名づけの親
しかし、何も起こらなかった。
「え?これ失敗することとかあるんだ?」
あるらしい。
「じゃあもう、無理だから自分で考えて。金はいいから。」
「わかったよ。ありがとな。」
「おぉ。」
「しょうがない、一旦家に帰るか。」
――――――
「名前をどうしようか。」
ジェストが、メイルに聞く。
「それでいいんじゃない?」
適当である。と言うか、二つのことを同時にできるほどメイルの頭はスペックは高くない。
「いや、俺まだ何も言って無いから。質問しただけだから」
「メイルは何やってるの?」
「あなたの服を作っているのよ。ほら。」
メイルは少女に作りかけの服を見せる。
「こいつは、家事と魔法だけは得意だから。心配しなくても大丈夫だぞ。」
「魔法!?メイル、教えて。」
「ん~。」
「明日までに考えておくから、もう休んでおきな。疲れているだろう。」
ジェストの優しい気づかい。流石紳士。
「うん。」
――――――
「フェイトちゃん。ほら、新しい服ができたよ。ほら、着替えて。」
「フェイト?」
少女は突然メイルに渡された、服を手に問うた。
「君の名前だ。いい名前だろう。」
「はい。」
正直、少女にとっては何がいい名前なのかはわからなかったが.....
「さあさあ、着替えて。」
「うん.....」
――――――
「キャ~~、かっ、かわいい。」
メイルの視線の先には、真っ白服を身に纏ったフェイトの姿が.....
「これは、たまらんな.....」
「ロリコン.....私と言う者がいながら.....まあ、いいんだけど。」
「ねぇ、メイル。魔法教えて?」
そんな二人の反応は完全に無視をした、フェイトだった。
「ん?」
「冒険者になって自分で生活できるようにするために。」
「え.....どうして?」
困惑し、固まる二人。
「いつまでも、頼っていられないから。」
「頼ってくれていいんだぞ?」
「そうですよ。」
優しい二人。思わずずっと頼ってしまいたくなる。
「いや、できるだけ自分の力で生きていけるようになりたいんです。」
そこには、フェイトのただならぬ決意があった。
「.....わかりました。魔法を教えますよ。」
「それについてはいいと思うし、俺も手伝うよ。ただし、俺からお願いがある。」
「「お願い?」」
どうして、メイルも反応したのだろう.....
「あぁ、お願いだ。魔法を完全に使えるようになるまでは、俺たちの家に泊まってくれ。」
そのお願いを聞き、やっぱりこの人は優しいと思ったフェイトだった。
感想やアドバイスを頂けると幸いです。




