指名手配
「入国の目的ですか......まあ、観光です。」
「......わかりました。では、フードを外してください。」
「わかりました。」
別に指名手配されているほど有名な賊では無いので、全員特に抵抗なくフードを外す。
「はい。いいですよ。通ってください。」
「はい。」
「「「っ!?」」」
ゲートを通った時、壁にあった紙に思わず声を上げてしまいそうになった。
「あれって、完全にボスだよな。」
「そうだなぁ。」
「何したんだろ?」
「さあ?聞いてみるか?」
「そうだな。」
噂をすればなんとやら。既に入国を済ませたフェイトと合流する。
「なに?どうしてそんな目でこっちを見る?」
「いやぁ、ボスそっくりの人が指名手配されていたんで.....」
それに賛同するように残りの山賊も首を縦に振る。
「あ〜それはねぇ。こんなところで話できることじゃ無いからねぇ。」
隣を通り過ぎる人を見ながらそう言う。
「まあ、私にとっていいものじゃ無いしね。」
「「「.....」」」
「どうした?」
「いや、ボスも人間だったんだなって.....」
フェイトはふととあるところで聞いたことを思い出し
「.....人間か.....そうだったらいいな。」
どこか自傷気味にそう言った。そして、そんなフェイトを山賊たちは(((え?)))と思いながらそっと見つめていた。




