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1.いくらしたの…

お父さんは元スポーツ選手、お母さんは医者という、多忙でお金のたくさんあるお家に藤堂みうは生まれた。そう、それだけなら別に構わない。多少寂しかろうが、少々ずれた感覚を持っていようが別に構わなかった。


たとえ、誕生日パーティーに父の現役時代の仲間やライバル、後輩が大量にやってきて週刊誌の一部にのろうと…。母親の患者が何故か家出に我が家を選ぼうと…。父親が女装して家に帰ってこようと…。みうにとっては幼き頃からそういうことはよくあったし、みう自身に害はなかったのであまり気にしたことがなかった。


しかし、1つだけやめてほしいことがあった。それは過剰なほどみうに物を買い与えることだ。例えば、父が現役時代は試合に勝てばケーキを買ってくる。母は可愛いと思ったからなどと言ってみうになにも言わず洋服やら化粧品やらを買ってくる。おかげで、みうは高校生にしながら洋服だけの部屋を持っている。父の仲間も揃ってみうにいろいろ買うため、みうは近所の人にプレゼントするなどそれらの処分にいつも頭を悩ませていた。


しかし、両親の買い与える癖はいつも家にいることができないことへの謝罪だとみうは知っている。いくら現役を引退したといえど、父はまだ解説やバラエティなどメディアへの露出が多い。母は皮膚科医で自分の病院も持っている。何か少しでもみうにしてあげたい、そんな思いが溢れ出しみうにプレゼントをするという結果になっている。みうはちゃんとわかっている。


わかってはいるが…。まさか、ついに、生き物を買ってくるとは思わなかった。いや、その生き物が犬とか猫とか普通のだったら文句はないよ!?みうは腕の中のぬくもりに優しく触れた後、キッと父を睨んだ。


「ちょっと!!!お父さん、この生き物何!?」


「あれ、みうちゃん知らないの?ナマケモノだよ。これならみうちゃんが忙しくても育てられるよね」


いかにもいいアイデアでしょ!とドヤ顔をする父にみうはため息をつきたくなった。たしかにナマケモノなら1日のほとんどを寝て過ごし、餌も少なくていい。しかし、問題なのはその値段だ…。


「いくらしたの…」


「100万はしてないよー」


100万……。なぜそんなにサラッといえるんだ父よ、みうは心の中で盛大にため息をついた。父と母の金銭感覚は私の事となると途端におかしくなる。いくら高くてもみうのためならと買ってしまうのだ。


「はあ、もう」


「みう?怒ってる?」


「怒ってないよ。でもねお父さん、生き物は鞄とか洋服みたいにぽいって誰かにあげたり売ったりできないんだよ?だからこの子は私が責任持って面倒みるけど、これからは相談なしに買ってきたらだめだよ?」


「……ああ」


「でも……ありがとうお父さん。大切に育てるわね」


「みう!!!」


娘からの感謝の言葉にかんけした父が熱烈なハグをしようとしたとき、みうは強烈な吐き気とめまいに襲われた。そして、そこで記憶が途絶えたのだった。

初投稿です。ナマケモノみたいにマイペースに投稿してこうかなと(笑)

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