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サルエール103

俺は今、自分の寮の部屋の前にいる。

どうも、中に人が居るみたいなのでどうして良いのか良く分かっていないのだ。


とりあえず、ドアに耳を当てて中を探ろうとしたのだが・・

そのタイミングで、そのドアが開いた。


「お帰りなさいませ、ジャスタン様。・・何をなさってますか?」

「あ、はい。ただいまです。俺の部屋って此処で合ってるんですか?」

「はい。合っていますよ。どうぞお入り下さい。」


そう促されたので、こほんと咳払いし、体勢を整えて部屋へと入った。

そんな一連の

『部屋の前で怪しげな行動をしていた俺』を訝し気にみていた女性は、

俺を椅子に座らせ、珈琲を用意する。

用意して貰った珈琲を口に含むと漸く落ち着きというものを思い出すことが出来たのだった。

なので、俺は改めて状況の確認に思考を移した。


今、この部屋で色々世話をしてくれている女性は、

子爵様の屋敷で働いていた メイドのマリーさん。

確か親子2代で仕えていた家系の人で、親のアン=マリーさんはもう現役を引退していた気がする。

年齢は15歳で貴族と言われても遜色なさそうな美人なお姉さんだ。

確か、領内のお屋敷でお嬢様のお世話をしていた人だった気がする。


そんな人がどうして此処にいるのだろうか?

まあ、聞かないと分からないか・・・


「マリーさんも休憩されたらどうです?」

「あら、そう?お言葉に甘えさせて頂くわ。」


そう促すと

にこにこしながら自分の分の珈琲を持って対面に座った。


「マリーさん。此処、本当に俺の部屋なんです?」

「そうよ。旦那様が御用意された部屋よ。」

「ど、どうして此処?A棟じゃないんです?」

「あのね?ジャスタン君。 『子爵が』借りるのよ?

 A棟が借りられると思う?」

「・・・・ああ。あー」


言われて気づいた。

俺が借りるなら、A棟の安い部屋でも良い。

でも、今回は領主様”が”借りるのだ。

たとえ、実際に住むのが俺だとしても、借りる人が貴族である以上、

それなりの場所を借りないといけないのだった。


「その関係で、マリーさんが居るんですね。」

「そうそう。流石にB棟で一人は、管理面でも体裁面でも無理からね。

 私が侍女として管理することになったのよ。

 優秀なお姉さんが付いてあげるのだから、感謝しなさいね。」

「なるほど。有難うございます。

 ・・ところで、侍女ってなんです?メイドさんとは違うの?」

「・・・ジャスタンくんって・・変な所で無知よね。」

「しょうがないじゃないですか。

 うちの回りで子爵様とか男爵様絡みの求人なんてメイドくらいですもん。」

「ああ。そうか。子爵様の家に良く出入りしているから、時々勘違いしちゃうけど

 ジャスタンくんは庶民なのよね。」

「マリーさんは、違うんですか?」

「うふふ。こう見えても男爵令嬢なのよ。

 あのね。侍女というのは、まあ国よって違うらしいけど。

 特に帝国のは細分化しすぎて良く分からなかったりするし・・・・。

 まあいいか。うちの国のは女性の家庭内労働者の区分けで

  上級労働者を侍女、

  中級労働者をメイド、

  下級労働者を従女って言うの。

 従女は、奴隷で編成される下働き以下の人たちね。労働者の洗濯、塵捨て、外の掃除とか行うの。

 メイドは、庶民と平民がなる職ね。下働き担当。室内の清掃、主達の洗濯、労働者の食事とかね。

 侍女は、爵位に依るけど、格下の格か平民がなるの。主達の身の回りの世話。お子が居ればそれの世話。給仕、その他諸々。」

「ええ!マリーさんも貴族様だったんだ。侍女って偉いんだね・・・」

「そうよー。うふふ」


男性の場合は、

  上級労働者をバトラー、

  中級労働者をフットマン、

  下級労働者を郎従

というらしい。

因みに執事さんはバトラーの一つだそう。

さらに無駄知識だけど、領主様の元には3人の侍女、5人のバトラーがいるらしく

子爵の中では数が多い方らしい。

なんでも、奥様が結婚するときに結納品として連れて来た人らしく、かなり優秀なんだそうだ。


そんな話をふむふむと聞いていると、いつの間にかマリーさんは俺の背後に回って

俺の首に腕を回していた。

そうして、耳元で囁くように、詠うように、マシンガンバレットの魔術のように話し出した。

「そういう訳で、子爵様の客人なので

 ジャスタン君の待遇は男爵子息以上、子爵子息未満の立ち位置なのでぇ

 色々と気を付けてね。

 だけど、地位は庶民のままだから、そっちも気を付けてほしいなぁ。

 でもね、いきなりそんなこと言われても困るでしょ?

 だ・か・ら・子爵様の客人として恥ずかしくないようにね

 お姉さんがぁ、鍛えてあげるねぇ♪

 大丈夫。痛くないわよぉ。うふふふふ。


 あ、そうそう。人が見てる所では、侍女として動くから

 ジャスタン君もそのつもりで対応してねぇ。

 ん-?

 判らない?

 そうよねぇ。メイドとかぁ侍女とかぁ家庭労働者の扱いなんて分らないよね。

 そっちの方もお姉さんがたぁっぷり教えて上げるから。

 頑張って慣れてね♪」





そうして、始業式が始まるまでの数日間。

マリーさんにみっちりと、所作や礼儀、メイドさんたちとの付き合い方を

教え・・・違うな。叩き込まれたのだった。


あのときのマリーさんはきっと、獲物を狙う猫のような眼をしていたのかもしれない・・・・。

それを悟られないように・・・・・・ああ・・・かみさま・・・・いるなら・・・・・・ぐふ・・・・・


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