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サブタイトル 3の一部分を変更致しました。

池を水溜まりに変更して、その辺りの文章を変更致しました



お昼にアリシア達はまた裏庭で過ごしていた。


「あははは。アリシアしてやったりじゃないか」


オリバーは笑い声を上げた。


今、アリシアはオリバーといつものお昼の場所でベンチに座りこの前の出来事を話している。


「アリシアを怒らせたらそれこそ100年は恨まれるのに」


「そんな大袈裟だわ」


「でも、よくそんなセリフがすらすらと出てきたな」


「まあね…」


ほとんどが受け売りだ。アリシアは最近読んでる本の内容に良く似た内容があったことを思い出し、そこから引用したのだ。


<悪役令嬢物語> 妹のジュリアが貸してくれたのである。


『お姉様にぴったりの本がありましたの』


なんて言いながら。それがこんなところで役立つとは。


「あの時のアリシア様はとてもかっこ良かったですわ。さすが、未来の王妃様。とても貫禄がありましたわ」


ミランダが誉め讃える。


「本当ですわ。取り巻きのご令嬢の方々だけでなく、薔薇姫のアレクサンドラ様までたじたじになって、すごすごと教室を出ていく姿を見て胸がすーっとしましたわ」


メアリーもそれに続ける。


「でも、一番に感動したのはアリシア様がクリスハルト第一王子殿下を信じていると言ったことですわ。お二人は固い絆で結ばれているのですね」


「おほほほ…」


「それに私などをかばって頂き、心から感謝しておりますアリシア様」


メアリーが胸の前で手を合わせて祈るように言ってくる。


もちろんメアリーを庇ったのは本心だし、友情うんぬんも本音だ。


「アリシア様にどこまでも付いていきますわ! 」


二人に声を揃えて言われると、少し照れてしまう。


「そんな大袈裟だわ。でも、大切なお友達だと思っていますわ。いつまでもお友達でいて欲しいの」


「もちろんです」


裏庭ではアリシア達の楽しそうな笑い声がいつまでも響いていた。


しかし予想外の出来事もあった。アレクサンドラの取り巻きの令嬢達の何人かがすり寄って来たのである。皆、アリシアがクリスハルトの婚約者だと認識したからと、それから騎士科の訓練生とお近づきになりたいからとの理由のようだ。


「アリシア様、あの時は申し訳ございません。メアリーとミランダにも謝罪させて下さい」


と言ってくるので、謝罪だけ受け取った。だが教室でぞろぞろアリシアの周りに寄ってくるのは参った。権力を使うとこういう結果になってしまう。


だから大人しくしていたのに。ミランダやメアリーと一緒にいられないじゃない。


騎士科の訓練生との繋がりを求めている人には、気に入った人がいれば一応紹介するとだけ言っておいた。あの裏庭の場所だけは守りたい。他の令嬢達に踏み込まれるのはお断りだ。


あれから、アリシアはお昼休みに食堂の王室専用のスペースにひとりで行ってみた。生徒会メンバーになったアレクサンドラとクリスハルトの様子を覗きに来たのである。そこにいたのはクリスハルトと側近の二人だけで、話をしていた。その会話に聞き耳を立ててみると、


「アレクサンドラ様が生徒会に入ってくれて良かったです。仕事がとてもはかどります」


「そうだな。彼女はとても有能だ」


「そうですね。王宮や貴族の決まり事なんかも良くご存知で助かりますし」


「彼女は王族の親戚だからな。子供の時からよく王宮に来てたし」


「ずっと生徒会にいてくれたらいいですのに」


「俺もそう思う。今度話してみよう」


「でも、良いんですか? アリシア様は誘わなくて? 」


「アリシアはいいんだ」


チクリ。アリシアの胸に棘が刺さった感じがした。そこにいつもの生徒会メンバー達がやって来た。アレクサンドラも一緒だ。アリシアは咄嗟に隠れた。


「クリスハルト様、お待たせしました」


とアレクサンドラの声が聞こえてきた。


「クリスハルト様、新しい食堂のメニューをお持ちしました。どれも美味しそうですわ。こちらがお奨めの料理と言ってましたわ」


「そうか。ではこれを貰おう。ありがとうアレクサンドラ」


「いいえ。え? 生徒会の仕事の資料ですか? はいここに全部揃っております。はい。お礼には及びませんわ。え? 優秀だなんて。おほほほ。クリスハルト様に比べたら、全然ですわ」


ドクン。楽しそうな笑い声と共にアレクサンドラの声が聞こえてきた。その声に胸がドクン、ドクンと波打つ。アリシアはそこから静かに離れて食堂を出ていった。


「アリシア? 」


オリバーが心配そうに顔を覗き込む。


いけないいけない。物思いにふけってしまった。本当に悪い方にばかり考えてしまう。


アリシアは顔を振ってオリバーににっこりと笑って言った


「それよりこれを食べてもらえないかしら」


「え? また? 」


アリシアは最近手作りのお弁当を持ってきている。メアリーから教わったレシピを家の厨房を借りてシェフの監視の元、作っているのである。


「えぇ。嫌だよ。誰かにあげろよ」


「つれないですわね。妹も一緒に作ったの。お願い。オリバー、食べてみてくれないかしら?」


アリシアが上目遣いでオリバーを見た。


「しょうがないな」


オリバーはしぶしぶ受け取り食べ始めた。


「うわ、辛っ! この炒めもの塩入れすぎだぞ。それにこっちの玉子焼きは甘いし」


「ごめーんなさーい」


シェフの監視があってもこれである。お弁当作りは向いてないのかしら。アリシアは首をかしげて思った。あちらではメアリーが仲良くなった騎士にお弁当をあげている。あらあらいつの間に。メアリーもすみに置けないわね。ミランダは最近、剣の鍛練に入れ込んでいる。女性の訓練生のエマと練習したり、指導してもらったりしている。そういえば幼馴染みの婚約者がいるって言ってたわ。


「文官を目指しているのですが、何だかなよなよしてて

頼りないので心配ですの。わたくしが強くならなくては」


そんな風に言っていた。何だか違う方向に行ってる気がするが、気遣う程仲がいいのはうらやましい限りだ。











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