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1.クラス適性の試験。

頑張るぞー!(執筆を






 ――時は少しさかのぼって。



「【勝負師】なんてクラス、聞いたこともないぞ……?」



 俺はギルドに足を運んでいた。

 クラスの変更は、ギルドへの申請が必要。ギルドは登録された冒険者のクラスを一括で管理しており、適宜、それに合わせた仕事を振ってくれるのだ。もっとも、俺みたいな弱小には滅多に特別依頼などこないけどな。



「今日はいかが致しましたか?」

「あのさ、勝負師なんてクラスは本当にあるのか?」

「勝負師、ですか……? 少々お待ちください」



 とにもかくにも、相談してみないことには始まらない。

 そう思って職員に訊いてみたのだが、首を傾げて奥に引っ込んでしまった。ヤケになってと言ったら言い方が悪いが、一発の賭けとして占い師の言葉を信じてみたのだが……。



「これは、ガセをつかまされたか?」



 そんな予感が脳裏をよぎって、苦笑い。

 もしそうだとしたら、大人しく帰って今後のことについて考えよう。


 そう思って、期待も何もしなくなった時だった。



「勝負師になりたいのかい?」

「え?」



 先ほどの職員に代わって、年老いた男性がやってきたのは。

 なんというか、仙人と呼ぶのが正しいと思える風貌をしていた。そんな彼は俺を見て、何度か頷く。そしてこう言うのだった。



「勝負師、というのは特別なクラスでの。ギルドの中でも秘匿され、試験を通過した者にのみ授けられるのだよ。どこで知ったかは知らないが……」



 そして、こちらに一つの首飾りを差し出してくる。

 かなり年季の入ったもので、真ん中には紺碧の宝石がはまっていた。



「それを身に着けて、ダンジョンに潜ると良い。そして――」



 男性は、どこか嬉しそうに言うのだ。



「キングドラゴンを、一体討伐してみせなさい?」








「キングドラゴンなんて、そんな馬鹿な話があるかよ」



 ひとまず首飾りを受け取って、俺はダンジョンへ。

 しかし討伐対象の名前に対して、いまだに震えが止まらなかった。というか、俺ごときの冒険者が単独で挑んではいけない相手だろう。



 ――キングドラゴン。

 その名の通り、ドラゴン種の頂点に君臨する魔物だ。

 身の丈は平凡なそれの数十倍あり、あらゆる属性のブレスを駆使する。そんなわけだから、パーティーを組んで討伐に当たるのは必須。

 それでなくても、超一流の冒険者がギリギリで敵う相手なのだ。



「逃げるか……? 死にたくないし」



 そして間もなく、キングドラゴンの巣食う領域――と呼ばれる場所――に足を踏み入れようとした時だった。俺の足は流れる魔力に竦んでしまう。

 よくよく考えれば、こんなの無茶も良いところだ。


 俺ごときが、こんなことを――。



「………………」



 でも、そこまで考えてから。

 俺の頭の中に、ケビンに言われた言葉がよみがえる。


 才能の欠片もない。

 役立たず――それ以外にも、幾度となく浴びせられた暴言が思い出された。

 ここで引き返せば、きっとまた同じ。後ろ指をさされて、惨めな生活が始まってしまう。だとしたら、俺は……。



「あぁ、くそ! こうなったら一か八かだ!!」



 俺はそこに至って覚悟を決めた。

 上手くいけば、起死回生だといえるだろう。

 冒険者になって今年で二十年。なにも成し得なかった人生、一発逆転の賭けぐらいはやってやろうじゃないか。




「よし、それじゃ――ん?」




 そう思って、一歩前に踏み出した。

 その時だった。




「へ……? うそ、だろ?」




 目の前に、三体のキングドラゴンが迫っていたのは。



「どうして、こんな!?」



 キングドラゴンは単独行動が基本だ。

 そのはずなのに、どうして――。



「でも――」



 だが、そこまで考えてから腹を括った。

 俺はもう逃げ出すのはやめたのだ。冒険者として死ぬのなら本望。

 憧れ続け、二十年の時を重ねたプライドを見せてやる――!



「え……?」




 そう決めた。すると――。



「なんだ、これ……?」




 首飾りが、突然に輝きを放つ。

 その光は俺の身体に、大きな変化をもたらすのだった。



 


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