巡礼の護衛①
「護衛依頼ですか?」
俺は、今ギルドマスターの部屋でそんなことを言った。
「ああ、そうだ。頼めるか?」
ギルドマスターがそう言っていた。
「ハンスたちはどうする?」
「う~ん、一応護衛内容を決めてからにしようか。アリスもいるんだし。」
ハンスがそう言った。
「そんな、私のことは気にしなくても構いませんよ。」
「そんな事言わないの。私たちは仲間なのだから。」
アリアがアリスにそう言った。アリスとは最近仲間になったヒーラーの子だ。すごく、おとなしくて可愛い。リーシャと並べると姉妹に見えてしまう。
「それで、依頼内容はどういったものでしょうか?」
リーシャはギルドマスターに質問する。
「ああ、依頼内容は聖女様と皇太子殿下の巡回の護衛だ。」
「聖女様?」
「ああ、アリシア様の事だ。」
俺は聖女が誰の事か分からなかったので、ギルドマスターが教えてくれた。
「ああ、彼女の事ですか。」
アリシアはあれから教会認定の聖女となったことは俺たちも知っている。しかし
「なぜ、今更?」
俺は疑問に思ったので聞いてみた
「この度、レオンハルト殿下が皇太子になったので教会側も聖女も一緒に巡回してはどうかという案が出たんだ。」
この国の皇太子は国を巡回することが昔から決まっているようで、アリシアも一緒に巡回することになったようだ。
「なるほど、でも私たちは聖女様だけでいいのですか?皇太子殿下の護衛は?」
サーシャが聞いてくるも
「ああ、その事なら問題ない。殿下の方は騎士団が護衛する。ただ、聖女様は女性であるため、護衛は女性にしてほしいと殿下からの要望だ。」
確かに騎士団には女性より男性の方が多い。なので、女性の多い冒険者を雇おうと思ったのだろう。
「それで、俺たちが呼ばれたわけですね。」
「そうだ、お前たちは殿下と聖女様と面識もあるし、なにより女性が多いパーティーなので問題ないだろう。」
「ハンスは、男ですよ。」
俺の問いにギルドマスターは
「ああ、それなら大丈夫だ。お前たちがいるからな。」
ふむ、ギルドマスターは三人がハンスと付き合っている事を知っているため、もし何かあれば三人が止めると思ったのだろう。まあ、ハンスなら大丈夫だろうけど。
「そのような、依頼に私がいたら足手まといじゃ・・・」
アリスがそんなことを言うが
「心配ないさ。俺たちがいる。それに聖女様は以外といい人だよ。殿下の方は、少しだけ話したけど平民差別をする人ではなかったよ。」
俺はアリスを説得する。レオンハルトとは王城事件の際に元凶を倒してくれたことに関して頭を下げられた。そんな感じだから、悪い人ではないだろう。そして、アリシアなら大丈夫と自信を持って言える。まあ、護衛の中にアリスに変なことを言えばそのときは、俺だけじゃなく皆が暴走するけどね・・・
「じゃあ、みんなこの依頼を受けることでいいかな?」
ハンスが俺たちに確認し、みんなが頷く。
「そうか、じゃあ頼んだぞ!」
ギルドマスターがそう言った。その後、俺たちは部屋を出て、正式に巡礼の護衛を受けることを受付嬢に言い帰宅する。
夕方
「皆さん、今回の依頼を受けていただき、ありがとうございます。」
カトレアが俺たちの宿にやってきて、そう言った。
「カトレア様。わざわざ頭を下げることはありません。」
俺はカトレアにそう言い、みんなが頷いた。
「いえ、今回無理を言ったのは我々ですので・・・」
「別に、無理を言われたつもりは・・・」
俺はそう言ったが、本来は、俺たちに護衛の依頼が来ることはなかったようだ。しかし、「巡回するのであれば、危険が多い。強い護衛は必要だ。」とレオンハルトがそう言ったのが始まりだ。彼はアリシアの事が本当に心配であるようで、少しでも危険が無いよう、いろいろ考えていたようで、強い護衛に俺たち「暁」に依頼してはどうかと、そう言った案が出たようだ。まあ、俺とハンスはSランクでこの国には俺たち以外にSランクはいないからな。
「しかし、よく俺たちに依頼をしようと思ったね。」
俺はカトレアに聞いた。本来Sランク冒険者は自分勝手な連中が多いため、貴族の依頼でも無視することが多い。いくら王族であっても無視される可能性だってあるはずなのに・・・
「ええ、レオンハルト様とアリシア様も皆さんとは面識がありますし、一応、伯爵の専属冒険者となっているので、大丈夫だと思われたのではないかと・・・」
「なるほど、そういう事ですか。」
一応、俺は納得することにした。確かに二人とは面識があるがそこまで仲がいいとは思わないが・・・まあ、いいか。
「とりあえず、明日の朝王都に向かう馬車を用意しますね。」
カトレアがそう言った。その後、俺たちはカトレアと共に伯爵家の家に向かい食事をとって、伯爵の家に一泊することになった。アリスは相変わらず緊張していた。カトレアは普通で良いと言っているが、まだ時間がかかりそうだ・・・
翌日、俺たちはカトレアの用意した馬車に乗り込み、王都に向かうのであった。




