閑話~青の翼編①~
お待たせしました。
今回は「青の翼」視点です。
俺の名はラルク。現在、噂になっている「青の翼」のリーダーだ。職業がなんと、魔法剣士!そう魔法剣士だ!本来であれば、魔法剣士は転職しないとなれないのだが、俺は天職の儀の時に、魔法剣士の職業ともらった。たまに、上級職を貰える人間がいると聞いたことがある、最初から、苦労もせずに上級職が手に入るという事は、きっと俺は、神に選ばれた存在なのだと思った。そして、魔法使いのリーシャと盗賊のアリア。そして、なんと俺と同じ上級職「聖騎士」のサーシャだ。まさか、この時点で上級職が、二人いるパーティーはどこを探しても「青の翼」くらいだ。これは、俺が英雄になれと、神からのお告げではないだろうか。だがしかし、ここで問題が1つ、それはハンスという村人だ。俺のような選ばれた人間のパーティーに最弱にして役立たずの村人がいること自体許せなかった。しかし、元々サーシャとパーティーを組んで、しかも恋人と来た。聖騎士と村人が恋人?釣り合うわけがねぇ。だから奪ってやった。そして、ハンスを追放してやった。あの時のあいつの顔は今でも忘れられないぜ。クックック。そういえば、このギルドに聖女がいたな。今度、そいつを俺のパーティーに入れてやるか。そうすれば俺たちのパーティーはさらに名をあげる。そんなことをこの男は考えてた。
「ん?調査依頼?」
ラルクが言う。
「ええ、なんでも新人がよく薬草採取する森で聞いたことが無い声がするって噂なのよ。」魔法使いのリーシャがそう言った。
「この噂のせいで、新人冒険者が薬草採取できずに困っているみたい。」
と盗賊のアリアが言った。
「そんなもん、俺たちに関係ないだろう?」
「そうね、私たちには関係ないわね。」
サーシャもそういった。
昔のサーシャであればその様なことは言わなかっただろう。ラルクを好きになって変わったようだ。
「ですが、これはギルドマスターからの依頼でもある。」
俺はリーシャの言葉に「ギルドマスターからの指名か、俺たちも有名になったな。」と浮かれているラルク。
「仕方ない。ここは、ド素人どもを助けるとうことにして、行ってやるか。」
ここで俺たちの名をあげ、ギルドマスターに貸しを作るのもいいだろう。なんでもギルドマスターはここの領主の先代当主。俺たちの名を売り、そして貴族との関係を作る。まさに英雄になる俺にピッタリだ。最終的に貴族の令嬢なども俺の女になれば、完璧である。英雄は多くの女を侍らすものだ。
本当に愚かなことばかり考える男であった。
「ここが例の森か?」
ラルクの言葉に対して
「ええ、ここが噂になっている森ね。」
アリアが言う。
見た感じ特に何もおかしな所は無いようだ。
「噂の声は森の奥から聞こえてくると、そう依頼にはあった。」
そうリーシャは言って森の入り口を指さす。
「ふ~ん、なら早く終わらせちゃいましょう。」
サーシャがそう言い、「だな!」とラルクが言う。「青の翼」は森に入って行った。そして問題が起こる。
しばらくしてから「おい、森が暗くなってきた。明かりをつけろ。」そうラルクが言うも、「明かりなんて持ってきてないわよ。」サーシャが言った。
「はあ?ランプを持ってくるのは当たり前だろう。」
俺はそう言ったが
「そういうラルクはどうなんですか?」
「そうですね。リーダーならこれくらいは気づいていたでしょう?」
二人からの言葉に
「俺はリーダーだ。そんなもんするわけないないだろう?今まで誰がやっていたんだ?」
そう叫んだ。
二人からは「「ハンスがいつも用意していた。」」と帰ってきた。正直、この二人はハンスを嫌っていなかったのである。ただ、リーダーが強く言ってくるので、渋々、従っただけである。
「(くそが、こんな時にまであの役立たずは、俺の邪魔をするのか。)」
ラルクはパーティーから追い出しても俺の邪魔をするハンスが許せなかった。
「仕方ない・・・リーシャ、ファイアボールで明かりをつけろ。」
ラルクが命令するも
「そんなことすれば森が焼けて大惨事になる。」
「森が焼ければ、依頼失敗どころの問題ではない。」
冷静にアリアが言ってきた。
「じゃあ、どうすんだよ!」ラルクが叫んだとき「きゃあ」サーシャが叫ぶ。振り向くとサーシャが何かに引き飛ばされていた。
「GUGAAAAA」
「ひいいっ・・・」
その叫び声にラルクたちは尻餅をつき、ガクガク足を震わす。その後、どうなったのか覚えていないが、ラルクたちはギルドまで逃げ帰ってきた。結果としてはサーシャが腕の骨を折り、他の二人も軽いケガをした。ラルクに関してはアバラが数本と腕の骨を折ると言ったケガを負う。もちろん依頼は失敗。ギルドマスターにも確りとした報告もできず仕舞いだ。
何より、破損した装備の修理とケガの治療費にお金が飛ぶ。元々、女遊びの酷いラルクにとっては痛い出費である。ここからが「青の翼」の悲劇の始まりである。
今回は、少し短めですがご了承ください。