妹と過ごした時間
少し長いです。当者比
「お姉ちゃん、どこか行くの?」
「うん。すぐ戻ってくるからね?」
不安そうな顔に思わずそう答えてしまう。戻ってこられるわけがないのに.....
「嘘だ.....」
「え?」
「だって、お姉ちゃん悲しそうな顔してるもん。ねぇ、本当に戻ってくるの?」
そう言った、妹の目はまるで「本当のことを言って。」と訴えているようだった。
「わかりませんが、多分戻ってこれません。」
妹の目には涙が.....何となくは感ずいていたのだろうがそれでも実際に言われるとかなりショックを受けたのだろう。
「..ないで.....行かないで.....」
「ごめんね。きっとまた会えるから。」
そう言って、少女は兵士の後ろに付いて行った。後ろを振り返らずに。振り返ればきっと行きたくなくなってしい、足が止まってしまうから.....
「嫌だ~~!!お姉ちゃん~~!!」
短い間だったけれど、これだけ懐いてくれたのは素直に嬉しかった。が半面、あまり懐かれなかったらもっと別れるのが簡単だったのではと、少女はそんな事をつい考えてしまった。
妹にとってはもちろんのこと、誰かと過ごすことがほとんどなかった少女にとっても、この2週間はかなり楽しかったのだ。一緒にいただけで。
「.....ばいばい.....あなたと過ごした時間は絶対に忘れないから。」
それは、小さな声で絶対に妹に届くことは無い。しかし、少女にとってはそれだけで満足だった。思いを口にするだけで.....
――――――
「おらぁ、さっさと働け!!」
忙しく働く、奴隷たち。それらは、基本的に大人だ。子供は、奴隷商人たちが手間暇かけて育てている。商品として売るために。しかし、少女はそんな大人たちの中に混じって働いている。
「お前!!いつ休んでいいと言った?」
貴族が、倒れ込んでいた一人の奴隷に向かってそう問う。
「すっ、すいません。」
「謝るんだったら、さっさと働け!!」
「はい!!」
~数時間後~
ガシャン
鉱石が地面に落ち、大きな音が響き渡る。
「また、お前か!!」
「ひぃ、すいません、すいません。」
ひたすらに謝り続ける。
「はぁ、もういい。」
その言葉に少女は内心、ほっとした。しかし、安堵しているのは少女だけだった。他の奴隷の中には泣いている人もいていた。そして、その理由はすぐにわかった。
「おい!!こいつを引きずり出せ!!」
使えないから処分する。ただ、それだけのことだった。恐らくあの施設に送られるのだろう。少女の妹がいる施設に。
「いや、待て.....おい!!お前、ちょっとここに来い。偽物のやつ。」
「.....」
少女は周りを見渡す。すると皆の視線は少女に向いていた。
「私?」
偽物と言う言葉はどこかで聞いたことがあったが、少女はそれが自分のことだとは認識しなかった。
恐る恐る少女は貴族の前に行った。
「こいつの首を切り落とせ。」
そう言って貴族は、腰につけていた剣を抜き少女に手渡した。
やっと、タイトル回収.....
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