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百合短編  作者: 美幸
むすんで、つないで
15/20

2

 その日はろくに授業に出ず、出席だけもらって帰った。

 私は自転車に乗りながら、左手に巻いた斜め編みのミサンガを眺める。これは今日、あーやが作ったやつだ。

 あーやは、初めて作ったミサンガを私にくれた。『友達になった記念に』だって。

 実を言うと私は、こんな感じの馴れ合いが好きではない。群れて集まって、友情だの何だの言うのは嫌。別に、仲の良い子を作りたくない訳じゃないけれど、ただ、空気読んで、相手のウケが良いようにタイミング計って笑って、無理に自分を作って、友達のフリをするのが嫌なのだ。学校ではそんなのであふれてるけれど、その中にどれだけ『本当』が含まれているのだろう。

 友達ごっこなんて、私はもうこりごりだ。たまに私みたいな見た目のが寄ってくることもあるけど、たいてい、ほとんど話さずに突っぱねていた。

 だけどあーやにはそうしなかった。何だか不思議と馴染んで、つい一緒にいてしまったのだ。そして結局そんなミサンガをくれた彼女と、アドレスも交換して、屋上でお昼も一緒に食べてしまった。

 お昼を食べながら話していたとき、優等生ぶってるって感じが全然なかった。むしろ思ってたより身勝手で、ユニークな子だった。珍しく、いい感じの子と仲良くなれた。

 私だって親友が欲しい。だけど、高校に入ってからは諦めかけていた。友達と思っていた子が、実はそうではなかったと分かるのが怖いのだ。

 だけどあーやは、もしかすると本当かもしれない。

 もう一度、勇気を出してみよう。でも、これが最後。

 私は自転車を漕ぎながら、左手に巻かれたミサンガに触れた。

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