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2.勝負師の力。







「ギルド長!? あの冒険者にキングドラゴン討伐を命じたのですか!?」

「ほっほ。なにか、悪いかの?」

「悪いですよ! どう考えても、あの冒険者には荷が重すぎます!!」



 アクロが去ったあと、ギルドの職員室ではそんな会話があった。

 最初に話を受けて勝負師について調べた女性職員は、年老いた職員――ギルド長に詰め寄っている。なにを考えているのか、と。

 しかしギルド長の老人は小さく笑って、目を細めるばかり。

 さらには、こう言うのだった。



「心配要らんよ。あの冒険者なら大丈夫だ」

「な、なにを根拠に――!」



 女性職員は声を張り上げようとする。

 だがそれより先に、ギルド長は静かにこう口にした。



「あの者には、類稀にみる才覚があったからの」

「才、覚……?」



 それに思わず勢いを殺され、女性は首を傾げる。

 すると、そんな彼女を見て長は笑った。



「ほっほ、信じなさい。勝負師というクラス――その異端の力、いまに分かるだろうよ」



 そう言って彼は部屋を出ていった。

 残された女性は、握りしめていた勝負師の資料に目を落とす。


 そして、こう呟くのだった。



「形勢不利になるほど力を増す、異端のクラス――【勝負師】」



 だが、その記録も八十年前のもの。

 彼女はギルド長の発言に、半信半疑であった。







 ――不思議なほどに、身体が軽い。



「……っだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



 それだけじゃない。

 身体中に魔力が満ちていくのが分かった。

 振り下ろす剣にそれを通せば、平凡な剣が光り輝く。



「まず、一体目!」



 キングドラゴンの首を刎ね飛ばして。

 俺は、二体目の魔物へと標的を変更した。

 力の源がどこなのか、それはまるで分からない。だけど確かなのは、この賭けに勝算がある、ということだった。

 だとすれば、その可能性にすべてを賭けるだけ!



「喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」



 肌がひりつくような感覚。

 ギリギリでの命のやり取りが、不思議と心地よいとさえ錯覚した。

 二体目のキングドラゴン、その腹部を切り裂いて。血を浴びながら最後の一体へと直進。そして力の限り、その脳天目がけて――。




「はぁっ!!」




 剣を、突き立てた――!



 直後、断末魔の声が響き渡る。

 キングドラゴンは魔素へと還り、その結晶が地に落ちた。

 その輝きを見送った俺は、ふっと息をつく。


 すると――。



「あ、れ……?」



 どうしたのだろうか。

 急に、全身から力が抜けていった。

 尻餅をついて、ボンヤリと何もない一点を見つめる。



「勝った、んだよな……?」



 そして、自分がやったことを確認した。

 たしかに俺は、この手でキングドラゴンを屠ったのだ。

 信じられない。今までうだつの上がらない、底辺冒険者を続けてきた俺が。超高ランクの魔物を三体も倒したのだ。



「なにが、起きているんだ……?」



 分からない。

 でも、不思議な達成感があった。




「まぁ、細かいことはいいか」




 いまは、この快感に浸るとしよう。

 そう考えて、俺は一つ息をつくのだった。









 そんなアクロを、遠くから見る者があった。



「へぇ、凄いな。一人でキングドラゴンを三体も……」



 フードを被った男性だ。

 彼は中年冒険者の戦いを見て、感嘆の声を漏らす。

 しかしすぐに、こう口にするのだった。




「ぜひ、私の配下に欲しい力だ」――と。




 そうして、その男性は立ち去った。

 アクロが彼の存在を知るのは、もう少し後のことである。



 


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