唯「虎」と由「龍」
「ああ、俺たちはお菓子といわれてどうも洋菓子しかイメージしてなかったけど、《克巧力》は和菓子だって適用できたんだ……」
《ドキッ! ゆいちゃんだらけの大乱闘会》二年クレープ組との戦いの最中……
「唯虎! 私と貴様、二人でやつらを倒すんだ!」
「ユイアーネ! 何か勘違いしてるんじゃないのか? 私たちの間に協力だとか連携だとか、そんな仲良しごっこみたいなものがあったってのかよ!」
彈野原がユルゲンスに一喝する。ユルゲンスもその一言ではっと我に返ったようで、
「そうだな! どっちが先にやつを倒すか勝負だ!」
彈野原とユルゲンスとの関係はあくまでもライバル、友達と書いてライバルと読むなどという甘っちょろいものではない。純粋な競争相手、上をいかれたら気に食わないからそれを越えていく、理屈では説明できない、そんな関係。
「くくく……私たちに刃向かおうなんて、愚かな人たち」
「一太刀だけに……ね。姉さん」
――《金鍔銀河》(金色の銀閃)
姉であるユーイネスが抜刀し、その金色に煌めく斬撃が彈野原とユルゲンスを襲う。
「ふん! その程度!」
「効かぬなあ!」
攻撃をもろともしない二人であったが、すかさず妹のユーイラスが追撃を図った。
「ようかんはようかんで食べてねって!」
――《羊羹角煉》(羊羹の予感)
ユーイラスの手にはごつごつと堅牢な装飾がなされた重厚な槍、その槍で二人を串刺しにしようとしていた。
「おいおい……この唯虎様に槍で勝負しようなんて良い度胸じゃあねえか!」
――《黒槍突衝》(ブラックブラウニー)
これでもかと言わんばかりに禍々しい邪気を放つ黒槍、彈野原はそれを手にしてユーイラスに立ち向かってゆく。
「くくく……だからあなたたちは愚かな人たちなんです」
「落雁だけに、楽に逝ってね! そんで、これにてオチがつきましたって!」
――《落雁穴陥》(落雁の陥落)
彈野原とユルゲンスの立つ足元に大きな穴が出現し、二人はその穴に真っ逆さまに落ちてゆく。
「愚かなあなたたちにプレゼントよ!」
――《撒菱金平糖》(荊棘の金平糖)
ユーイネスが作った大穴、そしてその穴にビビッドカラーの撒菱が容赦なく投入される。
「そしてこれは、私からの思いやりだよ。重い槍だけに」
ユーイラスは先ほど生成した槍をそのまま彈野原とユルゲンスのいる大穴へ投げ込んだ。
「…………」
「…………」
ユーイラスは反応のない穴のほうに向かって精一杯煽り文句を言ってみた。
「ねえ? ねえ? こんなくらいでやられないよねえ? 何っ! 傷一つないなんて! みたいなのやってみたいんだけど……これくらい、かすり傷だ! みたいなセリフ、聞いてみたいんだけど! こんなものか! なんていう相手を見下し、見縊り、嘲笑するようなセリフを聞いてみたいんですけど!」
「……ユーイラス、来るわよ!」
茶屋ヶ坂姉妹の前に現れたのは傷一つどころではすまないくらいに負傷した彈野原、ユルゲンスの姿だった。
――《餡子彈豪》(あんこだんごう)
ユーイラスはまるでつまらないエンターテイナーに向かって投石するように、興ざめだと言わんばかりに冷めた一撃をくらわせた。
二人はそれを避けることなく、そのまま受け入れた。
「避ける力も残ってないのですか……ああ、哀れ! ああ可哀そうに!」
ユーイネスは神に祈りをささげる真似ごとをしながら挑発するも、それらは彈野原、ユルゲンスに伝わる様子がなかった。
次回は7月22日7時更新です☆




