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ユイがいる『お菓子』で『おかし』な日常  作者: 阿礼 泣素
7章 激突! 1年エクレア組 VS 1年ババロア組
36/59

鼓舞

「あいあいさー!」


 二人が作業に取り掛かろうとした、その時……


 ガチャン。


「皆さん! お待たせしました! そう、私はもう大丈夫ですっ! 過去の因縁と決別しました、かつてのトラウマを克服しました、もう今までの私じゃないんですっ! 私は今度こそお姉ちゃんに追い付いてみせますっ! そんでもってお姉ちゃんを越えるアイドルになってやるんですううううう!」


――って、なんですかこの状況。


 水会が部屋に戻ってきたときには意気阻喪だったはずの皆の顔に精気が宿っていた。というかリラックスしすぎて今からババロア組と戦うなんて想像できない。


 むしろこれからホームパーティでも開催されるんじゃないかと思えるほどの安心感……


「ほんと、ここはもっと私にスポットライトを当てて、私の葛藤を丁寧に描くとこじゃないんですか? なんでこんなにもないがしろにされてんですか? 誰か私を追ってきてくれても良かったんじゃないですか? もしも私がこのまま戻ってこなかったらどうするつもりだったんですか!」


 しばらくの間放っておかれたままだった水会はここぞとばかりに不満を口にしていたが、それに夕影があっさりと答える。


「それは水会を俺が、いや、俺たちが信頼していたからだよ……」


「いやいや、私は夕影さんに言ってるんです! 全く、部外者は黙っててください!」


 水会には目の前にいる少女が夕影であるとは分かるはずもなく、その存在を無下に扱っていた。そして、あろうことか水会は牧ノ矢の目の前で止まり、牧ノ矢に向かって言った。


「あなたですよ! 夕影プロデューサー! 私はあなたを信用して舞台に立つ決意をしたんですから!」


「いや……まあ……私にそんなこと言われてもねえ……私は牧ノ矢 弓射流、みんな知ってる牧ノ矢さんよ」


 苦笑する牧ノ矢、水会が間違うのも無理はない。水会が熱弁しているうちに、天彩と無相が牧ノ矢のメイクを終了させ、その容姿をそっくりそのまま夕影惟斗のものとしてしまっていたからだ。


「だから俺はこっちだって言ってるだろう……」


 夕影は水会に向かってもう一度説得を試みたが、その結果水会は……


「だって、牧ノ矢さんが夕影さんなわけないじゃないですか。いや、夕影さんが牧ノ矢さんで……あれ、あれ、あれ……」


 水会はいともたやすく惑乱に陥った。


「雪凍乃ちゃん……あのね……」


錯乱している水会に対して天彩が事情を説明することで、この事態は収束した。


「なるほど……そういうわけだったんですね……」


 全てに合点が行った水会はようやく平静を取り戻した。


「……みんな! 準備は出来たか? 少し俺の話を聞いてくれ」


 夕影が皆に呼び掛け、皆の視線が夕影に集まる。


「俺は今までみんなと頑張ってこれて良かったと思ってる。俺はみんなと一緒に一生懸命になれたことで大切なことを教えてもらった……俺は……」


「なんなんですか夕影惟斗、このいかにも最後のお別れ的なお話は……」


 無相は夕影の話の途中で無粋に不格好に口出しする。


「……そうだな、無相! こんな前置きはいらないか! ……俺たちは今からババロア組と戦うわけだけど、俺はこの初戦を突破することは何よりも大切だなんて大仰なことを言うつもりはない。俺が言いたいことは一つ! 勝ってまたみんなで美味しいお菓子を一緒に食べようぜ! ってことだけだ!」


――ってなわけで、一年エクレア組! 各々作戦通りに行動せよ!


「「「了解!」」」


挿絵(By みてみん)

次回は7月2日7時更新です☆

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