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雪沢が月曜日に学校にきてみると、いつにも増して教室が騒がしかった。

「隣クラスに転校生くるってホント?」

「へー、男女どっち?」

「女子らしいよ。」

「よしっ、後で見に行こうぜ。」

「お前すきだなー、そういうの。」

聞こえてくる会話から、どうやら転校生がやってくるらしく盛り上がっているようだ。横目でオーラを確認してみると、気のせいかもしれないがいつもよりは濃い気がした。最近では雪沢はオーラが見えるのが当たり前になってきており、最初の頃ほど人々のオーラに注意を払わなくなっていた。

「雪沢、おはよう。」

席に行く途中、先に来ていた成嶋が声をかけてきた。

「おう、おはよう。転校生がくるの?みんな話してるけど。」

「そうみたい、この時期に転校なんて珍しいわね。それより今日の放課後、部活だよね?土曜のやつを簡単にまとめてみたから、部活の前に目を通しておいてくれない?」

「わかった、みとくよ。」

雪沢は原稿を受け取ると席についた。その後すぐに先生がやってきたので、雪沢は休み時間に読むことにして原稿をしまった。


放課後になったので雪沢と成嶋は教室を出て部室へと向かった。授業中や休み時間に見た成嶋のまとめは、出来事と場所が的確にまとめられており,土曜の事件を再確認するのに非常に役に立った。幽霊の噂についても、彼らの証言を元に人がやっていたということを理解しやすくまとめてあった。

「朝もらった奴を見たけど、わかりやすいな。」

「そう?よかったわ。」

「この幽霊の解説って、そのままトップ記事に使えそうだし。」

「ふーん、珍しい。いつもならこういう超常現象を否定する話は避けるのに。」

「土曜の病院についてはしょうがないな。実際に幽霊をやってたって証言があるんだし。」

雪沢は以前超常現象の証拠が見つかっていないときには,記事にすることで少しでも真実に近づけるのではないかとの思いで新聞を作っていた。だがいまや雪沢はタリスマンを自作しており、これは間違いのない超常現象の証拠であると確信していた。なので新聞で無理に超常現象の肯定をする気分でもなかった。

部室前までくると、反対側から斉藤と瀬野がやってきた。全員そろって部室に入った。

「土曜日はおつかれさま。今日からは取材をもとに新聞を作っていくからよろしくな。まずは成嶋が土曜のまとめを作ってくれたから、目を通してもらえるかな。」

そう言ってまとめを一年生二人に渡した。二人はしばらく黙々と資料を読んでいた。読み終わった頃合いを見計らって、雪沢が再度口を開く。

「それで今回の新聞だけれども、廃墟探検とそこの幽霊の噂についての二つでいきたい。残念ながら幽霊に関してはあいつらがやっていて本物はいなかったけれど、それはそれで記事にしたい。この記事については成嶋に書いてもらおうと思う。」

「わかったわ。」

「廃墟探検に関してはオレが書く。サトシとしおりちゃんは書きあがった記事を読んで、おかしなところがないかを確認して欲しい。」

「わかりました。」

「はい。あの雪沢さん。」

返事をするタイミングで、瀬野が問いかけてきた。

「なんだい、しおりちゃん?」

「しおり、土曜日の写真を持ってきたんですけど、見てもらえますか?メモリーで持ってきたんで、パソコンが必要なんですけど。」

「おお、ありがとう。ぜひ見てみたいよ。それならコンピューター室で見よう。」

山水学園のコンピューター室には授業で使用するためにパソコンが50台ほど設置してある。授業時間中の一般使用はできないが、放課後は生徒に開放されていた。四人がコンピューター室に到着すると、すでに他の生徒が何人かいた。画面が他人に見られることがないように、一番後ろの席を使いたかったが、皆考えることは同じなようで、すでに全て使われていた。逆に前方には人がいなかったので、雪沢達は一番前の席を使うことにした。瀬野が椅子に座るとパソコンを起動した。残りの三人は椅子を囲むように左右と後ろに立った。瀬野がメモリーを差し込むと、画面に多数のファイルが現れた。

「瀬野さん、かなりあるみたいだけど、どの位撮ってたの?」

「だいたい200枚ぐらいです。」

そう言いながら、瀬野は画像ファイルを表示していった。まず出てきたのは正門の集合写真だった。

「やっぱり俺、変な顔してますね……」

斉藤が残念そうにつぶやいた。

瀬野は今度は写真を画面上に16枚ほど並べて表示した。一枚あたりのサイズは小さくなったが、それでもなにが写っているかはわかった。瀬野は少しの間を置いて、次々に写真を切り替えていった。通用門から中に入ったあたりの写真がしばらく続き、次第に通路、本館の写真に切り替わって行った。

「かなり撮ったんだな。」

「それにちゃんと必要になりそうな場面を抑えてあるわ。」.

その後も写真は切り替わっていき、最後の写真はフラッシュの中、転んでいる途中の男の姿だった。腕が前に伸びて見ようによっては襲いかかっているようにも見えた。

「これいいな、インパクトあって。」

「そう?でも顔も制服も写ってるわよ?」

「そこはボカしてわからないようにするよ。決めた、これを中心に使おう。」

「即決ね。じゃああたしも今使うのきめちゃおうかな。瀬野さん、もう一度最初から見せてもらえる?」

「はい。」

成嶋はその後30分ほどかけて、自分の記事に使う写真を選んだ。


「お待たせ。終わったわ。」

写真の選別が終わって成嶋がこう言った。雪沢にはどこが違うのかわからなかったが、成嶋と瀬野はなにか細かい違いについて話し合いながらどれを使うのかを検討していた。

「次はオレと成嶋で原稿を書くか番か。今日中に書き終わるのが目標でいいか?」

雪沢は成嶋に尋ねた。

「かまわないわ、大体出来てるし。」

「それじゃあ、書き終わるまで時間あるから、サトシとしおりちゃんは今日は帰ってもいいよ。」

「わかりました。しおり、うちに帰って写真の編集してます。」

「俺は部室にいきますよ。とくに用事ないんで。」

「あ、あたしこのままここでパソコン使って書いちゃうね。」

「わかった。しおりちゃん、編集よろしくね。成嶋も頼むな。」

雪沢はそう言って二人と分かれると、斉藤と一緒に部室に戻って原稿の執筆を始めた。

「雪沢先輩はパソコン使って書かないんですか?」

原稿用紙を取り出してきた雪沢に斉藤が聞いた。

「ああ。やっぱり原稿は紙に鉛筆で書くのがいいかなと思う。結局はこの原稿をパソコンに打ち込むんで、最初からパソコンでやればいいのにと言われてるけどな。修正するたびにどんどん汚れていくのが、なんか原稿が成長してるって感じがするんだよ。」

「なるほど。」

「まあ自己満足だとは思うけどな。」

雪沢は原稿をある程度書くと斎藤に見せ、感想を元に修正を加えていった。


「よしこれで完成だ。」

下校時刻ギリギリまでかかったが、なんとかその日のうちに原稿は完成した。雪沢が言ったとおり、原稿用紙はかなり見づらくなっていたが、内容に関しては自信があった。

「サトシ、ありがとな。修正意見が参考になって、かなり良い出来になったと思う。」

「いえ、好きに言わせてもらっただけですので。」

「そういうのが大事なんだよ。」

そう話しているときに下校時刻を知らせるチャイムがなり、それに続いて下校を促す放送が流れた。

「もうこんな時間か。帰るとするか。」

「はい。」

雪沢と斉藤は部室の戸締りをすると学校を出て駅へと向かった。

「そうだ、明日も臨時で活動するから、しおりちゃんに伝えてもらえるかな?」

雪沢は駅で斎藤にそう言って別れ、家へと帰った。


翌日雪沢が教室に入ると、みんなは引き続き転校生の話題をしていた。

「転校生見た?」

「ああ、見た。すごい可愛いな。」

「また男子はそういう…。」

そんな会話の中、雪沢は自分の席へと向かった。今日も成嶋が声をかけてきた。

「おはよう、雪沢。原稿は出来た?」

「もちろん。成嶋は?」

「あたしもなんとか出来たわ。」

「今日臨時で活動するけど、大丈夫か?」

「平気よ。」

「じゃあ読み合わせ用として三部コピーしとこう。部活前に。」

「わかったわ。」


授業が終わり、雪沢と成嶋は教室を出た。今日はコピーを取るために一旦図書室に寄った後、部室に向かった。部室にいくと先に斉藤と瀬野が来ていた。中にはいると早速雪沢が口を開いた。

「オレと成嶋の原稿が仕上がったので、これからみんなに読んでおかしなところがあったら指摘してくれ。」

雪沢はコピーしたそれぞれの原稿を渡し、全員で原稿の確認を始めた。雪沢の原稿は斉藤と一緒に書いたのであまり指摘はないと思っていたが、表現が大げさすぎるところをいくつか成嶋に指摘されて修正することになった。成嶋の原稿には変換ミスが何個かあったが、それ以外にはとくに修正するところも見当たらなかった。全部が終わると一時間ほど経過していた。

「あの雪沢さん、しおり、昨日の写真を修正してきたので見てくれますか?」

原稿の確認が完了したところで、瀬野が聞いてきた。

「もうやってくれたんだ。じゃあまたコンピューター室に行こうか。」

「メモリーでも持ってきましたけど、使うのは少なかったので印刷してきましたから、ここで見れます。」

そう言って瀬野はカバンから写真の入ったクリアファイルを取り出した。中には雪沢と成嶋が選んだ写真を印刷したものが入っていた。雪沢が選んだ男が襲ってきている写真は、男の顔と制服にモザイクをかけてあった。誰だかはわからないが、襲いかかっているようには見えるのは変わっていなかった。

「すごいね、しおりちゃん。誰だかわからなくなってるけど、もとの写真の勢いはそのままだよ。」

成嶋の選んだ写真の方も細かい修正がしてあるようで、成嶋が一枚ずつ確認していた。

「ほんと、丁寧に修正してくれてありがとう。昨日、ちょっと気になってると言ったところがよくなってるわ。」

写真の確認を終え、成嶋がそう感心していた。

「写真の方も大丈夫そうだな。それじゃあ、オレはコンピューター室で原稿の入力とレイアウトをやるよ。他のみんなは今日はもう帰ってもらって構わないよ。ただ明日も活動するからよろしくね。」

「わかったわ。じゃあこれがあたしの原稿が入ったメモリー。『廃墟の病院』ってファイルがそうだから。」

成嶋はそう言ってメモリーを渡した。

「しおりのはこれです。今回使う写真しか入ってません。」

瀬野も雪沢にメモリーを渡した。

「俺も一緒に行っていいですか?やり方覚えたいですし。」

「ああもちろん。」

斉藤の申し出を雪沢は受け入れ、二人はコンピューター室へと向かった。雪沢は斉藤と協力して、自分の原稿の入力と新聞のレイアウトを行い、なんとか下校時刻ギリギリで完了する事が出来た。


水曜日、雪沢はいつものように学校に行き教室に入った。転校生の話はもう落ち着いたのか、今日はあまり聞こえてこなかった。

「おはよう、雪沢。昨日はあれから進んだ?」

成嶋が話しかけてきた。

「ああ、サトシの助けもあって一応完成まで持っていけた。」

「頑張ったわねー。じゃあ今日配布できるわね。」

「そうだな。あ、借りてたメモリー返すわ。」

雪沢はメモリーを成嶋に手渡すと席につき、放課後がくるのを待った。


放課後になり、雪沢と成嶋は部室へと向かった。途中で斉藤と瀬野と合流したので、そのままコンピューター室に向かい完成させた新聞を見てもらうことにした。コンピューター室には今日もそれなりに人がいて、前回同様後ろの席は埋まっていた。そこでまた最前列の席のパソコンを使用して、前日完成させた新聞を表示した。新聞は四ページ構成になっていた。これをA3用紙の両面に印刷して、二つ折にするのがいつもの形式だった。

「へー、なかなかよく出来てるじゃない。」

成嶋が画面をみて言う。

「そうだろ?しおりちゃんも見て大丈夫そうかな?」

画面を覗き込んでいた瀬野に雪沢は尋ねた。

「あ、はい!素敵です。」

「それじゃ一部印刷してみるか。」

コンピューター室のプリンターは、教室後ろにあった。そこから出力された新聞を斉藤が取ってきてみんなに見せた。

「大丈夫そうね。」

「それじゃ、配布用に五十部印刷するぞ。」

配布用の印刷も滞りなく終わり、雪沢たちは新聞を部室に持って帰った。部室では最後の工程として手分けして新聞を半分に折った。

「みんなお疲れ。これで今回の新聞作りは終了だ。」

「お疲れ様。」

「おつかれさまでした。」

「お疲れさまっす。」

みんな新聞の完成を喜んでいた。

「オレはこれから生徒会室に行って配布申請出してくる。みんなは出来た新聞を持って行ってもらえるかな?それが終わったら今日は解散で。」

第二新聞部は新聞を図書室と学内にある掲示板で配布していた。山水学園でそれらの場所を使用するには生徒会の許可がいるため、雪沢は毎回許可をもらいにいっていた。ただ形式上のもので、これまでに許可が降りない事はなかった。

「わかったわ、いつものとこにおいておくわ。」

成嶋はそう答えた。

「よろしく頼むよ。」

雪沢はそう告げると生徒会室へと早足で移動していった。残った三人は出来上がったばかりの新聞を持って校内に配布にいった。


雪沢が木曜の朝教室に入ると、あいかわらず室内は話し声でうるさかった。

「雪沢,おはよう。許可はとれた?」

成嶋が声をかけてくる。

「もちろん。あれは生徒会が仕事をしてるって証拠のためのもんだし。」

「まあ、そうだけどね。こっちも配布場所に置いておいたから。」

「ありがとな。」

「反応が楽しみね。」

そしてこの反応は意外に早くやってきた。


授業が終わった。成嶋はこのところ部活で忙しかったので、遊べなかった友達が待ち構えていて、手を引っ張られるようにして教室から出て行ってしまった。雪沢は帰る前に今日どの程度新聞が出たのかを調べよるため、配布場所を見て回って行く事にした。まずは図書室へと向かった。

図書室について在庫を確かめると、いつもと変わらず五部ほど出ているようだった。雪沢は念のためなにか変わったことがなかったか、司書に尋ねてみることにした。

「すいません、第二新聞部ですけど。」

「あー、第二新聞部さん?ちょっと前に質問した人がいたわよ。」

「えっ?」

「なにか書いた人に会いたいとか言っていたわね。」

「どんな人でした?」

「女子生徒だったわ。待っていたらくるかもと言ったんだけど、行ってしまったみたいね。」

「そうなんですか。ありがとうございます。」

雪沢は次に掲示板に行ってみた。掲示板では厚紙で配布用のラックを作って取り付け,ラックの中に新聞を入れるようにしていた。ラックの中の新聞は減っているようには見えなかった。予想通りとはいえ、雪沢はすこし落ち込んだ。ラックの背の、新聞が入っているときは見えない部分には書「品切れです」の文字が書いてあったが、それが見えた事はいままで一度もなかった。


「もしかして、あなたが雪沢正一くん?」

掲示板の前に立っていた雪沢の耳に、女性の声が飛び込んできた。雪沢が声の方向を向くと、そこには黒くストレートなロングヘアーの少女が立っていた。彼女の細く長い手足と顔は髪と対照的に雪のように白く、黒目の部分が広い目は顔の中で存在感を主張していた。そしてその目はじっと雪沢のことを見つめていた。

「えっ、君は?」

「わたしは亜崎、亜崎鈴。あなたと同じ二年よ。今週、この学校に転校してきたの。」

雪沢はとなりのクラスに転校してきた女子生徒が教室で話題になっていたことを思いだした。誰かが言っていたように可愛く、肌の白さからか透明感のある美少女だった。

「でもなんでオレの名前を?」

「これよ。」

そう言うと亜崎は昨日作ったばかりの第二新聞部の新聞を見せた。そこにはもちろん発行人として雪沢の名前が書いてあった。

「わたし、こういうオカルトの話題に興味があるの。転校する前、山水学園ではオカルトについての新聞が出てるって聞いて期待して、どんな人達が作ってるのか会ってみたかったの。転校してすぐ部室を見に行ったら、ちょうど部屋に入って行く生徒がいて、その中の一人にあなたがいたわ。で、ついさっきこの新聞を見て名前がわかったってわけ。」

「なるほどね。ただオカルトじゃなくて科学的な超常現象の調査だと思ってやっているんだ。ただ今回は超常現象の記事はなくて期待はずれだったかな?」

「そんなことないわ、ほら。」

亜崎は新聞の中の写真を指差した。それは雪沢が選んだ、男が襲いかかっているように見える写真だった。

「これは実際の人間だよ。記事にも書いたと思ったけど。」

「記事には書いてなかったけど、こんなにはっきり写っているから、わざと気がつく人がるかどうか試しているのかと思ったわ。でもその様子だとあなた達も気がついてなかったのね?」

亜崎はちょっと落胆したような,それでいて面白がっているような感じで聞いてきた。

「この写真になにか変わったところがあるってことなのかな?」

「ここを見て、この少年の足のところ。」

そう言って亜崎は写真を指差した。そこには靴に絡まる草が写っていた。この草がなければ瀬野は捕まっていたかもしれない、そんな事を雪沢は思い出していた。

「確かにこの草に絡まってくれたのは幸運だったけど、それが超常現象だとでも?」

「見るとこが違うわ。その草の根元をよく見て。ほら、ここよ。」

亜崎はそう言いながら、指で囲んでその箇所を示した。

「ここ、白い人型のものがいるでしょ。」

「えっ?」

雪沢は亜崎が示したところに顔を近づけて見てみた。言われてみれば、草の根もとにうっすら白い人型の影がいるように見えた。その人型は草を折り曲げているように見える。

「…ああ、人型がいるように見えるな。」

「そしてその人型は草を結んでいる、そう思ったんじゃない?」

亜崎は雪沢の心を見透かしたかのように言ってきた。

「この記事では偶然草に絡まってこの少年が倒れたって書いてあるけど、わたしはそうじゃないと思ったわ。この時何か特別な事が起こったのよ。」

雪沢は亜崎が言うのを黙って聞いていた。

「だからわたしはこの記事を書いた人にあって詳細を聞いてみたかったの。」

「それで探してたのか。」

「そう。わたしは今日の放課後図書館でこの新聞を見て、この事に気がついて話を聞いてみたいと思ったの。そしたらすぐに雪沢正一くんに会えた。

これってちょっとした縁を感じない?」

縁と言う単語を亜崎は強調して言ったように思えた。

「たしかに運がいいな。」

「ねえ雪沢くん?もし良かったらこの写真の元の画像を貰えないかしら?わたしオカルトに興味があるって言ったでしょ?こういう物体が写った画像を分析するソフトを持っているんで、それで調べてみたいのよ。」

「もとの画像は顔が写ってるから難しいな。疑うわけじゃないけど、間違って流出しないとも限らないし。」

「じゃあ雪沢くんも一緒に見てもらうのはどうかしら?終わったら消去するのを確認してもらえるし。」

「まあ、それなら平気かな。」

「良かった。明日とかでも大丈夫?」

「多分大丈夫だと思うぜ。」

「それじゃあ明日の放課後、通用門のところで待っているわ。それじゃあまた明日ね、雪沢くん。会えて良かったわ。さようなら。」

「さようなら、亜崎さん。」

雪沢は彼女を見たときになにか違和感を覚えていたが、去って行く彼女を見ていてその違和感の正体に気がついた。彼女のオーラは厚いのだ。身体の周りに見えるオーラの層が他の人と比べて厚い、そう雪沢には感じられた。


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