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第四話 登録



「えっと……探求者をご希望との方はナナシ様とノフィティス様でよろしかったですね?」


予定していた町に到着するとちょっとした騒動があったものの(主にビィドが原因で)俺たちは探求者斡旋組合。ギルドの受付嬢と探求者になるための手続きをとして部屋の一室に案内された。

ちなみにビィドは使い魔として認められたが、見た目と大きさから町の外で待たせている。


「はい。問題ありません」

「申し遅れましたが、私は今回担当させて頂くクルシュと申します。では、こちらの書類にご記入下さい……代筆は必要ですか?」

「お願いできますか?」

「もちろんです」


クルシュと名乗った受付所は背の低い机の上に慣れた様子で用意していた羊皮紙に羽ペンとインクを取り出して書き込みをしていく。


「それではいくつか質問させて頂きますね。出身と年齢を教えて下さい」

「出身は嘆きの森近くにある小さな村で、名前はありません。歳は僕が二十五で彼女が……」

「十七になります」

「嘆きの森というと……あぁ、あそこですね。なるほど」


本当は嘆き森の中で育ったんだが、流石にまずいだろうからあの村を出身地とさせてもらった。


「お二人とも成人はなさらてるので手続き上は問題ありません。魔力適正はありますか?」

「すいません、なにぶん小さな村でしたので今まで測った事がないのです」

「では少々お待ちください」


そう言ってクルシュさんは一度席を外すと隣の部屋に行ってドッジボールサイズの水晶を持って戻ってきた。


「これは魔力の有無を測定する水晶で光の加減や色からその人の魔力量と得意魔法を調べる事が出来ます。

最初にナナシ様。水晶に手をかざしてみて下さい」


俺は言われるがままに水晶に手をかざすと白っぽい感じの光が水晶から発せられた。

おぉ、いかにもファンタジーっぽいな。


「これは……」


え?なんかクルシュさんが驚いた反応してるけど、ひょっとして凄いのか?


「えっと……非常に申し上げ難いのですが、ナナシ様の魔力量はCランク。つまり一般的な魔力量なのですが、無属性という珍しいもので、その……得意とする魔法はなく魔力があるだけの非常に稀有な方です」

「…………つまり?」

「魔力はあるけど、それだけ。っという事です……はい」

「マジかっ?!」


思わず素に戻ってツッコンでしまうが、しょうがない。

まぁきっとなんかには使えるだろうし、そうでなくても今までそれほど困った事にはならなかったので別に良いか……。別に拗ねてねぇぞ。


「えーっと、では気を取直してノフィティス様ですね」


話が進まないのでノフィティスが水晶に触れると俺よりも若干強い光を放つ。色は緑だ。


「おめでとうございます!ノフィティス様の魔力量はBランクで風系統の魔法が得意なようですね」

「それは凄いことなのですか?」


よくわかっていない感じのノフィティスは首を傾げてクルシュさんに訪ねているが、明らかに俺との反応が違うからそれなりに高位の位置なんだろうな。


「もちろんです!風系統の魔法は扱う人が余りいませんし、Bランクは千人に一人の割合でしかありません」


思ってたより凄かったぁっ!!

千人に一人とか最早才能じゃん!!


「……ちなみに無属性は?」

「えーっと、そちらは記録されてる五百年の歴史上でナナシ様で八人目となります。はい」

「そうですか……」


わぉーっ激レア中の激レアだけどまさかの下の方の激レアとか……。

昔から貧乏くじはよく引く方ではあったが、そういうのは全部その時の運だと思ってけど、もう運とかで誤魔化せるレベルじゃないよなぁ。

どーせ運がないならせめて右手にだけ変な力が宿ってて「イ◯◯ンブレイカーッ!」とか叫びたかったぜ。


絶望というか悲壮感に苛まれてる中でもやっぱりちょっとわかっていないノフィティスは目をキラキラさせて「やっぱりご主人様は凄い人なんだ!」みたいな視線を送ってくる。

やめろ、やめてくれ。俺にそんな純粋無垢な視線を向けるんじゃない。なんか虚しくなってくるじゃねぇかよ。


「で、では次に念のための確認ですが、今まで魔獣や魔物との戦闘経験はありますか?」


重い空気になりかけの所でクルシュさんが気を利かせてくれた。


「魔獣や魔物がどういったものかは正直分かりませんが、嘆きの森に生息する獣との戦闘経験ならあります」

「え……?そ、それは本当ですか?」

「はい。証拠になるか分かりませんが、僕らが今町の外で待たせている獣……ビィドはその森で出会って育てた使い魔です」


俺の返答にクルシュさんは数瞬固まってしまったが、すぐ気を取直して「確認しますのでしばらくお待ちください」といって急ぎ足で外へと出ていった。


「何か変な事いったか?」

「変な事かと聞かれたら耳を疑いたくなる気持ちにはなりますね」

「え、マジで?」

「ご主人様がどういった認識でいるのか分かりませんが、嘆きの森は四大魔境の一つとして数えられるくらい危険地帯ですからそこに生息する獣との戦闘経験があると聞いて驚いたのではないでしょうか?」

「ちょっと待てっ!聞いてねぇぞっ何だよ四大魔境って?!」

「いえ、私はちゃんとお話ししましたよ?大変危険な森だと。四大魔境の一つというのも話した記憶がありますけど、あの時はご主人様もまだ今ほど言葉が弁舌ではなかったので聞き逃してしまったのではないですか?」

「うっ……」


そういえばまだ言葉が辿々しい時に色々この世界のことに聞いたりして喋る練習をしてたからな……きっとその時話してくれたのを聞き取れずにいたんだろう。


あー、これはひょっとしなくてもやってしまったかもしれない。

出来れば余り目立たずに事を進めていきたかったが、まぁそれほど騒がれることでは無いはずだ。うん、きっとそうだ。

強いていうなら期待の新人が来たぞー程度で終わるはずだ。そうに違いない。

……ってなんで俺フラグ建設しようとしてんだ?一級建築士どころか資格なしのまま行きたいんですけど。


そんな切なる願いも虚しく。三十分ほど待っていたらクルシュさんと初老の入ったいかにもお爺ちゃんみたいな人が部屋に入ってきた。


「お待たせしました。私はギルド長のフォルゲムという。さっそく単刀直入に聞かせてもらうが、お主らは何者じゃ?」


おぉ。いきなりぶっこんできたなこの爺さん。


「と、言われましてもそこの書類に書いてあるように大したもんじゃありませんよ」

「バカをいうな。わしもそれなりに歳じゃが、まだボケとらん。お主たちの言っていた村じゃが、このギルドにはそこの出身者もおる。だが、そいやつらにお主たちの事を聞いても誰一人知るものはおらんかった。

……もう一度聞くぞ?お主らは何者じゃ?」


んー、やっぱすぐバレるような嘘はつくもんじゃないな。

それにこの爺さん。自分で歳だとか老人言葉を使ってはいるが、明らかに一般人の目と違う。

肉食の野生動物が得物を目の前にした時のような獰猛な眼差しで見つめてくる。

しょうがない、白状するかね。元々喧嘩は好きじゃないし話が進みやすいように着いただけの嘘だったしね。


「はぁ……出身がどこかと聞かれたら正直答えることが出来ません。僕はその時の記憶がありませんからね。

ですが、育ちは何処かと聞かれたら嘆きの森になります」

「なぁっ?!」

「えっ?!」


漫画でよくある「びっくりして目が飛び出る。顎が外れる」光景がよくあるが、まさかリアルでそれを目の当たりにする日が来ようとは……あぁ、もちろん比喩なんだけどね?


「バカな事をいうなっ!あの森で人が住める場所などあるはずがない!」


どうやらこのギルド長は過去にあの森に足を踏み入れた事があるらしく当時の事を思い出してか表情は暗く青ざめていく。

クルシュさんも同様だが、こっちは森に足を踏み入れ帰って来た者の惨状を見てきただけのようで、青ざめる事はあってもギルド長のように震えるほどではない。


このまま真実を話しても恐らく恐怖心からギルド長は俺たちの話を聞こうとしなくなるだろうから、少し脅しを含ませて語るとしよう。


「失礼ですが、ギルド長。貴方は人里出身ですか?」

「あ、あぁ。そうじゃ、生まれも育ちもこの町で若い頃には探求者をしておった」

「クルシュさん。貴女もそうですか?」

「はい。出身は違いますけど、ずっとこのギルドで働いています」

「そうですか、そうですか……あぁ。それは本当に実に羨ましい。いや、妬ましいといっても良いですね」


最大限自分の中で出てくる薄気味悪い奴を想像しながら俺はジロリと二人を見つめてゆっくりと口を開く。


「ならあなた方には分かりませんね。

降り続ける豪雨の中で空腹を満たす為に食べる虫の味を。どこで傷つけられたかもわからない中で高熱と激痛に苛まれる日々を。

歩むだけで命を刈り取られる恐怖を。

あなた方は知ることもなく育って来たのですね。

あぁ、本当に羨ましい限りです」

「ッ!!」

「ヒィッ!」

「ご主人様。そのくらいに」


おっと、流石に怖がらせ過ぎたか?

ノフィティスに宥められて二人に向ける視線を最初のように戻して笑顔を作る。


「失礼しました。なにぶん彼女以外の人と話すのは初めてなので、少し緊張していたようです」

「……いや、こちらこそ失礼した。所でお付きの彼女も?」

「はい。とはいっても彼女が森で暮らした日々は一年程ですが僕と同等の実力者ですよ」

「そうですか。無礼を承知で尋ねるが顔を拝見しても?」

「ノフィティス」

「……はい」


名前を呼ばれてノフィティスは町に入ってから初めてそれまで隠すように被っていたフードを外して二人に素顔を見せる。

二人は一瞬だけ表情を固めるが、流石は熟年ギルドに居座るだけあって不機嫌さも怪訝さも出さずにいた。

この世界は基本的に人間至上主義だと聞くが、対応を弁える事は出来るらしい。


「彼女はあるとき森の中で拾いましてそれ以来僕の付き人をしてくれてるんです」

「なるほど。それならあまり素顔を見せない方が良いじゃろう。中立国ならいざ知らず、この辺りは人間至上主義の者が多い。

下手な因縁を吹っかけて問題が起こることも多いからの」

「ご忠告ありがとうございます」


事情を知ったからかそれとも脅しが効き過ぎたのか、ギルド長の物腰が柔らかくなった気がするが、それなら問題ないので良いだろう。


「さて、それでは本題にはいるが……まず結論から言うとお主らを探求者として今すぐには迎えられん」

「理由は?」

「お主らが使い魔として飼っておるあの魔獣。あれは嘆きの森の中でもトップクラスの危険度を誇るヘルウルズという魔獣でギルドが定めている危険度としてはA級つまり金クラスの探求者にしか討伐依頼が出せない魔獣じゃ。

そんな危険な魔獣をまるで馬でも飼うように使っておるお主らの実力からして直ぐにでも迎え入れる態勢が整っておらんのじゃよ」

「待ってください。その前にその危険度とクラスについて教えて下さい」

「む?あぁ、すまんかった。クルシュ説明してくれるか?」

「承知しました」


どうもこの危険度とかクラスは一般常識として認知されてるようだが、俺のように森に引きこもってたり、奴隷として教養のないノフィティスからしたら何をいってるのかさっぱりだ。

まぁ話してるニュアンスで何となくは分かるけど、知ったかぶりをするよりも聞いておいた方が誤解も少なくなるだろうしな。


「では最初にクラスについて説明しますね。

クラスとは探求者の実力によって分けられるもので、新人探求者は石。駆け出しは鉄。実力者は銅。熟練者は銀。英雄と呼ばれる方々は金となります。

これらは基本的にチームとしての評価基準になっていて、個人での評価はしていません。当ギルドも二人一組を最低基準としています」

「ん?それだとどうやってチームの実力を図るんですか?」

「はい。それは後でお見せしますが、魔力適正に使った水晶とは別の水晶に触れて頂くと数値化されますのでそれを基準にクラスが上がって行きます。

例えば鉄なら御二人の数値が1000ずつなら問題ありませんが、一人が1500もう一人が500だった場合はクラスは石のままとなります」


なるほど、ゲームっぽい感じだけどわかりやすくて良いな。

具体的な目標があれば後はそれに目指すだけで良い。

人間何かしら目標がないと上を頑張れないもんだしな。


「では次に危険度についてですが、ギルドでは探求者のクラスに合わせて討伐依頼や未開拓地の調査などを行なって頂きます。

そしてその危険度とは一番低いFランクから最高難易度のSランクまであります。

ちなみにナナシ様達の使い魔はSランクから一つ下のAランクになりす。

だいたいの目安としてはFランクは石、Eは鉄、Dは銅、C・Bは銀でA・Sが金とこのようになっていますが、必ずしもこの通りというわけではなく、探求者のクラスアップ時には通過儀礼としてワンランク上の魔物を先輩探求者と共に討伐して頂きます」


なるほど、経験値だけじゃなくてそうやって少しずつ上へと上がっていくシステムになってるわけか……。

しかし話を聞いていて思ったが、本当に俺たちの扱いはギルドも困る存在なんだろうな。

実力も見せていないのに使えている魔獣はAランク。自然に考えれば英雄と呼ばれる金クラスなのだろうが、初登録で名前も知られていないのにいきなり金クラスが現れたとあってはギルド内にも混乱を招くきっかけになる。


さて、どうしたものかね。

突っかかってきた奴らを手当たり次第にボコって終わりにするのは簡単だがそれだと体裁が悪いし、後々後々シコリを残す事になるだろう。

かといって何もしないでいるというのは実力を疑われかねないのでやっぱりそれなりに証明出来るものが必要となる。

俺は少し考えたあとに証明になるかは分からないが、持ってきていた毛皮を取り出した。


「ギルド長の言わんとすることは大体分かりました。なので僕らの実力を多少なりとも証明出来るものとして私と彼女で倒した物をお見せしますね。

あ、買取をしていただけるのならついでにお願いします」

「む?一体なにを……これはっっ!!」

「えっ?!嘘ッ!」


ザックから取り出したのは数種類の毛皮や牙だ。

それを二人の前に並べるとまたもや驚愕に飛び上がっている。


「間違いないっ!暴君グラングリズリーの牙と毛皮にスイランの牡鹿、それだけじゃない触れるだけで猛毒に苛まれるとされる毒鳥ピィート……どれもこれもAランク指定されとる魔獣だらけではないか!」

「凄い……しかも綺麗に処理されて無駄に傷のついていないものばかりですよ」

「狩をしてからどれも時間は経っていますが、それでもここ一月辺りに狩猟した獲物です。あぁ、どれも防腐処理などもしていますから安心してください」


そういって換金予定だった品を机に並べてみたが、二人ともその一つひとつに目が釘付けになっていてちょっと面白いが、俺としてはそんなに凄いものだったのかと逆に感心してしまう。


確かにギルド長が最初に言っていたグラングリズリーだったか?名前から察して熊のあいつは暴君の名に恥じないくらいの暴れ馬だったが、デカくて毛皮などが鎧並みに硬いくらいで基本は猪突猛進の攻撃ばかりだったから割と倒しやすかった覚えがある。

それに比べれば最後に言ってた毒鳥の方が厄介だった。

いや、厄介というよりはめんどくさいと言った方が良いだろう。

あの鳥は一羽だけで数種類の毒を保有してたから抗体を作るのに時間がかかったからな。それでも苦労した甲斐はあって久しぶりに鶏肉を食べた時の感動は今でも覚えている。


話が逸れたな。けれどこれで実力の方は多少なりとも証明が出来たはずだ。

念のために出した毛皮は俺とノフィティスで仕留めたものだけだからビィドが仕留めた物に比べて比較的綺麗な筈だ。

ビィドが仕留めるとどうしても爪痕や噛み跡が残っちゃうからね。


「確かに人の手によって倒された物のようですな、しかし一体どうやって……」

「それは秘密です。僕らの狩は常人が成せる技ではありません。話半分に聞いて試す者がいたら確実に死ぬ事となりますからね」

「ふむ。なるほど確かにその通りじゃな。じゃがこの毛皮はどれを取っても綺麗なものじゃ。せめて使った得物だけでも教えてはくれんかの?」


んー。まぁそれくらいなら良いかなと俺はノフィティスに預けていた石槍を受け取ってギルド長に手渡した。

槍と言っても長さは一メートルくらいしかない短槍で見た目も簡素な作りだから凡そ武器と呼ぶよりは子供が作った玩具にしか見えない代物だ。

しかしこれは誰がなんと言おうと列記とした武器であり俺が長年愛用して試行錯誤の末に作り上げた得物、その名も毒針。

刃の部分の石は最初の頃に使っていた物とは違いたぶん黒曜石の一種と思われる石材で作ったので強度は段違いに高い。

その上刃の面にはわざと波打つような模様が彫られそこに様々な動植物から採取した毒を塗り込むとあら不思議。

表面張力を利用して作ったので刃にはどっぷりと毒が染み渡り、波打つ模様のせいで切り裂いたり突き刺した箇所が治り辛い仕様になっている。


森で学んだ事は沢山あるが、これはその中の教訓の一つで『一撃で仕留められなかったら兎に角逃げる。勝てないなら負けないようにすれば良い』って事で導き出した武器だ。

何たって森にいる連中の殆どは毒を使う。それならこっちだって毒を使ったって問題ないだろう?

この槍なら例え仕留められなくても毒で弱らせその間は逃げてれば勝ちやすくなるからな。


だがギルド長は短槍に目をやると呆れたような、苛立ちを募らせた感じの表情に変わる。

あ、これ信じてくれてないやつだ。


「ナナシ殿……まさかこれでグラングリズリーなどを討伐していた、などと申すわけなかろうな?」

「そのまさかですよ、ギルド長。何なら手合わせして確かめますか?その場合相手の命は保証出来ますが、しばらくは仕事ができなくなりますが」

「むっ……」


対人戦の経験は殆どないが、ある程度は予想できる。

何たって同じ人間だ。人体の動かせる可動範囲は正直たかが知れてる。

魔獣の中にはよくわからん、奇妙な動きをする奴はザラにいたからなぁ。それに比べたら初見でも何とかなるだろう。

ま、実際にやり合うつもりはないんだけどね。

あくまでも脅しの一種でしかない提案なんだが。


「それは面白い提案じゃな。それに上手くするとお主を金クラスとして迎える事が出来るじゃろう」

「え?」


あれ?マジですか?

軽い冗談で言ったつもりなんだけど、本気にされた?


「ま、待ってください。本気でやるつもりなんですか?」

「何をいう、お主の提案であろう?」

「それはそうですが、僕らには対人戦の経験は殆どありません。ああは言いましたが、本当に保証できるかわかりませんよ?」

「気にするな。ここは探求者が集う場所じゃ、未知を求める血の気の多い輩しかおらぬ。今目の前に未知の存在が現れたのならそれを知ろうとするのは我らの性じゃ」


おいおい、マジかよこの爺さん。

まずい……というかめんどくさいことになった!

状況からして最早言い逃れもできそうにない。


俺は自分の浅はかさを嘆きながら次からはもう少し言動には気をつけようと誓った。




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