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第七話 夏の記憶


 「学校に慣れてくるとなんだか退屈だね。今度テーマパークにでも行ってみないか?」と、突然理は隣の席のサツキに言った。それは丁度学校が夏休みに入る一か月前のことだった。

 「いいけど・・・部長から誘ってくるなんて珍しいね。それに結構チケットとるの大変じゃない?」サツキは少し驚いた様子を見せつつそう言った。

 「大丈夫。僕、空き枠を自動でチェックするスクリプトを作ったんだ。ちょっとズルいかもしれないけれど、違法じゃないよ」

 「なんだかよく分からないけど、部長てばプログラミングも出来るんだ、すごいね」


 予約日当日。JR舞浜駅の南口改札前で午前九時半に二人は待ち合わせをし、テーマパークの入り口に向かった。もちろん二人はそれぞれフィルムカメラを持参してきた。それぞれが持ってきたカメラは防水されたもので、いつもとは勝手が違った。しかし普段使い慣れているカメラを水に濡らすと壊れてしまう可能性があったため、仕方がなかった。

 『今日はどんな写真が撮れるのだろう』理はそう思うとなんだかワクワクしてきた。


 「どのアトラクションも長い行列が出来ていて一日では回りきれないね。まぁ何度も来るしかないね。さっき乗ったジェットコースターも二時間も待ったし」そうサツキに、次に乗ろうとしてるアトラクションを遠くに眺めながら理は言った。しかしサツキの反応は無い。咄嗟とっさにサツキの方を見ると、サツキは顔を真っ青にして、口を抑えつつ、座り込んでいた。乗り物酔いだろう。

 サツキは頑張って立ち上がった。しかし足元がふらつき、視界が揺れたのか、すぐにバランスを崩して転倒し、頭を強く打ってしまった。理はテーマパークにいるキャストがひとり近づいてきたので事情を話すと、中央救護室までサツキを理がおんぶして連れて行くことになった。そのキャストは中央救護室まで案内してくれた。中央救護室では酔い止めの薬をナースキャストに勧められて購入し、サツキに飲ませた。ちなみに医者はいなかった。

 狭いベッドに寝て、暫くするとサツキは正常に戻ったが、サツキのカメラのレンズが割れて壊れてしまった。そしてサツキは理に言った。

 「今日はごめんなさい。私のせいで台無しだね」

 「まぁ、またいつでも来れるし、大丈夫だよ。それよりサツキの体の方が心配だよ、だから今日は帰ろうよ、もう立てる?」

 「うん、たぶん大丈夫」


 二人はテーマパークを後にした。これが二人にとっての最後の夏の記憶になるとは、まだ誰も知らなかった。




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