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くっしょん話(幕間)④

「おらー! エルこの野郎! ご主人様をパシリに使うとはいい度胸じゃないか、アァ?」


 トラを回収しようと裏路地を探すも見付からず、首輪で位置座標を確認するとそこは件の兎姉妹の住宅だった。なので仕方無く一人で帰宅し、エルに構って貰おうと凄んでみる。


「冗談で言った伝説級の素材がこんなに……!」


 エルはエルで何やら感極まって涙を流している。どうしたお前。


「感動……! 生きている内に伝説を見れるなんて……!」


「五百年を生きるエルフがなんか言ってる」


 素材を掲げて小躍りする頭パーパラパーは放っておこう。


「マスター! 何処でこれをっ!?」


「おぶるぁ!?」


 踵を返してエルの研究室兼私室から出ようとしたら、襟を引っ張られて首が締まったでござる。よし、殺そう。


「何しやがるこの鉄板胸!」


 牙を剥いて禁句を吐くと、エルは雷に打たれたかのように背筋を反らし、ゆらりと幽鬼のごとき重圧を発した。


 エルフが総じて小柄などとうの昔の古い話。今では異種族と子供を作ったりしている為か、エルフでもスタイル抜群でグラマラスな女が存在する。というか、大体が豊満である。

 そんな中、そんな中でだ。このエルは体型に恵まれた環境の中、一人貧相な体で過ごしていたのだ。


 五百年も。五百年も!


「マスター、女性のコンプレックスを弄る、それいくない」


「うっせ! いつもいつもカップルを見掛ける度に私は高潔なのとか言い訳しやがって! どうせあれだろ!? 男を作っても挟めねぇから愛想つかされたんだろ!? そんな貧乳が俺は好きだあ!」


「屈辱っ。挟めないからなんだと言うのか、揉みごたえが無い? 放っておいてほしい……! ……マスター、最後なんて言った?」


「ド貧乳」


「よろしい、ならば戦争だ……っ!」


 互いにメンチを切り合い、ある物を持って庭へ出る。


 適当に足の短い丸テーブルを設置し、その上へある物を置いた。掌サイズの人形はしっかりと両足で体を支えている。

 それは子供に大人気商品の一つ、魔力を使って動かし取っ組み合わせる魔導人形。

 その名も! 『ゴー! ゴーレムレンジャー』である!

 だせぇ。しかもツッコミどころしかない。

 トントン相撲を参考にして作ったのは俺だけど、なんでこんなネーミングにしたのかねー。子供に人気だから、いいっちゃいいんだけどさー。


 実際、五人組で出場できるちょっとした大会も開催されているし……。

 複雑な心境なり。


「ふっ。パワーファイターなマスターに、このテクニック重視のゴーレム『トリステネス』に勝てる道理はない……!」


「言ってろ耳長娘。てめぇの小手技なんざ、圧倒的パワーで捩じ伏せてくれる!」


 以下、ダイジェスト。


「先手必勝! くたばれ三下ァ!」

「甘い、マスター」

「なにィ!?」


「今度はこちらの番――なんと! これだけやって崩れない……!」

「馬力が違うんだよ、馬力が!」

「くっ! でもまだまだぁ!」


「なぁー、トラまだ帰って来ねぇの? いい加減腹減ってきたんだけどー?」

「マスターに教えてもらった座標で、バタバタしてる」

「モテ期か……」


「あれ? 主様ー、なんですかそれ?」

「おー、ラド。やってみる?」

「はい! やりますやります!」


「意外、マスターと同じパワー型を選ぶと思った」

「スピードこそ攻撃の要なりー!」

「けど結局は脳筋。テクニックの大切さを教えてくれる……!」


「この俺に勝とうなど、数世紀早いわっ!」

「まだまだ荒削り、ラドは光るものがある」

「この二人は手加減を知らなすぎるぅ!!」


「あー、疲れた」

「お、ようやく帰ってきたか」

「大将ゴーレムバトルしてんのか、俺も混ぜてくだせぇ」


「何故!? 同じスピード型でこれ程の違いが出せるのですか!?」

「スピードの真髄は翻弄にあり。どれ、お前を俺の弟子にしてやろう。よしっ! 朝まで特訓するぞ!」

「あ!? 私知ってる、このパターン! 助けて主様ー! あーっ! 見捨てないでぇー!」


 今夜のシチューは絶品だった。

 迷走回。

 金・土・日は毎度忙しい為更新出来るか不明。

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