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プロローグ 「彼と彼女の舞踏会」


「あ、ちょ…お兄ちゃん」


 そう言って彼女は俺の手を退けようとする。が、俺はそれを断固拒否し、彼女の手を振りほどいた。


「こんなこと…いつまで続けるの?」


 彼女がそう言うのも当然だろう。俺と彼女はそういう関係ではない。嫌がるのも当たり前だ。

 だが、彼女の問いに対する答えとしては「ノー」だ。

 自分がイケナイことをしているという罪悪感を抱きながらも、俺の手は止まることを知らない。

 俺の手は縦横無尽に平らな絶壁を蹂躙する。

 その際に、小さな突起が俺の手のひらを刺激するのが、また何とも言えない心地よさだ。


「んん……」


 熱い吐息が俺の頬をくすぐった。

 嫌がりながらも、彼女の顔は紅潮して、熱く、甘い吐息を漏らし続けた。

 その様子を見て高ぶらない俺ではない。

 彼女の反応が速くなるのに呼応するように俺の動きも激しくなっていった。


「まだ、まだなの? これ以上は――」


 彼女はもう耐えられない様子だった。

 その証拠に俺のが当たるたびに彼女はぴくんぴくん、と身体を揺らしている。

 その様を堪能しながら、無意識に俺の口から意地悪な質問がつい出てしまう。


「どうした? 気持ちよくなっちゃったのか?」


 彼女はより一層、まるでりんごのように顔を真っ赤に染め、首を横に振る。


「そ、そんなわけ…ない」

「ふうん、俺を気持ちよくさせてくれよ?」

「ま、まだ足りないの? もう十分でしょ…?」


 もう止めて、と言わんばかりに顔を背ける彼女。

 だが、まだ解放してあげるわけにはいかない。

 まだだ……まだ足りない。

 動きがさらに激しくなる俺と彼女。

 彼女の吐息と俺の吐息が混ざり合う。

 深夜に、ふかふかのベッドで行われた俺たちの舞踏会は


「あ、らめえええええ‼」


 という、彼女の悲鳴にも似た合図とともに終演した。



 × × × × × × × × ×



「…で、どうなの?」


 気恥ずかしいのか、顔を合わせてくれないが、彼女はこちらを気遣う声音でそう問う。


「おう、おかげさまでばっちりだ!」


 俺は満面の笑顔を浮かべ、元気ハツラツとした声で答えたのだが、その答えに納得できないのか、彼女は大きいため息をわざとらしくついた。


「ど、どうしたんだ?」

「どうしたもこうもないわよ! なんで魔力を回復するのに私の胸を揉むのよ⁉ 普通、ポーション飲んだり、長時間睡眠取ったら回復するはずでしょ⁉ 意味分かんない‼」

 深夜にも関わらず、宿屋中に響き渡りそうな大声が俺の耳を貫いたが、俺に彼女をなだめる権利は無い。

「だ、だってしょうがないじゃないですか…。そういう体質なんですし」


 無意識に敬語になってしまったが、俺の言葉に偽りはない。

 つまるところ、俺は「女性のおっぱいを揉まないと魔力を回復できない体」なのである。

 もちろん彼女が言った通り、市販のポーションから怪しげな薬草まで全部試したが、駄目だったのだ。


 ―――このままでは魔力を回復できずにのたれ死んでしまう!


 ―――どうせ死ぬならおっぱい揉んで死のう‼


 とヤケクソ気味に彼女の胸を突如揉んだ所、神様の悪戯かいざ知らず、俺の魔力はみるみる回復していったのが事の始まりである。

 この体質のおかげと言ってはなんだが、おかげさまで毎日俺はこの眼前の幼女の胸をありがたく揉ませていただいているので、神様にもこの娘にも感謝の念を惜しむことはない。


「いや、本当ありがとうな」

「べ、別にそんな感謝してほしいわけじゃ…」


 俺の感謝の言葉が想定外だったのか、彼女はだんまりしてしまった。


「まぁ、そっちも気持ちよさそうだったしな。WIN-WINだな‼」


そして俺は畳みかけるように続けてこう発してしまったのだが、それが間違いであったことに気付いた時には時すでに遅し。



「ば、バカーーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼」



 再び宿屋中に聞こえる咆哮が轟いたのは言うまでもない。




 そして翌朝、宿屋の主人に「ゆうべは おたのしみでしたね。」と言われて、彼女が三度目のシャウトを響かせたことも言うまでもないだろう。



毎日投稿目指して頑張ります!!

シリーズものの小説を書くのが初なので至らぬ点もあると思いますが、応援していただければ幸いです。

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