「光」樂と夕「影」
「悪いけど、お姉ちゃん……私はお姉ちゃんを越える!」
その頃、夕影と光樂は、
「惟斗! 分かったよ! 惟斗は僕との一騎打ちを望むんだね!」
「幽絲! 俺はお前を倒してこの戦いに勝利する!」
二人のユイトはエクレア組、ババロア組それぞれの代表としてしのぎを削っていた。恰好は二人とも美少女そのものだったが、その戦いぶりは女々しいなどと形容するにはあまりにも豪快で雄々しいものだった。
――《黒溝虚沈》(ヌガーガイルカヌレ)
地盤沈下が起こったかのように、夕影の立つ地が途端に揺らぎ文字通り足元を掬われてしまった。
「くっ……やるな……幽絲……でも!」
――《光王撃雷》(バスタードプディング)!
迅雷一閃、光樂の動きがたちまちに止まった。
「さすが有名洋菓子店の息子は一味も二味も違うね……僕みたいな素人じゃ太刀打ちできないじゃないか……」
夕影はてっきりここで光樂が諦めて降参するんじゃないかと思った。そのくらい光樂の姿は小さく見えたし、戦意を失い衰弱しきっているように見えたからだ。
「だけど、僕だって無駄に幼馴染やってないよ! 惟斗の家で食べたあのお菓子の味を忘れはしない! それこそが僕の最高の武器なんだから!」
――《暗夜月光》(ムーンライトエクレール)
光楽は勝負を諦めてなどいなかった。貪欲にそして狡猾に勝利への布石を打とうと考えていた。視界は暗がりの中へ、光楽によって光が失われる世界へと誘われる夕影。
「う……お……」
光樂は夕影に力を誇示したいだけ、ただ夕影と一緒に遊びたかったという無邪気な気持ちがあっただけなのかもしれない……
暗がりの中で光楽が作り出した光の刃が夕影を一刺しにした。光樂の夕影に対する愛が具現化したかのように、光樂の溢れ出る一途な思いが夕影の心に直接刻み込まれたかのように、その攻撃は夕影を逃すことはなく、しっかりと心臓の部分を捉えていた。
――はずだった。
「え……あれ……」
光樂は気がつくと天を仰ぐ形をとってその場に倒れていた。
「幽絲の気持ちは十分受け取ったぜ! だけど……俺の方が上手だったってことで!」
夕影は光樂が渾身の一撃を放った時、咄嗟に光を屈折させ虚像を作り出していた。まるで夕影があたかもそこにいるかのように演出していた。
「《克巧力》を使えばこんなことも出来るんだな……思いつきだったけど上手くいってよかったぜ……」
ふう、と一息ついた夕影、水会の方は大丈夫だろうか? そう思いふと水会のいる方を見遣った。
「おいおい……ちょっと、待てよ……」
夕影は脇目も振らず駆けだした。
次回は7月13日7時更新です☆




