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ユイがいる『お菓子』で『おかし』な日常  作者: 阿礼 泣素
2章 目指せ! この世のてっぺん、ユイドラシル!
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なあ! 『ユイ』!

「はーい! みなさーん! そこまでー! そして、みなさーん! これから言うことを良く聞いてくださーい!」

 美甘先生が拡声器越しに大声で皆に届くような声で呼びかけた。


「ここ《ユイマイルワールド》では人殺しなんかは一切起きませんし、誰かが死んじゃうなんて言う展開もありません!

 クラスの皆で最後の一人になるまで殺し合うっていうような物騒で殺伐とした世界ではありません!

 悪役は存在しませんし、誰もがみんな主人公なんです!

……まあ、誰かさんはこれからヒーローを気取るつもりだったように見えましたが、この《ユイマイルワールド》はちょっと《お菓子》で、おかしな魔法が使える世界っていうただそれだけなんです。

 先生は将来有望な若い芽を摘む気は一切ありません。まあ、これは、いわゆるあれです。動作確認を兼ねた試運転ってやつです。みなさん思う存分本気になってやっちゃってくれたみたいだからその点に関しては大丈夫だと思います。


 さあ、お腹が空いたでしょう。今日は先生が皆さんのために用意してきた美味しいスイーツがあるのでみんなで仲良く食べましょう!」


 美甘先生はそう言って皆を集めて、懇切丁寧に用意してきたお菓子を振る舞った。


そして、ここで全員集まったかを確認するために点呼が行われた。夕影たちはここで初めてクラス全員の顔と名前を一致させることとなった。


「一番、天彩(あつや) 心結(ゆい)!」


「二番、我舞谷(がぶたに) 由龍(ゆいり)!」


「三番、彈野原(だんのはら) 唯虎(ゆいこ)!」


「四番、牧ノ(まきのや) 弓射流(ゆいる)!」


「五番、水会(みずえ) 雪凍乃(ゆいの)!」


「六番、無相(むそう) 有意味(ゆいみ)!」


「七番、夕影(ゆうかげ) 惟斗(ゆいと)!」


「八番、ユイアーネ・ユルゲンス!」


 それぞれが自分の名前を呼ばれ、返事をする。夕影はこの点呼を聞いてこの世界が、《ユイマイルワールド》だと言われた所以を改めて実感していた。


――ほんとに「ユイ」ってつく名前ばっかなんだな……


 ここで夕影はあることを思いつく。


――あれ……ってことはもしかして……


 夕影が想像した通りになる保障は全くなかったが、それでもやってみるだけの価値はあるのかもしれない。そう思った夕影はその思いつきを行動に移すことにした。


 ……夕影は不特定多数の周りの人間に向けて言った。


「なあ! 『ユイ』!」


「……ん?「何?「呼んだ?「はい?「なんですか?「……?「え?「何かな?」


 先生を含む八人の「ユイ」ちゃんが夕影の方を振り向いた。実行した夕影はあまりにも上手くいきすぎて驚きを隠せないでいた。


「な、なんでもないです……」


 用もないのに呼びつけてしまったため、きまりの悪かった夕影であったが、そのことについては誰からも咎められることなく収拾がついた。


――それもそのはず、奴は唐突にやってきた。


名前覚えるのめんどくさかったら、みんなユイちゃんでいいです。


次回は明日6月5日7時更新です。

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