店の売りは油を使った料理で、兎に角コッテリしたものが多い。

そして、冷やしたエールと一緒に食べるのがこの店の作法だそうだ。

前に昼間から酔っぱらったおっさんが嬉々として説明してくれた。


「見目も良いうえに、優秀だからね。

 けど、自分は大丈夫って変な自信もあるからいずれ足元救われそうでなぁ。」

「なるほど。その点王太子陛下は、安定しているのか。」

「そうそう。王太子陛下の婚約者も取り巻きも優秀な方らしく、本人居なくても政務が回るんじゃないかと言われてるよ。

 第二王息殿下は、暴走を婚約者の方が上手く制御出来ている間は良いんじゃないかと言われてるね」

ベルナデット様は結構苦労しているんだな。

「ほい。フライドシュリンプできたよ。3番テーブルね。」

「あいよ。」


品物が出来たので一旦会話終了。

今度は馬鈴薯を丸々油で揚げていく。

ここの馬鈴薯は形も悪い一口サイズなのでまるっと揚げられるのが良い。


「兄ちゃん。冷たいエール3つよろしく。」

「はーい。ただいまー」


ジョッキを3つ抱えて、地下にある氷室に入る。

そして、エールが入っているタンクの底にある蛇口から注ぐ。

このエール、お客さんのおっさん達は『冷たいエール』と呼んでいるけど

実際はエールじゃないらしい。

店長も「エールじゃないんだがなぁ」と困った顔しつつも楽なので気にしない方針だそうだ。


3つのギョッキに冷たいエールを注ぎ終えて、カウンターに乗せる。

「ナタン。冷たいエール3つ宜しく」

「あいよ。・・・・はーい。冷たいエールのご到着だ。

 兄さん。ジョッキ空いて無いよ。出番待ちがいるんだ。そうそう。いいねー。

 はい。ジョッキ3つ回収するよ。ありがとう」

ナタンは口八丁手八丁でまだ残っていたジョッキを空けさせて全部回収してきた。

こういう時のあいつは本当有能だ。


「馬鈴薯の素揚げも出来たよ。

 これは表の2番。」

「今の所はこれで全部?」

「全部だな。」

「そっか。じゃ、ちゃっちゃと運んじゃうか。」

ようやく休憩できるかなと、二人で考えていたら

奥からおーい交代の時間だ。ガキどもは帰れよ。という声が聞こえた。

うちらの勤務時間は夕方までで夜の部は店長やガタイの良い兄さん達が店に立つ。

つまり、俺たちの業務時間が休憩を取る前に終了した訳だ。


「ナタン終わりだそうだ。」

「わかった。そっちいく。」

「おう、二人ともご苦労さん。」

「ジョフロワさん。ありがとうございます。あとは宜しくです。」

「ジョフロワさん。注文は全部掃けてます。お客さんとの飲み比べは良いけど程々で宜しくです。」

「っち。うっせーよ。ナタン。さっさと行きやがれ。」


ジョフロワさんは、苦笑しながら、俺たちに紙袋を投げ渡した。

ジョフロワさんは、この飲食店(ブラスリ)のギャルソン(自称)だ。

俺たちの面倒をよく見てくれる、格好いいお兄さん。


「馬鈴薯のスライスを揚げたやつだ。帰りは腹減るだろ。食いながら帰れ」

「ありがとうございます。助かります。」

「ジョフロワさん最高。ありがとう」


俺たちはお礼を言って帰路についた。

寮に向かう途中で一緒に地形学を受講していたはずの生徒数名とかちあった。

皆、とても疲れた顔をして寮へと向かっていく。


・・・もしかして、この時間まで地図作りをしていたのだろうか・・・・?



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