第2話 前世の記憶
「お兄ちゃん、遊ぼうよ」
「やることあるんだ。だめ」
「お兄ちゃんのいじわる」
「し、仕方ないな~。今回だけだぞ(デレデレ)」
妹にとても甘い俺には、前世の記憶がある。
あいまいなので、詳しくは思い出せないが、俺がどんな生き方をしていて、どんな人生を送ってきたのかぐらいはわかった。
前世の俺は、お城にいるお姫様を守る騎士だったらしい。
同僚の騎士たちと、日々研鑽をつみながら、毎日それなりに楽しく過ごしていたらしい。
それなりの年まで生きて。恋をしたり、友情を築き上げたりしていた。
けれどそれはそれなりの年でリタイアしたという事だ。
人生の最後に城が攻められて、お姫さまや仲間達と命を落とすまでは、満ちたりていた。
そんな苦い前世の記憶がある。
それだけならまだ珍しい出来事なだけ。
けれど、ここで問題が一つ。
妹の和沙が前世で恋をしていた女性のお姫様と、かなり似ているのだ。
まぐれで似ているのか、それとも生まれ変わりなのか判断がつかん。
妹には記憶が無いため、確かめようがなかったのだ。
とりあえず困った事を友人に相談してみたら、「アニメの見過ぎだろ」とか「漫画の読み過ぎだろ」とか言われてしまって、「ふつー、妹に懸想するか?」と引かれてしまった。
お喋りな友人に、クラス中にその話を巻き散らかされて、鎮火するのにエライ目にあった。