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3.オリビアを食事に誘ってみる。







「いたのなら、早く声をかければ良かったのでは?」

「いや。なんていうか、少し様子見しちちまってさ……」



 あの後、俺はオリビアに声をかけた。

 すると彼はなんてことない、といった風に接してくる。いまはひとまずダンジョンを抜け出して、街の中をブラブラと歩き回っていた。

 あまり表情を変えないオリビアだが、周囲を見回す仕草から察するに興味はあるらしい。彼に少しばかり興味を持った俺は、その様子を眺めていた。



「オリビアは旅人、なんだよな?」

「あぁ、そうだが。それがどうかしたのか?」



 ふと、会話がないことに気付いた俺はそう切り出す。

 するとオリビアは、淡々と訊き返してきた。



「いや、さ。故郷はどこなのか、って気になってさ」



 そして俺は、何気なくそう答える。

 その直後だった。



「…………」

「ん、どうしたんだ。オリビア?」



 彼が突然に立ち止まり、眉間に皺を寄せたのは。

 見れば、拳を握りしめて震わせている。

 怒っている、のだろうか……?



「すまん。訊いたら不味かったか……?」

「気にしないでくれ。少し昔を思い出しただけだ」



 謝罪すると、オリビアは首を左右に振った。

 どういう意味なのだろうか。俺は首を傾げてしまう。

 だが、気にするなと言われたのだから、これ以上追及はできなかった。



「……あぁ。そろそろ、昼飯時か」



 だから、あえて話題を変える。

 俺はオリビアを食事に誘うことにした。



「美味い店知ってんだ。よかったら、奢るぜ?」

「…………ふむ」



 提案すると彼は少し考えた後に、小さく頷く。

 それを確認して、俺たちは食事をしに向かうのだった。







「ここの肉は絶品でな! それに加えて安いんだ!!」

「そうなのか?」



 席について、首を傾げるオリビア。

 彼はメニューを見ながら、しばし考え込んでいた。

 俺は頼むものを決めていたので、オリビアのことを待つ。すると――。




「…………む」

「ん、どうした?」

「いや、少し気になるメニューが……」




 唐突に、彼がそう口ごもった。

 どうしたというのか。俺が首を傾げていると、オリビアは珍しく恥ずかしそうな表情を浮かべた。そして、やや上目遣いにこう訊いてくる。



「なんでも、良いんだな?」――と。



 俺はそれに首を傾げつつ、頷いた。

 すると彼は、あからさまに表情を明るくしてこう言うのだ。




「で、では……!」




 メニュー表をこちらに示しながら。




「こ、この『デラックスパフェ』が食べたい!!」――と。




 


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