プロローグ 追放後、起死回生。
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「お前には才能の欠片もねぇんだよ! いい加減にやめちまえ!!」
「な、そんな言い方ないだろ!?」
「誰かが言ってやらねぇとダメだろうが! 感謝しやがれ!」
「く、くそ……っ!」
パーティーリーダーであるケビンの言葉に、俺は唇を噛んだ。
たしかに俺はなにをやっても駄目だ。一応は【剣士】として研鑽を積んできたが、技術の上達にも限界がある。平々凡々な者は、それなりの成果しか出せない。
でも、それはケビンや他のメンバーも同じはずで……。
「本当に俺だけのせい、なのか? お前たちだって、平均より――」
「うるせぇよ、オッサン! お前と一緒にするな!」
「そうだぜ。オレたちはまだ若いが、オッサンは先がないだろ? そこが決定的な差なんだよ。理解した方が良いぜ?」
「…………な!」
それを指摘しようとしたら、他のメンバーから罵詈雑言が飛んできた。
思わずたじろぐと、ケビンがその隙を逃さずに宣言する。
「これで決まりだな。アクロ・ヴィーケル――」
口角を歪めながら。
俺の顔を指さして……。
「お前は今日限りでクビ。追放だ!」――と。
◆
「もう、冒険者は諦めた方が良いのか? くそっ……!」
昼下がりの街を歩きながら、俺は小石を蹴り飛ばした。
昨夜は完全に不貞寝。しかし朝起きても、気分はちっともスッキリしなかった。それもそのはず。今回の宣告は一方的だった。
「そもそも、全員に非があるじゃないか。それなのに――」
――どうして俺だけが、こんな目に遭わなければならないのか。
そんな気持ちが、ふつふつと湧き上がってきた。
しかしこれ以上気にしても仕方がない、というのも事実。俺は今後のことについて考えることにした。
「でも、こんな四十手前のオッサンを入れてくれるパーティーなんて……」
が、すぐに暗礁に乗り上げる。
俺――アクロは、今年で三十八になる。冒険者としてはベテランと呼ばれる域に達したわけだが、実力は決して高いものではなかった。
そんな人材を、拾ってくれるパーティーがあるとは思えない。
「どうすりゃ、良いんだ」
というわけで、お先真っ暗。
無職となったオッサンは、頭を抱えることになった。
そんな時だ。
「そこの殿方。少し、占っても良いかな?」
「え、俺?」
「そうそう。そこの、強面の」
「強面は言わないでくれ」
目深にフードを被った老婆が、声をかけてきたのは。
なにやら水晶をテーブルに置いていた。占い師、ということか。
「しかし、俺は金を持ってないぞ」
「いひひ。今回は特別、無料で占ってあげるよ」
「そうか? まぁ、それなら……」
そんな誘い文句を受けて、俺は半信半疑ながら対面の椅子に腰かけた。
すると老婆は静かに魔法を詠唱し始める。そして、
「どうやら、今後どうすればいいか悩んでるね」
短く、そう言い当てた。
占い師はさらに、こう続ける。
「アンタには【剣士】以外に、凄まじい才能が眠っているよ?」
「才能……?」
それに思わず食いついてしまった。
才能、という言葉。それは、俺にとって縁遠いものと思っていたから。
「アンタはこれからギルドに行って、クラスチェンジをすると良い。そうすれば、これまでの人生が嘘のように変わるよ?」
「それって……でも、いったい何になれば良いんだ」
「いひひ。そうだね、それは――」
こちらの問いかけに、老婆はこう答えた。
「【勝負師】という、誰も選ばないクラスさ」――と。
◆
「お、おい! お前ら勝手に逃げるんじゃねぇ!!」
数か月後、ダンジョンにて。
ケビンは逃げ出したパーティーメンバーに、そう叫んだ。
アクロをクビにしてから、このパーティーの均衡は崩れ去った。弱いながらも、アクロによる年長者ゆえの気遣いで成り立っていたパーティー。
それがなくなれば、崩壊するのは自明の理。
「く、くそ……! こんなところで!」
ケビンは折れた足を引きずりながら、必死に歩いた。
しかし、そんな彼の目の前に――。
「う、そだろ……!?」
一体のドラゴンが、姿を現す。
その大きさは、並のそれより数倍はあった。
つまるところは、手負いのケビン一人で相手にできる魔物ではない。
「あ、あぁぁ……!?」
情けない声を出すケビン。
しかし、そんな彼にも救いがあった。
「え……?」
一瞬の出来事。
何者かが、ドラゴンの首を一刀両断した。
さらには強力な魔法が放たれ、魔物の巨躯を焼き尽くす。素晴らしい連携による、魔物の討伐。ケビンは呆気にとられながら、それを見つめていた。
そうしていると、不意に声をかけられる。
「誰かと思えば、ケビンか」
「な、お前は……!?」
その声には聞き覚えがあった。
ケビンはすぐに、その名前を口にする。
「アクロ……!」
彼の目の前に立っていたのは先日、追放を言い渡した男だった。
男――アクロは、軽く口角を上げている。そんな彼の様子を見て、ケビンはとっさにこう言うのだった。ヘラヘラと笑いながら、懇願する。
「す、すげぇなアクロ! なぁ、もしよければ――」
厚顔無恥、という言葉が似合う表情で。
「俺と一緒に、やり直してくれないか?」――と。
されど、アクロはこう言うのだ。
「へっ……断るぜ。俺は――」
表情を崩さず。
ケビンなど眼中にない、といった様子で。
「俺の理想とするパーティーを作り上げるからな!」――と。
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