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ランクアップ

宿に戻った俺たちは


「さて、夕食まで時間がある。裏庭で少し稽古をつけよう。」


「え?いいんですか?」


「ああ、構わないといっても簡単な訓練だけどね。」


正直、聖女と勇者では力の差があり、聖女は後衛になる。それに対して、勇者はオールラウンダー。前衛も後衛もこなせる上に、ステータスでは聖女を圧倒する。そんなことを思いながら裏庭に向かった。


「じゃあ、今のハンスの力を見せてくれるか?」

俺はそう言って、木剣を構える。


「はい、お願いします。」

ハンスは木剣を構え突っ込んでくる。


「え?ちょっ」


俺は慌ててハンスの木剣を受け止めるも、吹き飛ばされた。予想以上のスピードだったからである。あと純粋に力の差もあった。


「がはっ」


俺は壁にたたきつけられる。


「え?だ、大丈夫ですか。」

ハンスも慌てて俺のもとに来る。


「ああ、大丈夫」

俺はすぐに回復魔法を使った。


「ハンス。思った以上に強いね。」


俺は素直に関心した。聖女とはいえ、剣術だけでもBランクくらいはあるはずなんだが・・・


「すみません。自分でも、すごく驚いています。」


「でも、まだ力に振り回されているって感じかな?」


「ええ、正直使いこなせていない感じがします。」


「そっか、なら今度は少し力を抑えてやってみようか?俺は支援魔法で自分の体を強化するから。」


「はい、お願いします。」


それから2時間くらい剣の打ち合いを続けた。肉体強化使っているのに、手がしびれる・・・



翌日、俺たちはギルドの訓練所に向かった。訓練所にはすでにギルドマスターと受付嬢。そして試験官のガレスがいた。冒険者の姿はないみたいだ・・・


「おはよう。ではさっそくハンス君のランクアップ試験を行おう。」

ギルドマスターの言葉に


「はい、お願いします。」

ハンスはそう言った。


俺は、ガレスに「先生が試験官なんですね。」という。


「ああ、お前に足を治してもらったおかげでまた、またこうして、剣を振るうことができる。」


彼は、現役時代に足を魔物に食われ、それが原因で引退し新人冒険者の教官になった。当時、ヒーラーの俺であったが、真面目に訓練に参加していたことなどから、いろいろ面倒を見てもらった。俺にとっては先生みたいな人だ。


「君がハンス君か?ギルドマスターから聞いている。俺はガレス。君の試験官をすることになった。これでも元Aランク冒険者だ。よろしく。」


「はい、よろしくお願いします。」

そう言って、二人は距離を取り木剣を構える。


「で?どうなんだ、レティシア?ハンスの強さは?」

ギルドマスターが俺に聞いてきた。


「そうですね。はっきり言って舐めてたら瞬殺ですね。俺も一撃で戦闘不能になりましたし・・・」


「マジか・・・」

ギルドマスターも驚く。


そりゃ俺の強さはよく知っているから驚くのも無理はない。そんな話をしていると


「はああ!!」


ハンスが一気に踏み込む。それに対してガレスは受け止める構えをとるも、「むっ!」っと、声を出しただけで、剣をずらしハンスの剣を受け流す。しかし、ハンスは受け流された状態から無理に体をひねり、ガレスに剣を振るも、すでにガレスは距離をとっていた。


「なるほど・・・確かにとんでもない身体能力だ。しかし、力にふり回されているようだ。」


ハンスも分かってたことなので苦笑いする。


「ふむ、自分が力にふり回されている自覚はあるか。よし合格だ。」

ガレスはそう言った。


「え?でも・・・」

ハンスはそう言うも


「己の力をしっかり認識し、そして、どうすればよいのかを考えている君ならDランクでも問題ないと、俺は思っただけだ。最近の若い連中は、職業というものに胡坐をかき、努力しようとすらしない。」


そうガレスは言った。最近では訓練所を使う新人は少なくなっている。職業に頼った戦い方をしているようだ。


「職業とはあくまでサポート程度でしかない。例えば剣士であれば剣の扱が人よりうまくなるだけで、それ以上でもそれ以下でもない。結局努力しないと腕は上達しない。それが最近の若い連中はわかっていない。だが、レティシアや君はそのことがよくわかっている。」

そうガレスはいう。


「確かに、最近の新人は職業に頼りっきりという傾向があると私も報告を受けている。ランクアップの試験内容を見直す必要があるかもしれんな。」

ギルドマスターはそう言った。


「ええ、そうしていただくと俺としてもありがたいですね。それと、ハンス。Dランクになったとはいえ、技術面はまだまだだ。これからは基礎訓練など必要となるだろう。良ければ俺が見てやろう。」


「はい、お願いします。先生!」


「先生か、お前もレティシアと同じことを言う。」


「先生は先生でしょ?」

俺がそう言った。


「全く、お前はもうSランク。俺よりも上なのに全く変わらないな。」


「俺にとって先生は恩師です。先生がいなければ今の俺はいません。」

俺ははっきりといった。


「そうか。お前に言われると俺も頑張ったかいがあった。」


その後、ハンスの訓練メニューを決め、そして、俺も久々に基礎訓練をするのであった。

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