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道の先には……  作者: 神山 備
番外ビク編
33/80

ハッピーエンド? by幸太郎

【さーあて、殿下をお戻ししたらグランディールまで責任を持ってお送りさせていただきますからね、エリーサ様。ところで鮎川様、ニホンではあの自動車なるモノは壊れている訳ですから、頂いても差し支えありませんよね】

 自分の都合の悪いことから目を背けさせたいのか、女顔の魔法使いは元非力な大男にそう言った。今は、ちびっ子に戻ってるからあれだが、はじめの状態なら絶対にポジション逆だろ。

【ああ、今更あのポンコツが道端に現れでもしたら、それこそミステリーだからな。一応、助けてもらった礼代わりにでも持ってけ】

俺は、それに対して頷きながらそう言った。壊れたはずのポンコツがいきなりゾンビみたく現れても、俺、説明なんてできっこねぇし。

【ありがとうございます】

【なんなら、あのポンコツの後ろに缶空……そんなもんこの世界にないか。ああ、リルムの町のあのゲテモノプリンの入れもんがあった……あれでも、つり下げて走るか?】

それならいっそのことハネムーン仕様にでもすりゃぁいいんだと思ってそう言うと、あいつは首を傾げながらむっとした表情で、

【は? それは魔除けでございますか? そのようなものなどなくとも、十分私がエリーサ様をお守りできますが】

と言った。

【魔除け? んな訳ないだろ。ま、こいつは俺のもんだから手を出すなって意味ってっちゃそうだろうな】

【じゃぁ、何のために】

【こっちじゃさ、結婚式が終わった後、式場から出る新郎新婦がどてっ腹にさ、『Just Married』とか書いた車で走んだけど、後ろのバンパーにあーいうのをつり下げんだ】

とはいえ、俺もそれは外国映画でしか見たことないけどな。

【そうなのですか、それは素敵です! まるで私たちを祝福する鐘を鳴らしながら走るようではありませんか!!】

けど、それを聞いたロリコン魔法使いはにわかに色めき立つ。ま、本来もそーいう意味合いだっけか。にしてもお前、どーでもいいけど、この世界には存在しない車が鳴り物入りで走れば、とんでもなく目立ちすぎるぞ。それでいいのか、おい。確かに本物の魔物は寄ってこないだろうが、人も逃げるぞ、たぶん。

【ヤダ、あたしセルディオ様と一緒には帰らない】

ほら、まず嫁が逃げた。

【どうしてですか! エリーサ様ははっきり私と結婚するって言ってくださったじゃないですか】

【あれは、ビクに言ったんだもん、セルディオ様にじゃないわ】

【ビクって……彼の名前は美久、私の名はビクトーリオ。私の方が本当のビクじゃないですか】

【でも、どうして? あたしがお父様からきいたセルディオ様のお名前はスルタン・セルディオだけだったわ】

【そ、それは……】

【どうせ、その顔でビクトーリオって名乗ったら『女みたい』って言われるのがいやだっただけだろ。お前どんだけ、顔と名前にトラウマもってんだ】

【悪いですか? ですが、あなたのように体格にも名前にも恵まれた方に私の気持ちが解るものですか】

すると、コンプレックスの塊魔法使いは、そう言って逆ギレした。あ、女顔・女っぽい名前に加えてチビもその要素だった訳ね。そう言やぁ、宮本もそれ、気にしてたな。

【お前、そんなこと気にすんなよ。お前にはそれにあまりある位の魔力があるんだから。お前日本に居ながら、リルムの町とかで、俺たち助けたりしてくれてたんだろ】

【いいえ。私はもう一度殿下とあなた方を戻さないといけませんから。体力を回復するべく極力静養に努めておりましたよ】

【じゃぁ、あれはマシュー、いやエリーサか?】

【ううん、あたしじゃない。あたしはマシューの体になってるだけで精一杯で、余分な魔法なんて使えなかったもん。別人になるのって、すごく大変なのよ】

【んじゃ、一体誰が】

【あれは正真正銘、美久が一人でやったんですよ。使ったことのない魔法をぼんぼん連発するからすぐ体力切れ起こしてましたけれど。鮎川様、美久に魔法を使いたいのなら、もっと体を鍛えなさいと言っておいてくださいね。いかに魔力があっても、それに見合う体力がなければ、最悪命を落としますよって】

は? あれは宮本がやったって? だるまさんがころんだも、ガソリンも?? もし魔女発言の後、あいつが電池切れしてなかったらと思うと、俺は血の気が全部引いちまう気がした。 

もしあの、ゲーオタにそんな芸当ができると分かってみろ、嬉しがって何が起こるか分からん。

(言わない、絶対に言うもんか!!)

俺はそう堅く心に誓った。


 そして数日後、無事日本に戻った俺は、宮本が(こっちでは)初対面の英梨紗にいきなり口説いたと知った。あっちの世界じゃともかく、この日本じゃ犯罪だぞ、おい。


 俺には若干1名(あっちとこっちで2名か)悲劇のヒロインが生まれたような気がすんだが……

 ま、それでもとりあえずハッピーエンドっつうことで。


ー小さなお姫様は小さな魔法使いといつまでも幸せに暮らしましたとさー


                ん?? 







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