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「では、始めます。まず、取り巻きのご令嬢達ですが、厳重注意になりました」


処罰はないようだ。


「そうなの。良かった」


「次にミリー嬢のことです」


最初、ミリーが、誰か高位貴族と知り合いになろうとして

剣技場の控え室の廊下に来ていた。そこでエマ達の騒動でミリーは咄嗟に思いついたのである。怪我をした振りをして、この人とお近づきになろうと。それが第一王子殿下だったなんてラッキーだった。それに、そこにいた令嬢に押されたと言ったら、なんと付きっきりで世話をしてくれた。ただ、アレクサンドラがいつも邪魔しに来るのがうっとうしかった。


何?この人。婚約者筆頭候補?何それ?要は婚約者と同じね。いつも、上品ぶった笑いを浮かべて、胡散臭い。

そうだ。クリスハルト様に婚約者の事を聞いてみよう。


『え?婚約者?アレクサンドラが?名前?二人きりの時は、アリーって呼んでいる』


アレクサンドラの事をあまりよく思ってないのか、少し警戒された感じだけど、まあいいか。アレクサンドラはアリーって略称あるし、間違いない。

そしたらアーデンって男が近づいてきた。婚約者を断罪して、婚約破棄できたら、あたしを王太子妃候補にしてくれるって言うじゃない?

そうだ。< 悪役令嬢物語 >のように、この女も断罪されて婚約破棄されればいいのよ。そしてヒロインことあたしが婚約者に、そして未来の王妃様になれるわ。

でもクリスハルト様があたしのそばに離れずにいて、嬉しいけど中々計画も進まない。そして2年生がもうすぐ終わる頃、アーデンが言った。クリスハルト様が学院を休んでいる、今がチャンスだ、悪行を自作自演しろと。

だから、あたしはその通りにした。でも、失敗した。あたしが勘違いしたからって罵ってきた。何を言っているのよ。そっちだって、騙してたじゃない。王太子妃になるのは妹のアレクサンドラだって。冗談じゃないわ。何であんな女の為に自作自演しなきゃならないのよ。

結局、ばれたけど、アーデンは全部、あたしのせいにして逃れるつもりだった。あの紙を置いといて良かった。だってクリスハルト様は婚約者のアリシア?だったっけ?を溺愛しているみたいじゃない。アリシアの冤罪を晴らすために真相を突き止めて、もしかしたらあたしだけ処罰されるところだったの。


あ~あ、王妃様になって自由気ままに贅沢して暮らしていけると思ったけど、甘かったな。王妃様って思ったより大変そうだし。

お母さんと暮らしてた頃が懐かしいな。お母さん死んじゃったけど。それで孤児院でしばらく厄介になって、そこを出て、居酒屋で働いていたら、お父さんだって男爵が迎えに来たんだ。何を今さらと思ったけど、贅沢できるかなと思って付いて行った。そしたら学院に行って、できるだけ高位貴族と縁を結べって言われたの。妾でも何でもいいからって。ひどくない? それが父親の言うことなの?

それで帰るところもないし、言われた通り頑張ったけど、失敗しちゃった。もう、貴族社会はいいわ。性格腐った奴しかいないのよ。

修道院に行けって言われたけど、いつか逃げ出して、自分の足で、自由気ままに、生きていくわ。

そういえば、本物の婚約者アリシアって子もあたしに似て自由奔放そうね。幸せになってほしいな。あの子だけは他の貴族と違うような気がしたから。きっといい王妃様になれると思うわ。だから、陳情お願いしますね。


「……」


「これが、ミリーの供述を書き写したものです」


「そう …ミリー達はどうなるのですか? 」


「三人は廃嫡で、アーデンは辺境のリーネル家の親戚筋の領地に送られることが決まりました。ボビーも同じところの警備兵になりました。カールも王都以外で職を見つけさせると言っています。つまり皆平民落ちですね。アレクサンドラとミリーは厳しい修道院に送られるそうです。それからダウリー男爵も爵位取り上げの処分がされました。彼の息子が男爵家を継ぎます。リーネル公爵も宰相を引退しました。跡継ぎがいなくなり養子を取るか、このまま公爵家が断絶するかはまだわかりませんが」


「わかったわ」


それがそれぞれの相応の処分なのだ。自分のしたことを反省して、罪を償ったらいい。






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