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巡礼の護衛④

俺たちはリオンにSランクの条件を教えて、食事をとって解散した。明日も護衛を控えているので早めに寝ることにする。


翌日、俺たちはいつも通り、アリシアの護衛につこうとすると案の定。ヨハンが言い寄ってきた。


「やあ、おはよう。今日もいい天気だね。」


「おはよう。何か用かな?」


ハンスがヨハンに話しかける。


「実は護衛を変わってほしくてね。」


ヨハンはいきなり護衛を変われと言ってくる。しかし


「それは無理だ。護衛に関しては依頼主である、皇太子殿下がお決めになったことだ。変更希望であれば直接、依頼主である殿下に聞いた方がいい。」


「皇太子は変更しないって言ってんだ。だからお前が直接、皇太子に言えって言ってんだ。」


ヨハンはもう、猫をかぶるのを、やめて本音をハンスにぶつける。


「何度も言うが、俺たちは冒険者だ。依頼主の指示に従うのが当然だろう。」


「知るかそんな事。」


ヨハンはハンスに殴りかかろうとする。だがハンスは半歩引いてヨハンの拳を躱す。そしてヨハンの大声に他の連中も駆け寄ってきた。


「一体、何の騒ぎですか?」


アリシアが聞いてきた。


「ああ、そこのヨハンが俺たちに護衛を変われって言ってきているんだ。」


俺はアリシアにそう言った。


「私の護衛は「暁」の皆さんにお願いしています。」


「だからコイツの代わりに俺たちが護衛してやるって言ってんだ。俺はAランクだぞ。」


ヨハンは自分のランクを言うが、ハンスはSランクだ。冒険者であれば誰だって知っているはずなのだが・・・


「ふん、たまたま運でSランクになった奴が偉そうに言うな。」


ヨハンはSランクの条件を知らないため、ハンスはたまたまSランクになったと思っているようだ。あと職業が勇者だって知っているよね。ハンスはSランクと同時に職業をギルドに公表している。


「大体、お前のような男がSランク自体怪しい。君たちもそう思うだろう?良かったら俺のパーティーに入らないか?」


ヨハンは俺たちを値踏みするような目で誘ってきた。


「気持ち悪い・・・」


「呆れるわ。」


「この人、頭大丈夫?」


「ガクガク」


リーシャ、サーシャ、アリアがヨハンを罵倒しアリスは俺の後ろで震えている。


「はぁ~、みんな事実でも、もう少し言葉を選ぼうか?じゃないとこの小者が可哀想だ。」


「レティシアが、一番ひどくない?」


アリアが俺に聞くが


「虫けらよりマシだと思うけど。」


「貴様ら!!!」


おや、どうやらヨハンはお怒りのようだ?何に怒っているのだろう?


「そこまでだ!」


後ろからレオンハルトの声が聞こえた。


「また君か?ヨハン何度も言うが護衛の変更はない。次にまた問題を起こすようなら、君たちはこの依頼から外れてもらう。」


レオンハルトに言われ、ヨハンは唇を噛みながら去って行った。その後、俺たちはいつも通りアリシアの護衛についた。





「クソが、どいつも俺を馬鹿にしやがって。」


ヨハンはイライラしていた。だが、ふと何かを思いついたように


「・・・そうだ。あれがあった。」


ヨハンがにやける。後ろでは三人の女性がヨハンの行動を黙ってみていた。






俺たちは順調に巡回を続け、今回は野宿することになった。そんなとき


「誰だ!こんな危険なものを持ち込んだのは!」


ヨハンが叫びだす。その声に他の冒険者や騎士、レオンハルトとアリシアまでもが集まった。


「いったい何かね?」


一人の騎士がヨハンに聞いた。


「「暁」の奴らがこんな危険なものをここに置いて行ったんだ。」


ヨハンが俺たちを指さしながらそう言ったが


「それは本当かね?」


騎士が俺たちに聞いてくるも


「そもそも、俺たち荷物持ち歩いていませんが。」


俺はそうはっきりと言った。


「そんなわけないだろう。」


ヨハンがそう言ったが


「いや、彼らは荷物を持ち歩くことはない。」


レオンハルトがはっきりとヨハンに言う。なぜなら


「彼らの仲間のレティシアがアイテムボックス持ちだからな。」


「そうですね。私たちもレティシアさんにいろいろお願いして預かっていただいてますし。」


レオンハルトとアリシアがヨハンにそう言った。


「アイテムボックスだと。」


さすがのヨハンも俺がアテムボックスを持ってることを知らなかったようだ。まあアイテムボックス持ちであることはごく一部の人しか言っていない。


「アイテムボックス持ちの彼女がいるのにどうしてそれが、「暁」の物だって言いきれるんだい?」


「それは・・・」


レオンハルトの問いにヨハンの声が濁る。


「殿下。俺が調べましょうか?」


そう言ってアイテムボックスから魔道具を取り出す。


「鑑定ルーペか。珍しいものを持っているね。」


レオンハルトが言った。鑑定ルーペはその名の通り、相手の情報や道具の情報を見ることができる、いわば鑑定スキルと同じ効果がある。


「さて、調べますね。」


「ま、待て!」


ヨハンを無視して俺は置いてあった袋を鑑定する。


「アドバンス商会製造で持ち主はヨハンか・・・」


「アドバンス商会はヨハンの父親がやっている商会だぜ。」


後ろからリオンが教えてくれた。


「ヨハン。これ君の持ち物じゃないか?」


「いや、それは・・・」


ヨハンがたじろぐも


「結局、中身何だったの?」


アリアが聞いてきたので


「ん?魔寄せの線香というアイテムらしいよ。」


俺がそう言ったら


「魔寄せの線香だと!」


レオンハルトが驚いたように声を出す。同時にアリシアやリオンと言った他の者たちも驚いていた。


「魔寄せの線香?何それ?」


俺の問いに「君ね~。」って感じでハンスが呆れながらも教えてくれた。簡単に言うと魔物をおびき寄せる魔道具らしく、製造や使用を禁止されている魔道具らしい。ふむ、そう言った魔道具もあるのか~って感じできいていたら


「報告します。前方より魔物の大群が押し寄せてきています。」


一人の騎士が慌てて駆け寄ってきた。


「くっ、数は?」


「それが1000以上としか・・・」


レオンハルトの問いに答える騎士。状況的に最悪だ。周りの冒険者や騎士が慌てふためく。


「静まれ。」


レオンハルトが大声で叫ぶ。


「レティシア。貴女なら何とかなりませんか?」


アリシアが聞いてきた。


「ん~、ハンス。」


「レティシアが何を言いたいのか分かっているよ。」


ハンスは俺が何を言おうとしているのか理解してくれたようだ。


「殿下。押し寄せてきている魔物は俺とハンス二人で相手します。」


俺はレオンハルトにそう言った。


「いいのか?君たちに頼って・・・」


レオンハルトは俺の実力を知っているし、ハンスが勇者であることも知っている。


「我々は護衛です。殿下や聖女様をお守りするのが我々の役目です。どうぞご命令を。」


俺はレオンハルトの前に跪く。周りの冒険者や騎士たちが驚きだす。Sランクが誰かの前で跪く事自体、普通ありえないからだ。まあ、Sランクってみんな無駄にプライド高いからね~。俺も知り合い以外には絶対にしないわ。レオンハルトは目を閉じ


「すまない。そして、感謝する。・・・レオンハルトの名において命ずる、レティシア、ハンス双方に魔物を討伐することを命ずる。他の者は守りを固めよ!」


レオンハルトは目を開き俺たちに命令する。


「仰せのままに。」


俺はそう言って、大鎌を出し、前に立った。隣にはハンスが並んでいた。


「じゃあ、見せてあげようか。Sランクの実力を。」


「レティシア。君は何でそんなに笑顔なのかな?」


ハンスは呆れながらも剣を抜き構える。


ここからは俺たちだけの一方的な蹂躙劇の始まりだ。


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