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Sランク冒険者の実力

「陛下!!」


リヒトが陛下に駆け寄る。陰から出てきた物体はそのままシュバイツ公爵のもとに降り立つ。そうあの時の悪魔だ。こっそりと陛下の影に潜んでいたようだ。


「お父様、しっかりしてください。」


エレノアが必死に叫ぶ。見たところ、腕を斬られただけでなく斬られた部分から黒い呪印みたいなものが広がっている。


「アリシア!早く父上を!」


レオンハルトがそう言うも、アリシアは顔を青くしていた。そして


「・・・きません。」


「アリシア?」


レオンハルトがアリシアに言う。


「できません。私には陛下を助ける力を持っていません。」


アリシアがそう言った。


「どうして、アリシアは聖女だろ。」


レオンハルトがアリシアの肩を掴む。


「申し訳ありません。私は聖女でなく、ヒーラーです。」


アリシアの言葉にレオンハルトだけでなく、他も者も驚く。アリシアは他のヒーラーよりも回復量が多いだけのヒーラーだったようだ。そのことを知っているのは自分の父親のファーレンガルド公爵ただ一人。教会の者には彼女が聖女であるとファーレンガルド公爵がそう言ったようである。


「どういうことだ。ヒーラーって・・・」


レオンハルトも動揺する。自分の婚約者が聖女でなくヒーラーだったことは彼本人も知らなかったようだ。


「申し訳ありません。申し訳ありません。」


アリシアは泣き崩れる。そんな中


「おい、どういうことだ。ヒーラーだったら操ることはできないぞ。」


ラルクが言うも


「私をだましていたのか!」


レイナールも知らなかったようで怒り出す。


「ふむ、ヒーラーか。まあ予想は外れたが、無理やり従わせればよいだろう。」


シュバイツ公爵がレイナールにそういう。


「・・・そうですね。ヒーラーでも見た目は文句なしですし、私を騙したことについては後でお仕置きすればいいでしょう。」


そう言ってレイナールは落ち着きを取り戻す。


「さて、陛下の命はもうじき終わります。ここにいる貴族の方々はどうしますか?我々に忠誠を誓うのであれば命は助けましょう。」


シュバイツ公爵がそう言った。その言葉に貴族たちは動揺する。


「・・・レティシア。」


カトレアが静かな声で俺を呼ぶ。


「カトレア様。何でしょう。」


「命令です。陛下を助けなさい。」


「御心のままに。」


俺はそう言って、陛下の腕を拾い陛下に近づき「失礼します。」そう言って、ディスペルとエクストラヒールを使った。その結果、陛下は傷一つない元の状態に戻る。


「聖女様!」


誰が言ったのか知らないが、この場にいたすべての者が驚く。


「カトレア様ご命令を。」


俺は再度、カトレアに言う。


「ええ、重ねて命じます。レティシア。いいえ、Sランク冒険者の力を反逆者に知らしめなさい!」


カトレアは力強く言う。


「かしこ参りました。」


俺は胸に手を置いて頭を下げる。カトレアが怒っているのだ。俺も真面目に答えないと。それに、俺自身なんとなくイライラしている。相手のあまりにも身勝手さに。


「というわけだから、みんなは少し離れてくれるかな」


俺はハンスたちだけでなく、他の護衛や騎士たちに言う。


「Sランクだと!」


先ほどと違いシュバイツ公爵も驚きを隠せなかった。まさかこの会場にSランク冒険者が混じっているとは思わなかったようだ。


「だが、いくらSランクがいようと関係ない。おい、悪魔あいつを何とかしろ!」


シュバイツ公爵に言われた悪魔は魔力を高め、壁を壊し、あたりを埋め作るほどの低級悪魔を召喚した。その数1000匹。


「どうだ!さすがのSランクでもこれだけの数は・・・」


シュバイツ公爵が最後まで言い切る前に、低級悪魔たちは消え去った。


「は?」


シュバイツ公爵は訳が分からなかった。一瞬にして目の前の悪魔たちが消えたのだから。


「もう、おわり?つまらないね。」


俺はシュバイツ公爵に向かって言った。俺の持つ゛アダマスの鎌゛の本来の能力は万物を斬ること。この宇宙に存在するすべての物を斬ることができる。空間を斬る能力もその一つだ。俺はこの力を使ってすべての下級悪魔を消した。勿論それなりに魔力は使うけど。


「ハンス。みんな。行くよ。」


俺はハンスたちにそう言い、味方すべてに魔法を施した。


「体が軽い。」


騎士たちが驚く。


「これが聖女の・・・Sランクの力か・・・」


リヒトも驚きを隠せない。Sランクは単体もしくはパーティーで一軍と戦える力があると言われていたが、リヒトはそのことを噂程度でしか信じていなかった。だが、目の前で行われた光景を見て、Sランクの力を思い知るのであったと同時に敵でなくてよかったと思った。

逆に反乱分子たちは、どよめきを隠せない。1000もの下級悪魔を一瞬で消したSランク冒険者が敵にいる。そして、魔法で強化された護衛や騎士たちは一人で十人分の強さになっていたからだ。敵の士気はガタ落ちだ。


「悪いけど、こんな茶番劇さっさと終わらせてもらうよ。」


俺はそう言ってシュバイツ公爵に鎌を向けた。


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