表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/72

18.失ったもの

誤字の修正を行いました。


 狩人協会の奥部でホーンロッツはディガードに呼び出しを受けていた。


「なんや、わざわざ俺の事なんか呼び出して……告白か? そんなんお断りやで?」


 頭をポリポリとかきながら、嫌そうに答えるホーンロッツ。

 そんな彼を見て笑みを浮かべるディガード。


「アズレアが敗走しました」

「あいつのことや、どうせ遊んどったんやろ?」

「罪火の魔女と花の化け物、そして野良人であるルー・ガルーと赤ずきんがいたそうです」


 野良人。魔女に味方する、魔術を扱う者たちを協会ではそう呼称している。

 ルー・ガルーと赤ずきんは、その中でも度々名前が挙がる存在で、狩人間でも問題視していた。


「なんや、その組み合わせ……」


 怒気を強めるホーンロッツと、尚も笑みを絶やさないディガード。


「……もとはと言えば、あんたの軽率な行動が招いたこととちゃううんか?」

「私もことを急いてしまっていたようです」


 ホーンロッツはため息を付く。


「んで? 俺に何をせいって言うんや」

「あなたの部下をお借りしたい」

「何のために?」


 更に怒気を込め、強調するように言うホーンロッツ。


「あのなぁ、さっきから自分、言葉足りてへんとちゃうんか?」

「今回アズレアが無理やりに引き受けた任務。そこで仕留め損ねた魔女がどこに行くのか、疑問に思ったことはありませんか?」


 こめかみを抑えるホーンロッツ。


「はぁ……まあええわ。続けて」

「私の方で色々と調査を行いまして……魔女の治療を行っているかもしれない、医者の存在にたどり着いたのです」

「そいつ、ふざけとんのか?」


 人を殺し、その体を乗っ取り、何食わぬ顔で暮らし、その人が大切にしていた人々を虐殺する。

 それが魔女だ。それを治療するなど、言語道断。

 それは、人の涙を、苦しみを、恐怖を知らない愚か者のすることだ。そうホーンロッツは激怒する。


「……分かった、うちの奴らにそいつの調査をせいって言うんか?」

「ええ。もし、魔女エレナ・クロードを発見できれば、確実でしょう。そうでなくても、何かしらの証拠を掴めれば上々」

「あくまでも調査っちゅうことか?」

「確実であるならば、そのまま処刑していただいても構いません」

「わかった、うちのホームバイツと何人かで調査に向かわす」


 ディガードは頷き、写真とメモを手渡す。


「エレナ・クロードさんの写真と、その医者がいる場所の地図です。是非ご活用ください」

「ほおん、わかった。ところで一つ聞いていいか?」

「なんでしょう?」

「なんで俺なんや? 他のバックアップ連中でもよかったんとちゃうんか?」


 ディガードは驚いたように口を開いた後、また微笑む。


「あなた方は裏切らないでしょうから」

「……そうか」


 そのまま、ホーンロッツはその場を後にした。



 ≫◇≪


「さて、行きましたか」


 一人残されたディガードは、彼が去った扉を見つめ、その正体をあらわにする。

 普段の糸目とは違う、全てを見下すかのような、傲慢そうな目を開き、自身の髪をすいてポニーテールを作り上げる。

 それは、マーキュリーが手にした、写真の人物その人だった。


「さて……行くとするか」


 低い声で彼は言う。


 そしてそのまま、部屋に設けた隠し通路を使い、ディガードもまた、外へと出ていった。



 ◇



 とある孤児院の中で、物騒な集団が子供たちと、楽しそうに遊んでいた。

 スキンヘッドの大男に、眉間にシワを寄せた堀の深い顔の男、顔の半分にまで刺青を入れた筋骨隆々の男。

 真剣に子供たちと指遊びや、ままごと、お絵かきに勤しむ彼らの傍で子供たちと一緒に笑うホームバイツを見つけ、ホーンロッツは声をかける。


 血の繋がらない兄弟。しかしここでは――


「おお、隊長。どないされたんです?」

「長い遠征からやっと戻って来たっちゅうのに、ディガードから急ぎの案件を渡されてもうた」

「あー、大体分かったんで、皆まで言わんでいいですよ?」


 ぼさぼさの髪の毛で目が隠されているホームバイツは、考えが分からなくて気味が悪い、そう言われることがよくある。

 しかし、ここでは違う。


「すまんな、頼りにしてんで?」


 気味が悪いなんて周囲の評価をホームバイツ本人はさほど気にしていないが、それでも思う。

 ここの連中に、そしてホーンロッツに頼られるのは誇らしいと。


 だからこそ、彼は頑張れる。


「それで、俺は~何を調べればいいんですか?」

「ここや、何人かお前に付けたるから、くれぐれも無理せんようにな」

「ええ、死なんようにラインを見極めろ。いつも隊長が言ってることですからね」

「分かってんならええんや。ほな、俺もガキどもと遊んでくるわ」


 ホーンロッツも子供たちと遊びに行ったのを見て、ホームバイツはくすりと笑う。


「ええ、隊長もお気をつけて」

お疲れ様です。

チュートリアルは、あらかた終了といったところでしょうか?

ここからは、誰を応援したいのか。それを考えながら読んでいただければ、より物語を楽しめると思います。

最後に、私自身のモチベーションが低下しつつあるので、「見てるよ」だけでもコメントを頂けると幸いです。もちろん評価などでも喜びます。ですのでどうか、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ