卯月、雨に足をとめながら
新年度が始まったというのに、四月は雨が多かった。
花冷え、花時雨、桜雨。言葉だけはやさしいが、体と心は正直で、思うようには動いてくれない。
朝は家の片付けをし、娘の美容室に付き添う。喫茶店で一時間ほど待ち、ドーナツを買って帰る。それだけのことなのに、外に出るだけで一日分の力を使った気がした。寒さのせいか、腰も重く、家に戻るとまた本の整理を始める。絵本は段ボールにしまうことにした。いつかまた手に取る日まで、少し眠っていてもらう。
雨の日が続き、娘はお腹の調子を崩して部活を休む。無理をしないでほしいと思いながら、温かいものを用意する。日記は少しだけ進める。たくさん書けなくても、書くという動作を忘れないことが大事だと思っている。
誕生日や記念日には、喫茶店でケーキを食べ、本屋に寄る。読み慣れた作家の新刊を手に取ると、時間がゆっくり戻ってくる。晴れた日は久しぶりで、子どもたちは学校へ行き、私は掃除と新学期の準備をする。書店の棚を眺める時間は、外の世界とつながっている感覚を思い出させてくれた。
腰痛で病院に行った日もあった。大事には至らず、様子見。それだけで十分だと思う。動けない日があっても、完全に止まるわけではない。少しずつ、日常に戻る。
四月は、前に進むというより、足をとめる月だった。
雨に濡れながら、立ち止まりながら、それでも生活は続いていく。無理に晴れを待たなくてもいい。ただ、今日を終えればそれでいい。そんなふうに思えるようになった月だった。




