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百合短編  作者: 美幸
むすんで、つないで
17/20

4

 私は現在格闘中である。ちなみに対戦相手は服である。試合は長期戦となり、一時間近くに渡って戦い続けているのである。鏡の前で、様々な姿で自分の姿を眺めているのだが、中々「これだ!」というものがないのである。

 参考までに、月間のファッション雑誌を手に取った。これに載っている読モの一人は私と感じが似ていて、コーデするときイチオシの一冊なのだ。おもむろにページを開いたら、

『抱きしめたくなるような清楚系JKめざすぞー(はぁと)』

 と書かれた見出しとともに、読モが学生服を着てポーズをとっていた。思わず、私は笑ってしまった。清楚ってのは、あーやみたいな奴のことを言うのだろう。清楚を気取るなら、まずその金髪を黒く染めるべきだ。

 まぁ、これはGAL度をキープしながら清楚を組み合わせてギャップを狙ったり、ぶってるだけだとは分かっているのだけれど、これなら純清楚のあーやの方が断然イケてると思う。間違いないね。

 そんなことを考えながら、またぱらぱらとページを繰っていった。本の半分ほどで手が止まり、視線がある一文に留まる。

『人とかぶらない個性派で勝負。自分ウケしか興味ナシ!』

 私はピンときた。このページのものは、気に入ったので買っている。クローゼットの中にあるそれを引っ張り出し、急いで身に付けた。選択したのは白いトップスとデニムのショートパンツに、フードの付いた黒いベスト。ぱっと見で落ち着きのある感じにまとめてみた。

 きっとあーやは、私が派手なコーデでくると思っているだろうから、あえて落ち着きのあるものでいくことにしたのだ。

 ただし、服の一個一個はよく見ると特徴的で、特にベストなどは羊の耳付きフードがあってユニーク。後は、この前買ったブーティーを組み合わせれば完璧だ。鏡の前に立ち、様々な角度でポージングしてみる。

「よし!」

 どこからどう見ても、完璧なイイ女。制服じゃないってのが特に重要。髪をかき上げたり、腰に手を当てたりして、あーやに見られることを想像しながらポーズをとった。さて、いつもと違う私を見て、どんな反応を見せてくれるのだろう。あーやの驚いた顔を思い浮かべると、今から楽しみでしょうがない。

 時計を見てみたら、そろそろ時間だった。私はバッグを持って自室のドアを開けた。

 友達になった記念。そう言って渡されたミサンガが、変わらず左手に巻かれていることを確認する。私はこのミサンガを、友情のお守りのように思っているのだ。

 今日は、どんな一日になるのだろう。私は胸を弾ませながら、お母さんに準備ができたことを告げた。

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