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ユイがいる『お菓子』で『おかし』な日常  作者: 阿礼 泣素
4章 英断!? 夕影プロデューサーの決意
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女装癖のある変態

 わけのわからない理屈を言ってなんとか今の状況を打開しようと画策する夕影だったが、夕影に残された道は覚悟を決めることだけだった。

「誰をプロデュースすれば良いか……? それならセルフプロデューサーで良いじゃないですか。女の子は誰だって、セルフプロデューサーなんですから」


「俺は女の子じゃない! 歴とした男性だ!」


「今から女の子になるんじゃないですか。まったく、何言ってるんですか」


「そのセリフ、そのままお前に返してやるよ、何言ってるんですかはこっちのセリフだ! なんで俺が女の子になんなきゃなんねーんだよ! なんで俺が女装しなくちゃいけねーんだよ!」


 はあはあ……全力で応答しすぎてすっかり息が上がってしまった夕影。それに対して無相は飄々とした佇まいである。


「そろそろ観念したらどうですか、往生際が悪いですよ。そんなに抵抗したって無意味なんですよ。人生の物事は大別すると二つに分けることが出来ます。意味のあることと、意味のないこと……そして、今、夕影惟斗が行っていることは完全に後者です。ほんと暖簾に腕押し、糠に釘、豆腐にかすがいなんですよ。無駄で無意味で無価値なんですよ。そんな夕影惟斗だって今から生まれ変われるんです! 良いですか? 今から夕影惟斗は女装癖のある変態に変わるんです。さあ、皆さんご斉唱下さい」


「夕影惟斗は女装癖のある変態、夕影惟斗は可愛いかわいい男の娘!」

「夕影惟斗は女装癖のある変態、夕影惟斗は可愛いかわいい男の娘!」

「夕影惟斗は女装癖のある変態、夕影惟斗は可愛いかわいい男の娘!」

「夕影惟斗は女装癖のある変態、夕影惟斗は可愛いかわいい男の娘!」

「夕影惟斗は女装癖のある変態、夕影惟斗は可愛いかわいい男の娘!」

「夕影惟斗は女装癖のある変態、夕影惟斗は可愛いかわいい男の娘!」

「夕影惟斗は女装癖のある変態、夕影惟斗は可愛いかわいい男の娘!」


 夕影を除く七人の生徒が無相に続いてまるで呪文のようにこの文言を唱え出した。


「どうしてお前らそんなに息ぴったりなんだよ……」


 まるで示し合わせたかのように、まるであらかじめ台本があったかのように、七人は団結していた。

「阿吽の呼吸、以心伝心ってやつですね」


 皆は思いのほか息が合っていたので満足そうな笑みを浮かべながら、うんうんと頷いていた。


「分かった……腹をくくることにするよ。無相の言うとおり、俺は舞台に立とうと思う。だけど、別に俺だけが戦うわけじゃない。俺たち……一年エクレア組のみんなで戦うんだ! そのことを忘れないで欲しい」


 語気を強めて夕影は言った。これで、綺麗な感じでこの場を締めることが出来たと思ったが、それは甘い考えだった。


「なんなのそのセリフ、まるで学級委員長みたい……」


「学級委員長だ!」


「可愛くおめかししてあげるから、楽しみにしといてね! 惟斗ちゃん」


「ちゃんをつけるな!」


「た、たぶん似合うと思いますっ!」


「ああ……それはどうも、ありがとう……」


「別に、あなたと一緒に戦うと言っても一時休戦ってだけだから。変に仲間意識を持たないで欲しいわ」


「まだ敵対関係にあるってのかよ!」


「惟斗! バックダンサーやりたい!」


「私もだ! ぜひともやらせてくれ!」


「唯虎もユイアーネもそのことについてはあとで決めような」


「ふふふ……私の完璧なプランが始動ってとこですか。やっぱり意味がありましたね。ってかなんだかんだ言ってみるもんですね――まさか採用されるなんて……どうぞご自由に私のことを敬ってください、崇めてください、奉ってください」


「何言ってんだ、有意味のせいでこっちは大変なんだよ!」


 一通り皆が惟斗にコメントしたところで、アイドル選抜オーディションは幕を閉じた。審査員だったはずの夕影がまさかアイドルに選ばれるなんて誰も予想はしなかっただろうが、この展開が一番収まりの良い展開であったということは言うまでもない。夕影はこれから旧友の光樂幽絲とステージの上でバトルを繰り広げることとなる。だが、夕影はこれからさらなる苦難が待ち受けていることを知らないのであった……




次回は6月17日7時更新です。

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