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ユイがいる『お菓子』で『おかし』な日常  作者: 阿礼 泣素
7章 激突! 1年エクレア組 VS 1年ババロア組
35/59

《白粉卵白》(メイキングメレンゲパイ)

夕影は鏡を見て愕然とする。


――俺の目の前にいるのは……誰だ?

 我舞谷が目を丸くしたのも無理もない。特殊メイクを施したのではないかと錯覚するほど、夕影の顔は変貌していた。


「すごい! 自分の顔じゃないみたいだ! 天彩も無相もメイクの才能あるよ!」


 夕影は二人を絶賛したが、もちろんこの一連の夕影メイキングにはトリックがあった。


「そりゃあ……まあ……使っちゃったからね……」


「まあ、ちょっとだけだし……必要経費ってことで……」


――まさか……二人とも……


 夕影と目を合わせようとしない二人、夕影の嫌な予感は的中した。素人レベルを遥かに凌駕するその技術は、この世界でしか実現することが出来ない、《克巧力》を使ったものだった……


「《白粉卵白》(メイキングメレンゲパイ)! 実はこれを使って一発変身ってわけでした!」


 無相はパイ投げに使われるようなホイップクリームたっぷりのパイを自身の体内のカロリーを消費して生成した。


「なるほどこれを使ったのか……《克巧力》ってのはこんなところにも使えるんだな……って戦い前に簡単に《克巧力》を使うなよ!」


 夕影は二人の軽挙妄動を咎めようとしたが……


「待てよ……これを使えば……」


 これを見た夕影はあることを閃いた。


「そうだ! 牧ノ矢、我舞谷! これに突っ込んでくれ!」


 我ながら妙案が浮かんだものだな、と自画自賛している夕影であったが、もちろん二人は了承するはずもなく……


「嫌よ」


「遠慮するわ」


 一瞬の迷いもなく、一蹴されてしまった。


「そこをなんとか頼む!」


 折れることなく夕影は二人に懇願の姿勢を貫く。


「どうして私たちがそんな芸人みたいなことをしないといけないのよ」


「まずはそれを説明してからにして欲し……ぶふぉ」


 牧ノ矢の顔に真っ白のパイがめり込んだ。実際こうして目の前でこのパイ投げを受けているのをみるとなんともシュールでコメントするのも難儀であった。


周りが唖然としている中、彈野原とユルゲンスが親指を立てて夕影を一瞥した。


「四の五の言わずにとっとと覚悟を決めるしかないだろう」


「ああ、私もユイアーネの意見には賛成だ」


 さあ次はお前だと言わんばかりに、二人は指をボキボキと鳴らしながら、我舞谷に迫っていく……


「ちょ、待って、まだ私、心の準備がま……ぶふぉ」


 彈野原に後ろから羽交い絞めにされた我舞谷は身動きをとることが出来ずに、ユルゲンスから白磁のようにそして雪原のように真っ白な白粉をいただくことになった。


「さあ! 天彩、無相、ちょっと今から俺の言う通りに二人をメイキングしてくれ!」


 夕影は顔面蒼白、というか顔面白白の牧ノ矢、我舞谷をものともせずに冷静に二人に指示を出していた。


「あいあいさー!」


 二人が作業に取り掛かろうとした、その時……



次回は7月1日7時更新です☆

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