それぞれの戦い
「どうしてこうなった・・・」
シュバイツ公爵は焦っていた。まさか相手にSランク冒険者がいたことに。王国最強のリヒトであればこちらで対処できるので問題はないと思っていた。だがSランク冒険者がいたことは想定外だ。しかも、下級悪魔とはいえ1000もの数を一瞬で消してしまったあの強さ。そして、聖女としての能力、そのどちらもシュバイツ公爵には信じられなかった。そして、たった一人の少女に自分の計画が壊された事に
「悪いけど、こんな茶番劇さっさと終わらせてもらうよ。」
Sランク冒険者が鎌をこちらに向けている。あれは聖女でなく死神だ。
「ひいいっ」
シュバイツ公爵は尻餅をついた。相手からは俺が死神に見えたのだろう。
「レティシア。僕はあの悪魔を相手するよ。」
ハンスは低級悪魔を召喚した悪魔を相手すると俺にそう言った。
「ああ、今の君なら余裕で倒せるだろう。」
「私たちはラルクを相手するね。」
リーシャとアリア、そしてサーシャはラルクの相手をするようだ。サーシャに関しては王都についてから魅力耐性をもつ魔道具を買って渡しているので大丈夫だろう。俺はシュバイツ公爵に向かって歩こうとしたが
「すまないが、シュバイツ公爵は私が引き受ける。」
リヒトが俺にそう言った。
「あの者は、国の反逆者。国に仕える私がケリをつけたい。」
「わかりました。お任せします。」
俺はおとなしく引き下がる。そして
「仕方ないから、君の相手をしてあげるよ。」
俺は余り者のレイナールにそう言った。
「き、貴様!!」
威勢はいいが、足が震えている。俺がSランク冒険者と知って怯えているようだ。たしかSランクにも勝てるとか言っていた様な・・・
「どうした?以前の威勢はどこに行った?」
俺はレイナールに話しかける。
「本当に君はつまらないね。威張ってばかりでさぁ~。」
「黙れ!貴様さえいなければ!」
「はぁ~、もういいや。さよなら。」
俺はそれだけ言って、レイナールを斬り捨てた。
「さて、ハンスの方はどうかな?」
俺はハンスの方に歩き出した。
「・・・ただの人間にしてはなかなかやるな。」
悪魔がハンスに話しかける。
「(これが、悪魔か。災害級の強さと噂されるだけの事はある。)」
ハンスはかつてギルドの本で悪魔と言ったのがどういったものか調べて事があった。悪魔とは人間に呼び出され、対価を支払う事で願いをかなえると言われている。そして強さは、ピンからキリだが、町くらいなら簡単に滅ぼすことができると言われている。まさに災
害級だ。
「それでも、僕がやらないと。レティシアに悪魔は僕が引き受けると言ったのにここで怯えるわけにはいかない。」
そう言ってハンスはオリハルコンの剣を持って悪魔に斬りかかる。
「ラルク。あんたのしぶとさには、いい加減うんざりしてきたのよ。」
アリアが言う。
「ああ?何言ってんだ。俺は選ばれた人間なんだよ!お前たちと一緒にするな。」
ラルクはそう言ったが
「いいえ、貴方はただの傲慢な愚か者です。」
リーシャがいい
「貴方には、いろいろ・・・いいえ、傲慢な愚か者には言うだけ無駄ね。」
サーシャは静かに剣を抜いた。
「サーシャ。また俺の魔眼で操ってやるよ。」
ラルクはサーシャに魔眼を使ったが
「無駄よ。」
サーシャが身に着けている魔道具によって、魔眼の効果を無効化した。
「ちっ、余計なことを。」
「ラルク。あんたはもう終わりなのよ。」
「そうですね。ここで決着をつけましょう。」
「もう、同じ過ちは繰り返さない。」
アリア、リーシャそしてサーシャがラルクに向けて武器を構える。
「上等だ!俺様の力を見せつけてやるよ!」
ラルクは剣を抜き構えるのであった。
俺はレイナールと倒してハンスのもとに行った。
「ハンス。強くなったね。あの悪魔を相手に互角に戦うなんて・・・」
俺はハンスと悪魔の戦いを見てそう思った。ハンスはオリハルコンの剣で悪魔の攻撃を捌きつつ、少しずつではあるがダメージを与えている。悪魔の方も爪などで迎撃しているが、技術はハンスの方が上だった。
「とはいえ、決め手に一つ欠けるか・・・よし」
俺はハンスのもとに駆け出す。
「ハンス。」
「レティシア。」
俺はハンスの隣に立った。
「俺が援護する。君に魔法をかけて能力を上げる。一気にケリをつけるんだ。」
俺はそう言ってハンスに魔法をかける。
「ああ、わかった。」
ハンスは頷き、剣に力を入れる。俺はハンスの剣に聖属性の魔法を付与した。
「行け!ハンス!」
俺は叫んだ。
「うおおお」
ハンスは駆け出し剣を振り上げる。
悪魔はハンスの攻撃を避けようと空に飛びあがろうとするも、俺の大鎌で羽を切り落とす。羽を切り落とされた悪魔はバランスを崩す。ハンスはその隙を見逃さなかった。
「終わりだ!」
ハンスは剣を振り下ろし悪魔を一刀両断するのであった。




