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温泉だと!

「温泉?」


「そう、温泉。」


俺の問いにハンスが答える。


「実は、ニコラス様が私たちに、温泉に招待してくれたんです。」


サーシャがそんなことを言う。


「でも、なんでいきなり温泉なのですか?」


リーシャの問いに


「どうやら、王宮の件で「ちゃんとしたお礼がしたい」って、言ってなかった?」


「確かにそのような事を仰ってましたが・・・・」


アリアの問いにリーシャがそう答える。王都の事件からすでに3か月たっている。現在の「暁」にはハンスがSランクで後の3人はBランクにまで上がっている。王宮での反乱は俺たちの予想外の事だし、それに関して報酬を貰う気はなかった。しかし、ニコラスは自分の娘を守ってくれたお礼がしたいと言い、俺たちは特に希望が無かったので、「どこか休める場所があったら教えてほしい」と言ったことがあった。ニコラスは覚えていたのだろう。


「まあ、ニコラス様からの招待だし、行こうか?」


俺はみんなにそう言い、みんなも同意した。




翌日


「おはようございます。みなさん。」


カトレアがルークを連れ、俺たちを出迎えてくれた。


「おはようございます。カトレア様。」


俺がみんなの代表であいさつをした。


「あれ?ニコラス様は?」


アリアがカトレアに聞いた。


「お父様は急用ができてしまいまして、代わりに私が皆様を案内することになりました。」


カトレアがそう言った。そして、俺たちはカトレアの用意した馬車に乗り込んだ。


「そういえば、温泉ってどこにあるんですか?」


俺はカトレアに聞く


「ええ、我がファブレ領にある、ダモンの町に最近温泉ができたんですよ。なので、視察を兼ねて、みなさんを招待しようと思いまして。」


「なるほど、そういう事ですか。」


どうやら、温泉は最近できたようで視察ついでに俺たちを招待してくれたようだ。しかし、温泉か・・・ムフフ。そんなことを思っていると、隣に座っているハンスが耳元に話しかけてくる。


「レティシア。もしかして、変なことを考えていない・・・」


「ハンス君。大丈夫だ。今の俺は女!!決して覗きと言った行為はしない!なぜなら、堂々と女湯に乗り込めるからな!」


俺はハンスに堂々と宣言した。


「いやいや、レティシア。君、もともと男だろ?」


「元男だ。だか、今は女だ!それとも何か?俺に男湯に入れと?」


「いや、さすがにそれは・・・でも、ほら時間帯をずらすとか?」


「ふむ、確かにカトレア様に関しては恩人の家系だからな、罪悪感がある。しかし、仲間の三人には何も問題ない!」


「いや、ダメでしょう!」


「ハンス。まだ君は三人と正式に付き合っていないでしょう。なら問題ない!」


現在ハンスは三人とはまだ付き合っていない。まあ、近いうちに付き合うだろうけど。


「いや、レティシアが時間ずらして入れば問題ないのでは?」


「それだと意味ないだろ!」


俺はハンスにはっきり言う。


「仕方ない。ハンスも一緒にはいるか?多分三人はOKだと思うけど。」


「いや、さすがに・・・」


ハンスが戸惑う。全く仕方ない。


「まあ、時間帯については、とりあえず保留にするか。」


正直、俺もほんのちょっとだけ罪悪感はある。




「うわ~。ここが新しくできた温泉ですか?」


サーシャが言った。俺はハンスと温泉の話をしているといつの間にか目的の町に到着していた。案外近かった。


「皆さんの部屋はすでに用意していますので、荷物などを置いてきてください。あと、温泉は好きな時に入っていただいて結構です。」


そう言ってカトレアは支配人と一緒に出て行った。きっと視察に出たのだろう。


「じゃあ、さっそく温泉に入ろう!」


アリアがそう言って部屋に駆け込んでいき、二人がその後を追う。俺も行こうと思ったがハンスに肩を掴まれる。


「いいかいレティシア!みんなが誘ってきた場合は変なことをしないように!」


誘われた場合のみ一緒に入っていいようだが、いろいろと条件を付けられた。解せん。







「ふう~。いい湯だな。」


僕は一人で温泉につかっていた。


「レティシアにはああ言ったけど、心配だ。」


レティシアが僕と同じ転生者で元男であることは、僕だけが知っている秘密だ。今のところレティシアもみんなに話す気は無いようだし、僕もレティシアの許可なく言いふらすつもりはない。しかし・・・


「そんなに俺のことが心配か?ハンス?」


「まあね、君の事だから心配に・・・って」


僕はレティシアの声が聞こえたので後ろを振り向くと


「ん?どうしたハンス?」


レティシアが後ろに立っていた。







「全く、ハンスは心配しすぎだ。そうだ!確か今は温泉は貸し切りだったよな。よし」


俺はハンスを驚かすために男湯に乗り込んだ。そして今に至る。


「どうした?ハンス顔が赤いぞ?」


「レティシア。ここ男湯だよ。」


「ああ、知っている。どうせ君以外いないだろ?」


今は貸し切りなのでハンス以外いないことは知っていた。


「いや、それでも・・・」


「なら、女湯に行こうか?ちょうどリーシャたちが入っているぞ?」


俺は女湯に指をさす。女湯からは三人の声が聞こえてきた。


「そうだ。どうせなら覗こうぜ!」


「君ね。子供じゃあるまいし・・・」


ハンスは目をそらしながら言ってくるが、しっかり見ているのは分かるぞ。まあ、あえて言う気はないが・・・


「ハンスが行かないなら、俺一人で!」


「ちょ!何やってんの。レティシア。」


俺はハンスの制止を無視して塀を上る。ハンスが慌てて止めに入ろうとするも


「甘いぞ、ハンス。今の俺はこの程度では止まらん。」


「いや、訳の分からない事を言ってないで。」


ハンスは必死に止めようとするが、俺はすでに塀を登り切っていた。


「ふっふっふ。ハンスよ。俺はついにやり遂げたのだ。」


「ダメだよ!レティシア!」


ハンスが呼ぶが俺はもう止まらない。そして


「へ?レティシア?」


俺は塀から顔を出すと、カトレアと目が合った。


「へ?カ、カトレア様ぁぁぁぁ!!」


俺が大声で叫んだ。


「え?レティシア?なんで男湯にいるの?」


アリアたち三人が俺を見るも、俺は慌てて、塀を降り、顔を青くした。


「ヤバい!カトレア様がいた!」


「レティシア?」


ハンスが聞いてくるが俺はハンスを無視して男湯を出る。


「ヤバい、土下座して謝らないと。」


さすがに、恩人であるファブレ伯爵のご令嬢の入浴を覗く気はなかったし、ギルドマスターの孫娘だ。バレたら殺される。今の俺は冷静な判断を失っていた。心が男であるため罪悪感でいっぱいだった。



「レティシア。服!!」


ハンスが止めようとするも、俺は裸で男湯を出て行った。外にはルークたち騎士団がいて、とんでもないことになってしまった。




その後


「全く。何、考えているの?レティシア!」


アリアが言った。今、俺はみんなの前で正座させられていた。まあ、あの後いろいろあったらね~。


「まさか、男湯に入るなんて、レティシアは変態なのですか?」


カトレアがゴミを見るような目で見ている。うん、別の意味でこれはいいかも・・・じゃなくて


「少し、ハンスを驚かそうと・・・」


「「「「だからって、裸で男湯に入るバカはいない!!!」」」」


俺はその後、女性陣にこっぴどく叱られたのである。あとついでに、ハンスも・・・


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