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旅人兄妹  作者: 秋津珠音
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はじまり

思い付きで始めてしまった。

更新は不定期になるだろう。

一度は書いてみたかったファンタジー系の作品。


ある時、旅をしていた女と、旅をしていた男がとある町で出合う。

いつしか二人はその町に住むようになった。

二人はいつからか相思うようになり、結ばれ、子をなしたのだった。

産まれた子は二人。

一人は男の子、もう一人は女の子の兄妹であった。


すくすくと育った二人は、白銀の髪に青の瞳の少年と、白金の髪に緑の瞳の少女となったのだった。

ある時、少年と少女は親が旅をしていたように親のもとを離れ旅に出た。

青年は煌めく刃の鋭い長剣を、少女は鋭く研ぎ澄まされた細身の剣を持ち旅立った。

襲い来る獣や魔獣達と、ある時は青年が、またある時は少女が戦い旅を続けているのだ。


▽▲▽▲▽▲


「そろそろ次の町なんじゃない?」


「あぁ、そうだね。もうすぐだ。着いたら道中で倒した獣の皮とか売ろうか。沢山あるからそれなりの値段になるでしょ」


「そろそろ食べ物とか買い足さないといけないし高く売れるといいね」


「ああ。高く売れるといいな。……町が見えてきたぞ!」


林の中の道を抜け小高い丘を越えると、なだらかな斜面の向こうに町が見えた。

町は石造りの壁に囲まれている。

囲っている壁の四方には門があり、町の住人や旅人がそこから出入りしている。

壁の内側にはレンガ造りの家々が並び、中央付近には石造りなのだろうか、灰色の城がある。


僕達が門に向かって歩いて行くと、鎧を来た人が声をかけてきた。

きっと門番なのだろう。


「君たち、その格好を見るに旅人だろう。何か身分を証明できる物はあるかい?」


膝までの長さの外套に帽子、肩からかけた鞄、作りのしっかりしたブーツ、そして僕の長剣と妹の剣を見て旅人だと判断したらしい。


当然身分を証明する物も持っている。

旅人専用の身分証明書という物はなく、一ヶ所に留まらず行商や狩りをしつつ旅をする者や、吟遊詩人なんかの総称で放浪者という職種用の証明書があるだけだ。

僕達が持っているのも、住んでいた町から出る時に作ったその証明書だ。

証明書には持ち主の名前、産まれた国、住んでいた村町なんかが書かれている。


「どうぞ、放浪者の証明書です。僕はサフィール、妹はエメロードです」


「産まれた国はサージュデサンダン、住んでいた町はカルムね。よし、通っていいぞ。…先ずは君たちみたいな旅人や吟遊詩人の集まってる酒場に行くといい。この門から真っ直ぐ進んで一つ目の雑貨屋の隣だ。いい宿を教えてくれると思うよ」


「ありがとうございます。一つ目の雑貨屋の隣ですね。行ってみます」


町に入って気が抜けたのだろうか、急に疲れが押し寄せてくる。

早く宿を聞かないといけない。


「ねえ、雑貨屋で皮とか買い取って貰えないかな?今ほとんどお金持ってないよね?私達。宿を教えてもらってもこのままじゃ泊まれないんじゃないかな」


「あ、そういえばそうだね。酒場に行く前に雑貨屋に寄っていこうか」


「うん。買い取って貰えるといいね」


「大丈夫さ。町に入って一つ目の雑貨屋だよ?だったら今の僕達みたいに色々売ってお金が欲しい旅人が立ち寄るはず。だからきっと買い取りもしてるよ」


「あっ!あそこじゃない?雑貨屋さん」


「うん。そうみたいだね。じゃあ入ろうか」


思ったよりも立派な店構えだ。

どうやら僕達みたいな旅人や吟遊詩人向けの商品が多いみたいだ。干し肉とか鞄や靴、弦楽器の弦とか外套なんかの品揃えもいい。

町に入って来た人は最初に、町から出ていく人は最後に立ち寄る店だから旅人、吟遊詩人向けの商品が多いのだろうか。


「すみません、この店でこれを買い取って貰えますか?」


僕は獣の皮や角、魔獣の素材を鞄から出す。

この鞄は魔術で内部が拡張された鞄なのだ。

放浪者の必需品だから値段もそれほど高くはない。

大体普通の鞄の三倍くらいの値段だ。


「ん?あぁ獣の皮と角、……こっちは魔獣の皮だね。……うん、傷も少ないし買い取るよ。それにしてもこの獣や魔獣を狩ったのは君たちかい?ずいぶん腕がいいみたいだね」


「ありがとうございます。まぁ旅人ですからそれくらいは倒せないとやってけませんよ。…それでどのくらいの値段になりますか?」


「君たちは旅人の中でも強い方だと思うけどね、これだけ状態のいい皮が取れる倒し方ができる訳だしさ。値段についてはそうだね……状態もいいし銀貨一枚と銅貨八枚でどうかな?」


銀貨一枚と銅貨八枚か……

もう少し高くならないだろうか?


「そうですね……もう少し高く買い取って貰えませんか?」


「う~ん、……じゃあ銅貨二枚上げて銀貨一枚と大銅貨一枚。これ以上は上げられないかな」


銅貨二枚上がったか。まぁ充分。


「じゃあそれで。できたら大銅貨じゃなくて銅貨十枚でお願いします」


「わかった。……銀貨一枚と銅貨十枚だ。次に来るときはうちの商品を何か買っていってくれると嬉しいな」


「ええ、次は干し肉なんかを買いに来ますね」


「おう。ありがとな」


「いえ、それではまた来ます」


店から出ると空は茜色に染まりはじめていた。

日が沈む前には宿に入りたい。

早く宿を聞かなければ。


「次は酒場だね」


「隣だけどね。早く宿の場所を聞かないと日が沈んじゃうよ?」


「そうだね。じゃあ入ろうか。何か飲み物でも頼もうか?結構高く買い取ってもらえたしさ」


僕達は酒場に入ると適当な場所に座り話を続ける。


「そうね。宿を聞くだけじゃお店に失礼だもんね」


「なら何か頼むってことで。……すみません、この辺でいい宿はありますか?あと何かお酒じゃない飲み物を。お勧めでいいので」


僕は店員のおじさんに話かける。

飲み物はお酒以外のものを頼む。お酒が飲めない訳じゃないけど、これから宿に向かわないといけないのだ、酔ってしまう訳にはいかない。


「おう、宿か。ならここはどうだ?おおかた門番の兄ちゃんに聞いてきたんだろ?あいつはうちの親戚なんだ。あいつも人が悪いよな、ここが宿もやってる事を教えてやりゃあいいのにな」


おじさんがニッと人懐っこい笑顔を浮かべながらそう言う。

どうやらこの酒場は宿をかねているようだ。

門番の人にからかわれたのだろうか。


「ここは宿もやっているのですか?ならここに泊まります」


「おう!そうか。なら一泊で銅貨二枚だ。同じ部屋でいいのか?」


おじさんがニヤニヤしながら聞いてくる。

何か勘違いしてるみたいだ。


「ええ、兄妹ですし、同じ部屋で構いませんよ。代金は飲み物と一緒に払えばいいですか?」


「なんだ兄妹か。代金はそれでいい。何泊するんだ?」


「えーっと、そうですね、とりあえず四泊で」


「おうわかった!代金は銅貨八枚だ。それと飲み物は酒じゃなくていいのか?宿に向かわないといけないから酔うわけにはいかない、とか考えてたんならここに泊まるんだから気にしなくていいだろ?」


「……そうですね。なぁエメロード、お酒でもいいかい?」


「うん。兄さんがお酒でいいなら私もお酒でいいよ」


「飲み物はお酒でお願いします。あまり強くないやつにしてください。あと何かつまみになるものも」


「よしわかった。強くない酒とつまみだな。ちょっと待ってろ、すぐ持ってくるからな」


そう言うとおじさんはどこかへ歩いて行く。

きっと厨房かどこかへ行ったのだろう。

すぐに戻ってきたおじさんは器に盛られた木の実を持っている。


「はいよ。木の実の盛り合わせだ。つまみに調度いいぞ。酒はミードのお湯割りでいいか?」


「ええ、それで構いません。エメロードもそれでいいかい?」


「うん。いいよ。でもできれば甘めのがいいかな」


「わかった。一つは甘めのミードのお湯割りだな。すぐ持ってくる」


「ありがとうございます」


僕達が木の実をつまんでいるとおじさんはすぐにお酒を持って戻ってきた。


「ほれ、酒だ。強くないのがいいってんで、発酵が少しあまいやつにした。飲み終わったらまた呼んでくれ」


ミードのお湯割りは微かに湯気が立ち上っている。

飲みやすい温度のようだ。


「美味しそうだね。兄さん」


「そうだね。綺麗な色をしてる。じゃあ飲もうか」


一口、口に含むと蜂蜜の甘い香りと若干の甘味が口にひろがる。

じわっとひろがる温かさと甘味に思わず頬がゆるむ。


「美味しい。久しぶりに飲んだね」


「そうだね。町や村に居るときくらいしか飲まなかったからね。町を出る時に小さい樽で一つ買ってこうか」


僕達はあっという間にお酒と木の実を食べ終え、おじさんを呼び、お酒と木の実、そして四泊分の代金を払うと部屋に案内してもらった。

案内してもらった部屋はベッドが二つと窓際に小さい机がある、清潔感のある部屋だった。


僕達はそれぞれベッドに横になると、疲れからかすぐに眠気がやってくる。

どうやら妹はもう眠ったようだ。

僕も早く寝ようじゃないか。

ベッドで眠るのは久しぶりだ。きっとよく眠れるだろう。


読んでくださりありがとうございました。

前書きにも書いた通り思い付きで始めてしまった作品です。

今後の展開もほとんど考えていません。

なので今後の展開の要望などをコメント等してくだされば、私がこの作品の雰囲気に合っていると判断した要望のみとなりますが取り入れていこうと思っております。

といっても、よほどアレな要望でない限り取り入れると思いますが……



超不定期更新となりますが、よろしくお願いします。



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