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あるくあるく
私はひたすら歩き続けた。
自分の腰ほどまで伸びきって、そよそよ風に揺れるりっばな異世界草をかき分けて。
「そーいえば、私ってまりょく……あるの?」
うそ、まじでやばい。
だって魔力なかったら市民権どころじゃないよね?獣人に切り刻まれておいしくソースとかかけられてぱくり……。
「質問!!私に魔力はあるのか!?」
《名前:ソウビ・タチバナ 年齢:24 レベル1 体力:10 知力:30 魔力:45 装備:植物使いのエプロン》
「やった!!魔力あった!!魔力あったよ!!良かった!!ばんざい!」
「……ん?装備?エプロンはただの花屋用ですけど」
よくよく見れば植物使いの文字……。
「うーん。あっ、そー言えば左のポケットに余った種入れてたんだ」
そのせいかな?なんて首をかしげながら、ずぼっとポッケに手を突っ込んだまでは良かったはず。
そう、普通に粒々の種を出そうとしたまでは良かったんだけど、出てきたのは蔓がうねうねした緑色のモンスター?
「あ、え?ちょ、これなに!?」
《植物キメラ:レベル1 異界植物の種が混ざりあい生まれた蔓系モンスター 主人:ソウビ・タチバナ》
あーつまりペット的な何かなのかな?
……なんて、もう考えることに疲れて放棄しようとしたこともありましたよ。
けどね、そんな暇はなく今度はわけわからん角の生えたカエルに襲われたわけです。
「ぎゃっ、なになに!?」
草葉の陰から飛び出したカエルは私に特攻を仕掛けてきた。
「やば」
私は戦えないよ!?避けられないっ!これは真面目に串刺しか?!と思ったらエプロンから出てきた蔓が鞭のようにしなり、カエルを吹っ飛ばしたあとその頭部を吹き飛ばした。
「……え、ぐろ」
きもいし、ぐろいし。
でもまぁ、助かった……。安心したら腰が抜けてその場にずるずるとしりもちをついて、他にみるモノもないのでなんだかグロイカエルを見つめてたらソレは急に光って消えた。
「はぁ?!なんで?」
《角カエル レベル2 一般的に水気があればどこにでも出没するモンスター 換金部位は角・肉》
《植物使いのエプロン右のポケットが異空間につながりました。アイテムを収納できます》
《植物使いのエプロン右のポケットに角カエルの角1肉2が収納されました》
《ソウビ・タチバナのレベルが2に上がりました》
《植物キメラのレベルが2に上がりました》
「……左のポケットには蔓系モンスターで右のポケットにはアイテムボックスならぬアイテムポッケかよ。モンスターまでいるし。もうこれリアルなゲームじゃん」
これが現実で、きっと助けが来ないだろうことはもうなんとなく分かってるけど、だからこそ、今はゲームだと思わせておいてよ。まじで。
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