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巡礼の護衛③

「皆さん。今回の護衛よろしくお願いします。」


アリシアが俺たちに言った。アリシアの周りには女性の騎士や女性だけの冒険者パーティーがたくさん集まっていた。その後、簡単な挨拶を済ませ俺たちは護衛につくのであった。

俺たちはアリシアが乗っている馬車の近くで護衛をすることになった。移動中に


「まさか、レティシアさんたちが今回の依頼を受けてくださって、本当に助かります。」


アリシアが窓を開け、馬車の隣にいた俺に話しかけてきた。


「ん?何か心配でもあったのか?」


俺はアリシアに聞いた。一応アリシアは貴族なのだが、なんとなくため口になってしまう。まあ、アリシア本人が別に普通に話してもいいと言ってくれているので問題ないが・・・


「いえ、Sランク冒険者の方々は相手が貴族や王族であっても依頼を受けない方が多いと聞いていたので・・・」


「まあ、ほとんどのSランク冒険者は貴族に関わろうとしない人が多いですね。むしろ、敵対した貴族は叩き潰すって考えの方が多いかもしれませんよ。」


現にSランクの中には理不尽な事を言ってきた貴族を一族もろとも皆殺しにした者もいる。Sランク冒険者は軍とも渡り合える実力者ばかりだから、下手にちょっかいをかけない方がいいと言われているね。そして、ギルドの要請にも応じない問題児ばかりだけど・・・


「そ、そうなんですね。ちなみにレティシアさんもですか?」


アリシアは真面目な顔で聞いてきたので


「基本的には敵対しなければ、こちらから何かすることはありません。きっとハンスも同じでしょう。ただ、仲間や恩人に何かあった場合は容赦しませんけど。」


アリシアにそうはっきりと言った。


「わかりました。私は貴女たちとは敵対するつもりはありません。」


「ええ、わかってますよ。俺もアリシアとは敵対したくないのでね。」


「貴女にそう言っていただけてホッとしました。そういえばレティシアさんたちはファブレ伯爵の専属冒険者でしたね。Sランクの貴女がどうして、貴族の専属冒険者に?」


「・・・俺がヒーラーだった時に伯爵様にはいろいろ面倒を見てくださったんですよ。今の俺があるのは伯爵様のおかげです。なので、俺は伯爵様に恩返ししたいという意味で専属冒険者になっているだけです。きっとハンスたちも同じでしょう。」


アリシアに少しだけ俺の過去を語った。


「そうだったんですね。すみません。」


アリシアが頭を下げたが


「別に謝る必要はありませんよ。まあ、そういうわけだから伯爵様の専属冒険者を今もしているわけですよ。」


俺はそう言ったのである。その後、一つ目の町に辿り着いた俺たちは、自由行動となった。出発は明日との事だ。俺たちは事前に予約されていた宿に泊まることになり、そして、途中でリオンたちとあったので一緒に夕食をとることになった。


「で、そっちの護衛はどうだった?」


リオンが俺に聞いてきた。


「特に何も問題なく済みましたよ。」


アリシアの護衛は俺たち以外には10人くらいの護衛しかいないので、特に問題が無かったことを言う。


「そうか、それは良かったな。」


リオンがそう言ったので


「そっちは問題があったみたいだな。」


俺はリオンに言った。


「まあな・・・」


リオンの話によると問題を起こしたのはヨハンだったようだ。簡単に言うと皇太子のじゃなく聖女の護衛が良かったと揉めたようだ。「俺のパーティーは俺以外みんな女なんだから聖女の護衛で良いじゃないか。」とか「なんであいつは男なのにあっちにいるんだ。」なんて言っていたようだ。ちなみに、あいつというのは言うまでもなくハンスの事だ。


「良かったな!ハンス。ヨハンに目の敵にされて。」


「レティシア。わざと言っているでしょう。」


「まあね~」


俺はそんなふうに言った。


「で、結局はどうなったの?」


俺は再度リオンに聞いた。リオンが言うにはいくらヨハンのパーティーがヨハン以外女だからと言って聖女の護衛につけるわけには、いかないという事になり引き続き皇太子の護衛につくことになった。ハンスに関してはSランクであり聖女本人からの信頼があるので問題と説明したようだ。そもそも女癖の悪いと分かっている奴を聖女の護衛につけようとする方がおかしいと普通に考えればわかるだろう。


「しかし、なんでそんな男がAランクなんだ?」


俺は不思議に思ってリオンに聞いてみた。


「ああ、ヨハンの実力は本物だが性格に問題があるも、あいつは商会の息子でな、ギルドにいろいろと貸しを作っているみたいでな。」


なるほど、結局は商会に借りがあるためギルドとしても大きく出れないわけか、まあ実力はAランクに匹敵するのでAランクにしたってことかな。しかし、それで「いずれはSランクになるって無理があるのではないか?」と俺はそう思った。


「リオン。ヨハンの奴は「いずれはSランクになる」って言っていたが正直無理じゃないか?」


俺はリオンにそう言った。


「いや、俺はSランクになる条件を知らないから何とも言えないのだが・・・」


「いや、Sランクになる条件って冒険者なら誰でも知っているのでは・・・」


俺はSランクの条件を知っていたので疑問に思った。そんなとき


「レティシア。Sランクの条件はギルドマスターしか知らないみたいですよ。」


リーシャにそう言われた。


「あれ?でも、王都にはじめて来たときハンスは知っていたような口ぶりだったけど。」


「ん?ああ、その事ね。実はギルドマスターから事前に聞いていたんだ。」


ハンスがそう言った。ハンスが勇者であることを知っていたギルドマスターがSランクになる条件をハンスに事前に教えていたようだ。そういえば俺もいきなりギルドマスターから「お前、今日からSランクな。」てな、感じでいきなりSランクになったんだったな。


「なるほど、ならリオンが知らないのは無理がないか?でも俺から条件を言ってもいいのか?」


「大丈夫だよ。Sランクのレティシアなら条件を言っても問題ないみたいだよ。」


ハンスが教えてくれたので、Sランクの条件と俺がSランクになった経緯を説明した。


「なるほど、うん。無理だわ。」


リオンにはっきり言われた。いくら商会の力があってもこればかりは不可能だとリオンも悟ったのだろう。


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