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道の先には……  作者: 神山 備
経験値ゼロ
49/80

紳士の国の血?

 プルプル震えながら首を振る私に、ナースさんが、

「あら、痛かった?」

と聞く。

「あ、いえ」

痛くはないです。あ、ある意味痛いかも……心が。それで、

「そうですね、テーピングもしたんだし、肩、貸してくだされば」

私がそう言うと、マイケルさんは、

「ムリ」

と秒殺した。

「何でですか」

そんなに私をお姫様だっこしたいんですか、マイケルさん。だけど、マイケルさんは私の質問には答えず、

「じゃぁ、聞くけど更紗ちゃん、何cm?」

と、いきなり私の身長を聞いた。

「ひゃく、157cm」

本当は156.2cmだけど。マイケルさんは、やっぱりそれくらい? と言った。

「僕、178cmあるんだよね。肩を貸すのってある程度同じぐらい身長ないと、高い方がきついんだよね」

その差21cm。私がマイケルさんの肩に手を回すとなると、マイケルさんはずっと中腰で歩くことになる。それは確かにハードかも。マイケルさんは、

「それに行きほど大変じゃないと思うよ」

と私に言った後、ナースさんに向かって、

「あ、後で返しに来るんで、この車いす車まで押していって良いですか」

と聞いた。おおーっ、その手があったか。もちろんそれは快諾され、ちょっと一安心。

 処置室を出てしばらくすると、会計に名前を呼ばれた。するとマイケルさんは、

「ちょっと待ってて、僕が払ってくるから」

と、当の本人の私をおいて一人でさっさと会計に行く。私は慌てて慣れない車いすを漕ぎながら後を追った。

「マイケルさん、私が払いますから」

別にマイケルさんが私を怪我させた訳でもないのに払ってもらう筋合いなんて全然ないから。なのに、マイケルさんは、

「いや、病院に連れてきたのは僕だしね。ここは僕が払うよ」

と、まるで当たり前のようにお金を出そうとする。さすが、紳士の国の血を引いてる、フェミニストって奴ですか。私が、

「この怪我は私の不注意で、マイケルさんには何にも関係ないですから」

と言っても、

「何で? 一緒にいる女性にお金なんて出させたりできないよ」

と、まったく払う姿勢を辞さない。何度か押し問答の末、自由に身動きできない私が押し負けた。

 駐車場まで車いすを押しながら上機嫌のマイケルさん。今日会ったばかりの他人の治療費払って、何がそんなに嬉しい。

 私を乗せた後、玄関先に待機していたナースさんに車いすを返して、マイケルさんはどこに行くとも言わずに走り出した。

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