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ユイがいる『お菓子』で『おかし』な日常  作者: 阿礼 泣素
9章 終幕! 一年エクレア組の天上天下ユイちゃんが独尊カップ!
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初戦突破

夕影は天にも昇るような気持ちになった。天彩から労いの言葉を頂けるなんて、まさに、幸甚の至り!


 夕影が心の内で至上の喜びを噛みしめていた、その時、遠くから聞き覚えのある声が聞こえた。


「みんなー! とりあえず初戦突破おめでとーう!」


 そこには両手いっぱいに袋を抱えた美甘先生がいた。荷物がいっぱいで今にも躓いてこけるんじゃないかという危うさを感じさせてい……


「あっ……」


 気がついたときには美甘先生は足がもつれて前のめりに転倒しようとしていた。両手に抱えていた袋から色とりどりのお菓子たちが我先にと言わんばかりに宙を舞う。


――《衝吸撃収》(アブゾーブスポンジケーキ)!


 そして、


――《緩和柔和》(リラクションメレンゲパイ)!


「ああっ! それは私のっ!」


 無相は自分の技を他の人に使われたことに対して、無感動ではいられなかったようで感嘆の声を漏らした。


「やっぱり有意味ちゃんの技って意味あるね」


「非常に意味がある、即ち効果覿面! ってやつだな」


「まあ、みんな他のメンバーの技も見てたらなんとなく使えちゃうんだよね……」


 そう言って一年エクレア組の生徒は宙に舞ったお菓子たちの回収に成功した。


「みんな……ありがとう! それは私からのささやかな差し入れよ!」


 美甘先生は転倒したせいでずれた眼鏡をもとにもどしながら言った。


「さすが先生! ありがとうございます!」


「夕影プロデューサー良く頑張ってくれました! そしてこれからも頼むわよ!」


 美甘先生からの謝辞は夕影プロデューサの心にさらなる火を灯した。


――俺だってやればできるんだ、俺だって……


 夕影に芽生えた自己肯定観、自分はダメなんかじゃない、そう確かに感じることが出来た。


「夕影惟斗、なにやってるんですか? 早く食べないとなくなっちゃいますよ!」


「ここからここまでは私が食べる!」


「何を言う! これは私が食べるんだ!」


「まあまあ、先生はいっぱい持ってきてくれたんだし、仲良く食べましょうよ」


「水会ちゃんの言う通りよ、唯虎もユイアーネももっと味わって食べなさい」


「我舞谷さんは食べながら話をしない! はい、夕影君のぶんとっておいたよ」


 天彩はそう言って夕影にカヌレとフィナンシェを手渡した。ほんのりと香って来るその甘い芳香にそして天彩のやさしさに、夕影は心が洗われるような気がした。


「天彩……ありがとう。俺は嬉しい、嬉しいよ……」


「夕影プロデューサー、頑張ってくれたもんね! お疲れ様……」


「ひゅーひゅー! お似合いおにあい!」


「よっ! 見せつけてくれちゃって!」


「さすが、正妻の余裕ってやつかしらね……」


「心がトゥンクします……」


「公衆の面前ってことを意識してほしいわ……」


「意味あるかないかで言えば意味ありますね」


 夕影と天彩の一連の所作を目の当たりにした皆は言いたい放題言っていた。


「みんな……忘れてるかもしれないから言っておく……俺たちの戦いはまだ終わったわけじゃないんだぜ。俺たちの戦いはこれからも続くんだ!」


「何を打ちきり漫画の常套句みたいなこと言ってんですか。そんなこと分かってるに決まってるじゃないですか、ねえ……」


 無相がそう言って皆の方を見ると、皆の動きはまるで時が止まったかの如く静止していた。


「し、し、知っていたとも、もちろんね」


「なんで騒いでるのかって見失ってなんていないんだからね!」


 しらばっくれるものもいれば、


「人は忘れる生き物ですし……」


「過ちは誰にでもあるわ。大事なのはその後どうするかってこと……」


「そうよ、人は失敗から学んでゆくってのは良く聞く話よね」


 開き直って悟りを開く者もいた。


「まあ、これからも頑張りましょうってことで!」


 天彩が良い感じにまとめようとして、一年エクレア組の初戦突破パーティは幕を閉じることとなった。

「そうだな、一年エクレア組! これからも頑張っていこう!」


 夕影は天に拳を突き上げ、奮起していた。


――これからも、頑張ろう!


――この一年エクレア組で!



 だが、夕影達は知らなかった。


 これからどのような戦いが待っているのか。


 次の対戦相手、一年キャラメル組が、一体どのような力を秘めているのかを……



次回は7月18日7時更新です☆

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